中学婿日記

紅野 雪菜

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第١章―酔夢凋落―

clause dve 「デカダンス」

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…………………。

『██さーん。██さーん。』
無機質なチャイムの音が数回続けて鳴らされ、自分を呼ぶ声が玄関の外から聞こえて来る

…煩いな

『███くーん。███くーん。』
居留守を使い、無視をしてると次に玄関をノックしてくる音がする

(あー、うっざ。居ないってば…放って置いてく
れ)

スマホ片手に、担任の愚痴と誹謗をsnsに呟く。
担任の教師が、昼時に毎日の様に不登校の俺のアパート前に車を止めては、近所に聞こえんばかりの声で、俺の名前を呼ぶ。この時間が一番拷問にすら等しい嫌な時間だった

きっと、隣の住人には気付かれてる。

俺が引き籠もりである事を─

さっきまで、ゲームで良い気分してたのにチャイム音がした途端一気に現実的に引き戻されて病む

諦めたのか、車のドアが開閉する音が聴こえ、次にエンジンの音がする
やっとかと、肩を撫で下ろした。

(あー、死にてーー。出来れば眠る様に)

そんな事を頭の中で考えては、中々死ねずにズルズルと生きてる。

時刻は午後の3時過ぎ

窓から子供の喋り声が聞こえて、ミラーレースカーテン越しに外に目をやると、黄色い帽子を被って、ランドセルを背負ってる小学生が2人歩いていた。

そうか、この時間帯はもう小学生は下校する時間なんだ…と昔を思い起こす

そんな充実してそうな2人を見てしまうと、自分が情けなくって目を逸らす様にノートPCの液晶に目を向けた。

いつもの様に、待ち合わせした部屋名を見つけて、入室する

《よろです
《宜しくお願いします。

此処最近ずっとこのゲームサイトに入り浸っている気がする
昔から花札が好きで、不登校になった今、リアルでの相手なんか居る訳も無く…

知る人ぞ知る過疎ってるこの、カードゲームチャットサイトで対戦相手を見つけては遊び呆けるばかりだ。

唯でさえ中々に過疎ってるこのサイトで、もう爺婆じじばばぐらいしかやって無さそうな花札のジャンルツリーは、過っ疎過っ疎である

少し、先の小学生が脳裏を過ぎって昔を思い出す─

小学生の頃、いつも一緒にいた親友と花札をしていた記憶
外から聴こえる如何にも暑そうな熊蝉の啼声とは、裏腹にアイツのバカ広い部屋は冷房がガンガンに効いていて、それも暑がりな俺の要望で23℃まで温度を下げてくれてたんだっけ。

アイツの家に上がり込んでは、持参した花札でよく2人で遊んでいたなと、机上きじょうに未だ、未練がましく置かれていた花札を一瞥する

ゲームが開始される音が聴こえ、直ぐ様画面に目を向けた。
ゲームを淡々と進めながら、チャットで対戦相手と雑談をする
対戦相手は、最近知り合った人で俺と同じ同学年で趣味がかなり合って、話しやすく何より、対戦したい時に必ず付き合ってくれるのだ。

相手の役が出来るのを上手く妨害しつつ、チャットではゲームとは全く関係無い話を広げる


《せるうすさん、まだ3時ですけど部活大丈夫です?
《今は部活に行く前なので大丈夫です。
《あぁ、掃除か
《いえ、掃除は清掃業務の人が全部やってくれるので
《マジ?ワイの学校そんな人おらんのがやんのやが…
《いいナァー、うらやま
《そんな夜海魚やみぎさんは、どうなんです?
《ワイは帰宅部だし、当番じゃないんで、今から早下校っすわー

─嘘である。

既に家に居るが、不登校の引き籠もりなんて恥ずかしくて噓でも言えない……
実際帰宅部で、不登校になる前は掃除当番じゃ無かったので半分噓では無い

が、こう学生として終わってる感が、今のやり取りで見つめ直させられている気がする

もう、学校で学生としてまともに過ごせない。青春とは離別したのだ
だけど、少し羨ましい。どうしても、隣の芝生は青く見えてしまう

こうして、平然と嘘をついて平凡な学生を演じていると、今の自分との境遇の差で余計惨めになってしまうが、止められない。
自分で自分の首を締めているのに

自己嫌悪と希死念慮で癇立つかんだつ

そんな他愛もない話しをしながらHNの由来はどうだとかの話をして、ゲームを終えた。

結果は俺の圧勝だった

無理もない、せるうすさんは最近花札を始めたばかりらしいのだから。

2・3度、少し手を抜いてあげて(舐めプ)勝たせてやったぐらいだ

あまりにも弱いので、チャットをして楽しむしかないから必然的にお互いの事を深く話したりしていた。
こうして構ってくれるせるうすさんとの会話は楽しいので、それで花札の下手さが帳消しになっている感はある

