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1.出会い
通学路
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まさか昨日ハルキに会うなんて思わなかった。
なんか高校入ってから全然話さなくなったけど…大人っぽくなってたな。
二十歳だからそりゃ大人か。
話さなくなったのは周りにはいつも女の子が誰かしらいたから。
『久しぶり、高校慣れた?』
入学してから2週間くらい経った日に突然教室まで来て話しかけてくれたんだっけ。
なんか未だに覚えてるな…。
少しでも気にかけてくれてる人がいて嬉しかったのかも。
1週間ぶりに学校に向かうバスに乗り込む。
「ミラノ、先週どうしたの?」
「体調でも悪かった?」
同じクラスの男子が数人、あたしに話しかけてきた。
「ちょっと風邪で…。
でももう大丈夫だから。」
なんなんだろう、この気持ち。
気持ち悪い。
教室に入ってもクラスに話す友達なんていないし、黒板の前ではあたしの内緒話で盛り上がってるみたいだね。
繁華街にいたよ?
だから何?それがどうしたの?
あなたになにか関係ある?迷惑かけた?
「全員むかつく。」
思わず独り言が出てしまったけど案の定誰の耳にも入ってないみたい。
どうでもいいよもう。
ほっといてよあたしのことなんて。
もう疲れた。
…単位も足りてるしもう帰ろうかな。
ぶっちゃけ学校なんて、なんのために行ってるかわかんないし辞めてもいいかも。
パパに家から追い出されてお金に困ったら夜の街で働けばいいか。
気づいたら足は教室の外に向いていて、来たはずの通学路を引き返していた。
本当に居場所がない。
家に帰ったって誰もいない。
「おいこら不良少女。」
聞き覚えのある声が後ろからして振り返る。
「ハルキ、なんで…。」
そこには私服姿でロードバイクに乗っているハルキがいた。
「普通に買い物。
あそこにあるスーパー安いじゃん。
で、なにミラノは学校に行ったの? 」
「行ったよ。
でも帰ってきたの。」
まだ8時なんだけど、と言ってハルキは笑い飛ばした。
「帰ってもどうせ暇じゃん。
昼まででも頑張ればいいのに。」
「うーんまあなんかもやもやしちゃって帰ってきちゃった。」
何か言われたの?と聞かれ首を振る。
「言われても無視するくらいのメンタルはあるから大丈夫。」
「そっか。
練習まで暇だし学校に顔出すかな。
ほら行くぞ。」
一回下校した人にもう一回行くぞなんて言うのは本当にハルキくらいだと思う。
「嫌だよ。もう歩いて帰る。」
「もう二十歳のおじさんだからさ、現役JK付いてきてよ?な?」
なんだかハルキには敵わない気持ちになって結局二人で学校に行くことになった。
職員室に入ってハルキの担任の先生のところへ向かう。
「ダニエル先生、お久しぶりです!」
担任ダニエル先生だったんだ。
数学の担当ダニエル先生なんだよね。
「おお、久しぶりだなハルキ!
…それと?3年のミラノ?
授業はどうしたんだ?」
「1回登校したんですけど、なんか嫌になって帰ろうとしたらハルキに捕まりました。」
ダニエル先生がはぁーと大きなため息をついた。
「担任のカルロス先生から聞いてるけど、なかなか最近は問題児ぶりを発揮しているみたいだな?
なんかあったのか、最近?」
「いえ、特に何も…。
ただちょっと、なんか辛いだけ。」
問題児?
