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47話目 バトルロワイアル⑨ 最強の2人 vs 最強の弓使い

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「どこだ?」

ここは森の中ではなく、見晴らしのいい草原だ。

腰ほどまでの低めの雑草は茂ってはいるものの、隠れられるようなところは一切存在しない。

木はぽつりぽつりとあるだけで、弓使いからしたら非常に戦いにくい環境だろう。

しかし、そんな環境の中でもうまく姿を隠している。

今まで戦ってきた弓使いは味方のアシストを少しするくらいだった。

1人でここまで生き延びてきたのは単純に影が薄い以外にも理由があるだろうと思っていたが、多分実力で生き延びてきたのだろう。

正直、戦ったことのある弓使いの中では最も厄介な相手だ。

すると、斜め右後ろのほうから矢が飛んできた。

私はそれをノールックではじき返すと一気に矢が飛んできた方向へ詰めていった。

「見つけた!!」

ようやく彼の姿をとらえることができた。

距離も明らかに私のほうが有利な距離。

私は一気に方向転換をして彼の方向へ近づいて行った。

「打ち取ったり!!」

そうして彼の首元に向かって刃を突き立てるが、その刃か彼の首に触れることはなかった。

「ッ!?」

彼は何人ものプレイヤーをあっという間に仕留めてきたこの私の、この私の!!攻撃を防いだのだ。

彼の左手は私の腕をつかんでいる。

私のもう片方の手に握っていた短剣はいつの間にか地面に叩き落とされていた。

私はこの強靭な力に押さえつけられ、身動きが取れなくなっていた。

「私も忘れるな!!」

するとそこへメアリーが大きな大剣を握りしめ、一気にやって来た。

すると相手は右手を器用に使い、矢を放った。

その矢は一直線にメアリーの方向へ飛んで行き、軽くメアリーの頬を掠めた。

強い。

いいじゃないいいじゃない!!

私は相手の視点がメアリーに向いている間に、体を大きくくねらせ、相手の頭を思いっきり蹴り飛ばした。

相手は多少よろけ、私の腕を手放した。

私は地面に落ちていた短剣を流れるように拾い、よろけている相手の脇に回り込んだ。

そして突き上げるように左手の短剣を突き刺し、右手の短剣を振り上げるようにし、相手のことを切りつけた。

この2回の攻撃はあたりはしたものの、相手もうまく体を動かし、急所に入ることはなかった。

メアリーは私が気を引いている間に再び近づいてきて、相手をつぶすように大剣を握った。

しかし、大剣を持っていた腕をつかみ、背負い投げのように投げられた。

私は投げられたメアリーの元へ寄り、両手を使ってメアリーの両足をそれぞれつかんだ。

私は腰を落として足元に力を入れる。

メアリーは私の手を思いっきり蹴るようにして再び相手のほうへ飛んで行った。

すぐさま私も跳躍を使って飛んで行き、空中ジャンプを駆使しながら後ろへ回り込んだ。

メアリーは首元、私は足元を攻撃した。

相手は私の攻撃を読んで、攻撃を食らう直前にジャンプをしたために私の攻撃が当たることはなかった。

しかし、メアリーの攻撃は急所は避けられたものの、右の胸元を大きく切りつけた。

1人で2人を相手にするのはいくらベテランだとしても、いくら強いとしてもなかなかに厳しいものがある。

さすがの彼も限界だったのだろう。

彼は僅かではあったが隙を見せた。

その隙をもちろん私が逃すわけはなく、相手の心臓をつくような形で試合は終了した。



相手のsyamoさんは相当な実力の弓使いとしてネット上で非常に有名らしく、私たちとの戦いもネットで生配信されていた。

弓使いは基本的には後衛で、味方のサポートをする立ち回りになるのだが、彼は前衛として思いっきり打ち合うようだ。

しかし、今回は味方の配信者を立てるために、慣れない後衛をしたところ、カバーが遅れ、味方の3人は倒れてしまったらしい。

そこから1人で何人ものパーティーを打ち倒したらしく、配信は大いに盛り上がっていた。

そしてそこに対戦相手として現れた第1回大会優勝者の私と一部で有名な最強鍛冶師のメアリーのパーティー。

その試合は今までの試合とはクオリティが違く、配信はトレンドに乗るほどの大盛り上がりを見せた。

最強プレイヤー2人組を1人でさばいたsyamoさんのすごさはもちろん、イベント1位の実力は伊達ではなかったとして私の名前も知名度を増した。

そして最強大剣鍛冶師としてさらにその名を轟かせたメアリー。

その2人はさらにネットで注目されていくこととなったのだが、そんなことはもちろんイベント参加中の彼女らに伝わることはなく、2人で歌を歌いながらのんきに草原を歩いていた。
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