一戦を終え取り敢えず、せるうすさんが帰宅した後また此処に来ると約束を取り付け、一旦お開きになった。

さて夕方になる前に、風呂に入ろう
そろそろ2日間入ってないからか髪がベタベタして来たので、入浴しないと…

着替を持って浴室に行くと母がシャワーを浴びてる音がした。



─最悪だ。



両親の入った後の風呂は気持ち悪くて入れない。潔癖症とは言い難いが、少なくとも浴室が乾いて水滴が無くなるまでは絶対に入りたくない
某アスカの22話の心境になって、又鬱々する



気持ち悪い

浴室が完全に乾くまで数時間待たなければいけなのを考えると苛立ちを覚えた



✢✢✢✢✢✢✢✢✢Next✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢




コンコンと扉をノックする籠もった音が扉の向こうから聴こえた

はっ…と、意識が覚醒する。
手には万年筆が握られていたが日記帳は白紙だ

『…██君、大丈夫??さっきからずっと音しなかったけど、もしかしておっきい方??』

「ちげーし!ただ腹痛くなっただけだし!!」

恥しく、咄嗟に反論するが直ぐに可笑しな事に気づく
待て待て、アイツ、俺がトイレに入った時からずっと扉向こうに居たのか??音がしないって事は

(エッ…!??コワ……何ソレ???)

鳥肌がゾワっと立ってしまった
何か気付いてはいけない事を気付いてしまった気がする…

ともあれ、流石にこれ以上は怪しまれるので、トイレを出なければ
─結局、嫌な過去を思い出すだけ思い出して状況整理出来ず終わった。何してんだろ


扉を開けると、まぁ当然アイツは居る訳で…

「ちゃんと出た?大丈夫??」

「別に尿意でも便意でもないし、ただ腹痛くなっただけ!…もうマシになった」

「良かった、じゃぁ…一緒にお風呂入ろっか」

「えっ??」

何ニコニコしてるんだコイツ??

「だって、██君お風呂暫く入って無さそうだし、折角綺麗な髪がベタベタだよ…」
前触れなく、髪を触ってくるコイツがチョット分からない。

「もうお湯張り終わってるし…」


「いや、それは良いんだが何故なぜに二人一緒に???」

「別に良いじゃん、嫌?」

「嫌に決まってんだろ…」

「えっ??…」

「…は?」

何その鳩が豆鉄砲食らった顔はよ??
こんな終ってるワイにも一応、羞恥心と言う物があってですね…
というか、温泉でもないのに一緒に入るの?

「じゃぁ、██君の体洗うだけにする…。これでどう?」

お前は三助か

「何故なにゆえに風呂に同行したがる」

コイツの目的がわっかんね~
女子でもあるまいし、連れション感覚で言われてもなぁ

「暫く会ってなかったし、ほら?裸の付き合い???」

??????

何で疑問形なんだ、どっかからの変な入れ知恵か??そんな、裸の付き合いなんて事しなくても、俺達はエブリデイズッ友って事は変わり無い親友だぞ????おん?
てか、裸の付き合いって何??

「いや、普通にそんな事しなくても俺ら親友だろ」


「██君…!」
うわっ…眩しっ…!!
暫く直射日光浴びてないから、そのキラキラするのやめてくれ、目がパチパチする。

「でも、一度だけ誰かとお風呂入ってみたかったし、やっぱり一緒に入ろ!一生のお願い!!」

三助はやめて、一緒に入るのかそうか

理由は分からんが、そう手を合わせて、俺に拝むように言われては、断れる筈なく…


仕方無し、親友の頼みであれば腹括ろうぞ……
連れてかれるがままに、バスルームに案内される。いいのか


いざ、バスルームへ

プライバシーもクソもないセキュリティガバガバの透明なガラス張りの扉の向こう
そこには、息を呑む程の高級ホテル感並バスルームがあったのだ…
知らんが

(うっっっわ、何このクソデケェバスタブ!!何か滅茶良い香りするし、湯船に花弁とか浮いちゃってるし???おまけにキャンドルとかあるし???えぇ……)

あまりの場違い感に踵を返しそうになるが、後ろから手を回されていて出来ない。
手を離せ、手を

「金持ちは、毎回こんな風呂で入浴してんのか……」

「何言ってるんですか、旦那これから一緒に入るんですぜ」

「お前、キャラブレッブッレじゃない??大丈夫??怖くなって来たんだが」
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