…授業の妨害をしてるわけでもないのにそう思われてるなんて心外だった。
「…そうか。
なんかあったら俺に相談してもいいんだからな?」
「ありがとうございます。
でも大丈夫です。」
ハルキがダニエル先生と話たがっていたので、私は職員室をあとにした。
仕方ない。ハルキが学校に連れ戻してくれたんだから授業には出席しよう。
1時間目はあと15分しかない。
テキトーに時間潰して2時間目から行こう。
スマホを取り出して、SNSをチェックすると今日だけでフォロワーが50人増えたみたいだった。
一昨日した何気ない投稿も結構いいねが来てたんだけど…朝なんとなく投稿を消してしまった。
もし昨日ハルキといたことがバレたらハルキにも迷惑がかかるよなとふと考える。
…別にハルキと何があるわけじゃないんだけど…。
昨日このままもう会えなくなるの嫌だって思っちゃったんだよね。
柄にもなく駆け寄ったりして。
最近自分を気にかけてくれる人っていなかったからちょっと嬉しかったっていうだけ。
「授業は?」
玄関ロビーでスマホを見ていたあたしにハルキが声をかけた。
もう用は済んだようで帰る気でいるみたい。
「2時間目から出る。」
「ふーん、そっか。
あんまり先生たち困らせんなよ。」
すれ違いざまにあたしの頭をポンポンと軽くなでてハルキは学校から出ていった。
「…今のは反則じゃん。」
1時間目が終わったチャイムが鳴り、生徒たちが教室から出てくる足音とガヤガヤという休み時間特有のおしゃべりが聞こえてきた。
あたしもその休み時間に溶け込み、教室に入る。
「ねぇ、さっきの人誰?」
隣の席のカリナが私が席につくとすぐに声をかけてきた。
カリナとは特に仲がいいわけでもなく、悪いわけでもなくただのクラスメイトって感じ。
「さっきの人…?」
「ほら、ミラノが学校に戻ってきたとき一緒にいた背の高い人だよ。
生徒ではないでしょ?」
この教室は窓から校門が見える。
カリナは窓際の席だから私とハルキの姿が見えたんだ。
「ああ。あの人はハルキって言って2個上の日本人だよ。」
「そうなんだ。
ミラノがいきなり出ていってどうしちゃったのかと思った。」
カリナがそう言って優しく笑った。
そして続けて…。
「よかったらランチ一緒に食べない?
どうせ私もいつも一人だし、たまには二人で。」
まさか誘われるなんて思ってなくてびっくりして何も言えなくなってしまった。
「あ、迷惑だったかな。
嫌だったら全然…。」
「ううん!嬉しいよ。
一緒に食べよう。」
この日を境にあたしはカリナと一緒にいることが多くなった。
なんか高校入ってから全然話さなくなったけど…大人っぽくなってたな。
二十歳だからそりゃ大人か。
話さなくなったのは周りにはいつも女の子が誰かしらいたから。
『久しぶり、高校慣れた?』
入学してから2週間くらい経った日に突然教室まで来て話しかけてくれたんだっけ。
なんか未だに覚えてるな…。
少しでも気にかけてくれてる人がいて嬉しかったのかも。
1週間ぶりに学校に向かうバスに乗り込む。
「ミラノ、先週どうしたの?」
「体調でも悪かった?」
同じクラスの男子が数人、あたしに話しかけてきた。
「ちょっと風邪で…。
でももう大丈夫だから。」
なんなんだろう、この気持ち。
気持ち悪い。
教室に入ってもクラスに話す友達なんていないし、黒板の前ではあたしの内緒話で盛り上がってるみたいだね。
繁華街にいたよ?
だから何?それがどうしたの?
あなたになにか関係ある?迷惑かけた?
