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第२章―苦界浄土―
clause trīṇi 「熱欲の浴槽(Ⅰ)」
しおりを挟む「はぁ…まぁ、取り敢えず入るか」
「そうですね!」
嬉しそうな顔を浮かべながら、脱ぎだしたアイツに釣られる様に、俺も少し羞恥心を隅に追いやる様に脱いだ。
男の同性同士とは云え、長らくの間誰にも裸体を晒す事が無かった俺にとっては、人前で裸になるのはそれなりに堪える訳で…
こんな貧相な体、親友でもなかったらあまり晒したくないものだ
親ですら、多分苦痛に感じるのに
「服は此処にお願いしますね」
と、やたらめったらオシャンティーな布で出来たランドリーバスケットを差した。
クソ、こんな些細な処まで生活水準が高いとは羨ましい
言われた通り、雑に脱衣した服を投げ入れる
「さぁて、風呂に………入る…k…っ……!!」
横を振り向くと、いつの間にか至近距離で俺の裸を凝視するアイツと目が合った。
心臓が一瞬停止した気がする。
「nんだよ…ジロジロ見んなよ……」
平静を装うが心臓バックバクである。
何か、コイツの目が怖い。
喫驚したのを誤魔化す為に、全然驚いていませんが??みたいな顔で喋るが上手く顔を作れているか不明だ。
「███さんって、体細いですよね…ちゃんと食べてますか?」
スッと肋辺りに手を添えられ、撫でられる
確かに、家に籠もってばっかで三食文化が途絶え、いつもグチャグチャな時間帯に飯を食っていたし、しかも、主食と言わんばかりに菓子類ばっか食べている時も有った。
まともな食生活では無いだろう
自分の中ではまぁ、まだマシとは自負しているが、ちゃんと食ってるかと言うと正直分からない。
普通に自炊してる時としてない時が半々なので回答が難しい処である…
「…まぁ、食べてるちゃぁ食べてるよ」
心配してくれるのは有り難いが、己の堕落による不摂生なのだ。気にしないでくれ
「本当に?」
「もう、良いだろ…早く風呂に入ろ…」
添えられた手を引き離す為に、体を押し退けようとするが、天と地程ある体格差をしている為か、がっしりとした奴の巨躯きょくをただ触り返しただけとなってしまた。びくともしない
そうか、コイツもう高校生になるんだもんなー。あはは…
筋肉の一つや二つ付いてるもんかぁ。
ちょっとワサワサと弄まさぐってみる
ほうほう…なる程
ジムとか行ってんのかな…と寝惚けた様な事を考えながら奴の顔を見ると、赧顔たんがんしながら熱い視線を此方に向けているではないか─
やってしまった…
体に虫が這う様な何とも名状し難い気分になり、身の毛がよだつ
これ以上はいけないと警告音が鳴り、隙をついて脱衣場から逃げ果せ、風呂場に一足早く入った。俗に言う一番風呂である
「お前さ、何か変じゃない??」
俺に続く様に奴も入って来る
「そうですか?気の所為ですよ。
風邪引いちゃいますし、早く体洗ちゃいましょう」と笑みを溢しながら俺の体に触れて来た。
「ちょ…、えっ…何??」
「三助、やらせて下さい^ ^」
そう満面の笑みは崩さずガッツリと逃さない様に体を固定して来る奴に俺はもう何も言えなかった。
三助やめたんじゃなかったのか…
ええい儘よ。と云う気概で、着せ替え人形の気分になりきり全てアイツに身を委ねた。
解せぬ。こんな事して果たして楽しいのだろうか…と
だが、昔からあっちの奴はそうだ
崇敬に混じった献身的な奴はよく知っている。
俺だけが知っている
良き友であり、良き従者であった彼奴の事を
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