Sorry Baby

プロローグ

Shirasaki Mirano

わたしのゆめはケーキ屋さんです。
お父さんとお母さんにいちばんに食べてもらって笑顔になってもらいたいです。

古い文集を見てため息をつく。

「バカみたい。」

ママは私が11歳の時に亡くなった。 

あの頃は幸せだったな。
パパもいて、ママもいて。
大きな家に住んで。
ここに書いてある将来の夢とかなーんにも考えず頭お花畑でテキトーに書いてたもんな。
…あの時は全てに恵まれて幸せで夢とかどうでもよかったし。

家は今も同じだけどママはいないしだだっ広いってこういうことを言うんだろうなって。

パパは元プロサッカー選手。
マドリードFCという名門クラブでのプレー経験もある。
ママが亡くなって…私が中学に上がる頃、現役を引退した。

そこからはもうひどい生活ぶりだった。
色んな女の人と頻繁に会っていたみたいだし、酒を飲んで街で暴れて、警察沙汰になったこともある。
1週間どこにいるかわからないことだってあった。

娘のあたしは放置。
何回も裏切られてパパには信用がなくなった。

今だってどこで誰といるのか、何をしているのかなんてわからない。
私が学校に行ってる間に帰ってくることもあるみたい。
もう三週間は顔を合わせてない。

正直何年もそんな感じだから期待もしてないし、悲しいとかそういう気持ちもなくただただパパに関しては無でいることしか対処法がないみたい。

クソ男っていうのはパパみたいな人のことをいうんだなって。

現役引退してからはフィジカルコーチが本職で講演会とかセミナーとかの依頼もそれなりにあるようだから、本当に仕事でいない日っていうのもあるけど。

「まぁもうガキじゃないしね。」

ガッツリお世話が必要な年じゃないし、ある意味干渉して来ないのはお互いに都合がいいのかも。

…もう一週間学校には行ってないし、テキトーに歩いてた夜の街でまたどーでもいい男にナンパされてる。

高校卒業しても大学行きたいとかどの企業に入りたいとか考える気力すらないし正直どうでもいい。

またあたしは今日も知らない男とバーで朝まで過ごすのかな。
クソ男の娘もクソ女？

血は争えないって言うしね。

キラキラした世界にいる嘘をつくのはもう疲れたよ。