「全員むかつく。」
思わず独り言が出てしまったけど案の定誰の耳にも入ってないみたい。
どうでもいいよもう。
ほっといてよあたしのことなんて。
もう疲れた。
…単位も足りてるしもう帰ろうかな。
ぶっちゃけ学校なんて、なんのために行ってるかわかんないし辞めてもいいかも。
パパに家から追い出されてお金に困ったら夜の街で働けばいいか。
気づいたら足は教室の外に向いていて、来たはずの通学路を引き返していた。
本当に居場所がない。
家に帰ったって誰もいない。
「おいこら不良少女。」
聞き覚えのある声が後ろからして振り返る。
「ハルキ、なんで…。」
そこには私服姿でロードバイクに乗っているハルキがいた。
「普通に買い物。
あそこにあるスーパー安いじゃん。
で、なにミラノは学校に行ったの? 」
「行ったよ。
でも帰ってきたの。」
まだ8時なんだけど、と言ってハルキは笑い飛ばした。
「帰ってもどうせ暇じゃん。
昼まででも頑張ればいいのに。」
「うーんまあなんかもやもやしちゃって帰ってきちゃった。」
何か言われたの?と聞かれ首を振る。
「言われても無視するくらいのメンタルはあるから大丈夫。」
「そっか。
練習まで暇だし学校に顔出すかな。
ほら行くぞ。」
一回下校した人にもう一回行くぞなんて言うのは本当にハルキくらいだと思う。
「嫌だよ。もう歩いて帰る。」
「もう二十歳のおじさんだからさ、現役JK付いてきてよ?な?」
なんだかハルキには敵わない気持ちになって結局二人で学校に行くことになった。
職員室に入ってハルキの担任の先生のところへ向かう。
「ダニエル先生、お久しぶりです!」
担任ダニエル先生だったんだ。
数学の担当ダニエル先生なんだよね。
「おお、久しぶりだなハルキ!
…それと?3年のミラノ?
授業はどうしたんだ?」
「1回登校したんですけど、なんか嫌になって帰ろうとしたらハルキに捕まりました。」
ダニエル先生がはぁーと大きなため息をついた。
「担任のカルロス先生から聞いてるけど、なかなか最近は問題児ぶりを発揮しているみたいだな?
なんかあったのか、最近?」
「いえ、特に何も…。
ただちょっと、なんか辛いだけ。」
問題児?
…授業の妨害をしてるわけでもないのにそう思われてるなんて心外だった。
「…そうか。
なんかあったら俺に相談してもいいんだからな?」
「ありがとうございます。
でも大丈夫です。」
ハルキがダニエル先生と話たがっていたので、私は職員室をあとにした。
仕方ない。ハルキが学校に連れ戻してくれたんだから授業には出席しよう。
1時間目はあと15分しかない。
テキトーに時間潰して2時間目から行こう。
スマホを取り出して、SNSをチェックすると今日だけでフォロワーが50人増えたみたいだった。
一昨日した何気ない投稿も結構いいねが来てたんだけど…朝なんとなく投稿を消してしまった。
もし昨日ハルキといたことがバレたらハルキにも迷惑がかかるよなとふと考える。
…別にハルキと何があるわけじゃないんだけど…。
昨日このままもう会えなくなるの嫌だって思っちゃったんだよね。
柄にもなく駆け寄ったりして。
最近自分を気にかけてくれる人っていなかったからちょっと嬉しかったっていうだけ。
「授業は?」
玄関ロビーでスマホを見ていたあたしにハルキが声をかけた。
もう用は済んだようで帰る気でいるみたい。
「2時間目から出る。」
「ふーん、そっか。
あんまり先生たち困らせんなよ。」
すれ違いざまにあたしの頭をポンポンと軽くなでてハルキは学校から出ていった。
「…今のは反則じゃん。」
1時間目が終わったチャイムが鳴り、生徒たちが教室から出てくる足音とガヤガヤという休み時間特有のおしゃべりが聞こえてきた。
あたしもその休み時間に溶け込み、教室に入る。
「ねぇ、さっきの人誰?」
隣の席のカリナが私が席につくとすぐに声をかけてきた。
カリナとは特に仲がいいわけでもなく、悪いわけでもなくただのクラスメイトって感じ。
「さっきの人…?」
「ほら、ミラノが学校に戻ってきたとき一緒にいた背の高い人だよ。
生徒ではないでしょ?」
この教室は窓から校門が見える。
カリナは窓際の席だから私とハルキの姿が見えたんだ。
「ああ。あの人はハルキって言って2個上の日本人だよ。」
「そうなんだ。
ミラノがいきなり出ていってどうしちゃったのかと思った。」
カリナがそう言って優しく笑った。
そして続けて…。
「よかったらランチ一緒に食べない?
どうせ私もいつも一人だし、たまには二人で。」
まさか誘われるなんて思ってなくてびっくりして何も言えなくなってしまった。
「あ、迷惑だったかな。
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