Sorry Baby

5.最低

ストーカー

自動販売機でジュースを2本買ってハルキのところに戻る。

「はい、あげる。」
 
「ありがとう。」
 
…偶然、ハルキを見かけた。
ものすごい勢いで走ってきたと思ったらいきなり屈んで泣き出した。

「なんかあったの？」

「…未蘭乃のせいだよ。」

は？あたし？

「あたしなんかした？
てかハルキと1週間くらい連絡取ってないし…あたし関係なくない？」

「…未蘭乃さ、危機感なさすぎない？
俺はフォトグラ全然しないから今日まで知らなかった。」

「いや、ちょっと何が？
ハルキが写るような写真投稿してないし…。」  

待って、なんか話噛み合ってなくない？

「俺のことはどうだっていいんだよ。」

ジュースを一気に飲み干して、ハルキがケータイを見せてきた。 

「…盗撮されてストーカーまがいなことされてるの気づいてた？」

「…え？」

#mirano
その文字にゾッとする。
あたしのネーム表記はMILANO。
RとLで微妙に違うことであたしがエゴサしたとしても引っかからないようにしてたって事？

登下校中の写真、カフェでカリナといたであろう日の写真。バス停でバスを待つあたし。
この間、ハルキが用意してくれたリムジンから降りるあたしもおもちと家出をしてホテルに行った日の写真も全部、全部。 

気持ち悪い。でもそれを超える胸騒ぎ。

「これ…誰？」

「俺も知らない。
ジャンから聞いて今日知った。
…そのことでっていうかまぁ色々あったけどちょっと喧嘩までいかないけど俺がキレて出てきた。」

正直、つい最近も盗撮されてたけど…。
その人の顔は覚えてない。

「この人の目的って何？
…ちょっと、ホテルの名前は映ってる？」

「名前までは映ってないけどエントランスで判断はつくだろうな。
おいちょっと待てって。
未蘭乃、なんで家出してんの？」

パパはフォトグラをやってない。
だからこの写真がパパの目に入ってるとは思えないけど…。
おもちも家にいないとなるとペット可のホテルは街じゃここしかない。

見つかるのは時間の問題だ。

あたしはすぐそこに停まっていたタクシーに乗り込んだ。

「ハルキ！乗って！」