上 下
40 / 193

39話目 バトルロワイアル①

しおりを挟む
「では!いまからプレイヤーの転送を開始します!!」

「ユウヒ、やるからには優勝だよ。」

「もちろん!わかってるよ!第1回に続いて第2回のイベントも優勝しちゃうぜ!二冠だ二冠!」

みんなからも注目されてるし!相方はメアリーだし!

頑張って優勝取らないと!!



ついに転送が始まり、私たちもすぐに転送された。

「ここは森だね?」

私たちのスタート位置は森。

後ろには崖があって結構高い。

スタート地点としてはまずまずだね。

遮蔽物が多いからいきなり襲われるということもなさそうだ。

でも時間がたってくると待ち伏せとかそういうのが出てくるかもしれない。

しかも後ろは崖っていうことも時間がたつにつれて不利になってくる。

崖の上に居座られたりしたらずっと高いところを取られていることになる。

高いところをとられるのは不利だ。

一方的に視認されることがあるし、何より下から攻撃が届かない。

「メアリー、この崖登ろうか。」

「そうだね。それがよさそうだ。」

上をとられる前に逆に私たちが上をとる判断をする。

どうやって上るか?

それは簡単だ。

この間手に入れた造形っていうスキル。

これ結構すごいんだ。

初心者だったらスキルポイントとか気にしないといけないだろうけど、すでに私たちはそんなの気にするようなレベルから脱している。

スキルポイントが切れるまでいくらでも造形を続けることができる。

つまり自身の足元を盛り上がらせて崖の上まで行くことが可能なのだ。

でもそれをやっている間は周りの監視がおろそかになるし、急に攻撃されたときに対応がしずらい。

でもそれは1人の時に問題なだけで、今は1人ではない。

「メアリー、私がスキル使うから周りの監視お願いできる?」

「いいよ。でも逆のほうがいいんじゃない?私は攻撃系のスキルを持ってないけど多分ユウヒは遠距離でも攻撃できるスキル持ってるよね?」

確かにそうだ。

私は投げナイフのスキルを持ってるけどメアリーは攻撃系のスキルを手に入れることができない。

「了解。じゃあ私が監視してるからスキルよろしく。」

「おけ。じゃあちょっとこっち近づいて。」

スキルポイントがたくさんといっても崖は結構高い。

どのくらいの消費になるかわからないので一応近くによってできるだけ造形のスキルの使用を減らす。

「じゃあ、やるね。」

そういうと地面が盛り上がって来た。

私は監視に集中する。

足場の高さはすぐに森の木々より上になってあたり一面が見渡せるようになった。

しかし、それはあたりからも私たちの姿が視認されるようになったということ。

警戒をより一層強めないと!

まあでも見渡す限り森だね。

参加者の量が量なので結構フィールドは広い。

視界の端のほうにうっすら草原も見えるけど基本的には森ばっか。

大丈夫そうだな。

と思ったその時、どこからともなく槍が飛んできた。

「っ!」

私はとっさの判断で双剣を引き抜いて槍をはじく。

(やばい、どこから飛んできた?)

先ほど警戒を強めないとと思ったばっかなのに……。

ちょっと気を抜いてしまっていたのでどこから槍が飛んできたのかわからない。

集中する。

じっとあたりを見渡す。

一面森だ。

だから姿を直接見ることは厳しいだろう。

すると、本当に一瞬だったが何かがきらりと光ったのが確認できた。

「そこか!!!!!」

私は急いでその光に向かって短剣を飛ばす。

第1回の時のレベル上げや、この前のメアリーとの冒険で鍛えた投げナイフスキルはその威力が衰えることなく光の方向へ飛んで行く。

あの光は何だったのだろう。

まあたぶん槍の穂の部分だろう。

「ユウヒ、どうした?」

「いや、いまなんか光ったからさっき攻撃してきたやつのかなって。」

「なるほど。まあ無理に反撃しなくていいよ。今はとりあえず警戒だけしてくれれば。」

確かにそうだ。

今無理に反撃しようとしてそっちのほうばっかに集中していたら別のプレイヤーから攻撃が来た時に反応が遅れてしまう。

あとちょっとで崖の上には到達できるし今無理に反撃する必要はないだろう。

ちょっと焦ってしまった。

メアリーが声をかけてくれなかったらあのまま攻撃し続けていただろう。

小さいといっても音は出る。

短剣が木に刺さったときとか相当早く短剣を飛ばすので飛んでるときにヒュンッといった音もなる。

相当の手練れのプレイヤーだったらその音もかぎつけるかもしれない。

今は警戒するだけにする。

そう脳内反省会をしている間に崖の上に到達した。

崖の上に到達しても気を抜いてはいけない。

私たちの姿を先に見られて崖の上で待機しているプレイヤーがあるかもしれない。

……、大丈夫そうだ。

「ユウヒ、マップ確認するから引き続き警戒よろしく。」

「わかった。」

通常のフィールドと同じようにこのイベントのフィールドにもマップが存在する。

自分たちの居場所は常に赤いピンで表示されている。

「今いる位置はマップの中心寄りの南東部。明日のフィールドにはとりあえず入ってるみたい。私はある程度わかったから今度はユウヒがマップ見ていいよ。」

マップも交代で見る。

このイベント中、フィールドは一日ごとにどんどん縮小していく。

これによりずっと隠れるという行為がしにくくなるのだ。

マップの縮小度は運営がその時の様子を見ながら決めるらしい。

ゲーム内時間で何日続くのか運営にも予想がついていないようだ。

……、こういうマップ見るという作業も4人のパーティーだったらもっと楽なのだろうが2人のパーティーだと大変だ。

警戒しないといけない。

2人ともマップ見てたら不意打ちを防ぐことができないから。

ほかにもこのイベントは2人だと結構大変で、睡眠だってゲームの中でも取らないといけない。

2人で睡眠を分けるというのは大変だ。

まあとりあえず今は気にせずマップを開く。

こういうのを気にするのは今じゃなくてもいい。

ふん……。

このイベントでのフィールドは様々なエリアが組み合わさってできてる感じだ。

今いる森、砂漠、山岳など。

山岳エリアには雪も積もっているようだ。

砂漠のエリアは崖の下を表として裏側。

なだらかな下りになっている丘を越えたところにある。

今いるところはその丘の最も高いところ。

多分私たちと同じように高いところを取ろうとするチームがわんさかやってくるだろう。

山岳エリアは森を抜けて草原をはさんだ北側。

結構ここから距離があるのでとりあえず今は無視。

「さて、ここからどうする?」

「そうだなぁ……、4人のパーティーとかだったら森の中でも交代で見張りとかできたかもしれないけど私たち2人だからひとまず今日の夜を明かせそうな洞窟を探したほうがいいと思うんだよね。」

「そうだね。見るところは1つのほうがいいからね。森だったらいろんなところ見ないといけない。」

「まあ初日から無理に動く必要はないんじゃないかな。」

私たちの方針としてはとりあえず今日明日とかはあまり積極的には動かずにプレイヤーの数が減っていくのを待つ。

私たちはゲーム内で1週間くらいは余裕で越えるほどの長期戦になると予想している。

2週間くらいかな?

ゲームだけど今回はちゃんと疲れるし眠くなる。

それはこのイベント用にいろいろと設定がいじられているからだ。

さすがに食事とかは大丈夫だけど。

「私たち言ってしまえば上位プレイヤーでしょ?でも長期間ずっと警戒しっぱなしで戦い続けるのは無理だ。4人のパーティーだったらまた違うんだろうけど私たちは2人。」

正直ここ取った意味なかったな。

丘の上だったらあまり洞窟もないだろうし見えるのは一面森。

木の陰に隠れてプレイヤーは見えない。

先ほどは木の隙間から光が武器に反射しているのが見えた。

だから攻撃を返すことができたけど、武器をしまってたりしたら見つけるのはほぼ不可能。

無理に狙われそうなところをずっととっとく必要もない。

私たちは洞窟を探しながら丘を下ることにした。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

オワコン・ゲームに復活を! 仕事首になって友人のゲーム会社に誘われた俺。あらゆる手段でゲームを盛り上げます。

栗鼠
SF
時は、VRゲームが大流行の22世紀! 無能と言われてクビにされた、ゲーム開発者・坂本翔平の元に、『爆死したゲームを助けてほしい』と、大学時代の友人・三国幸太郎から電話がかかる。こうして始まった、オワコン・ゲーム『ファンタジア・エルドーン』の再ブレイク作戦! 企画・交渉・開発・営業・運営に、正当防衛、カウンター・ハッキング、敵対勢力の排除など! 裏仕事まで出来る坂本翔平のお陰で、ゲームは大いに盛り上がっていき! ユーザーと世界も、変わっていくのであった!! *小説家になろう、カクヨムにも、投稿しています。

処理中です...