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11年後
その後①
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悠莉と圭介が東京に行ってしまうと訪ねて来る人も無くひっそりしている。
翔莉は家でのんびり寛いでいた。ソファーに座り、溜まった未開封の郵便物を確認していると、悠莉の事務所からの封書が目に留まり開封してみた。
かわいく丁寧に書かれた手紙というかメッセージには、"一人でお暇でしたら是非来て下さい"の一文と、ディナーショウのチケットが一枚同封されていた。
クリスマスイブに大阪のホテルで行うらしい。翔莉はチケットを左手に、手紙を右手に持ちながら、お暇でしたらって、この頃は野球もオフシーズンで、暇なのを知って送ってきてると思うと、一人でクスクス笑ってしまった。
よくよく考えたら、今まで悠莉を介してしか会った事が無かったから、連絡先も知らない。悠莉に聞くのも何か誤解されそうだし、まだ日があるのでそのままにしておいた。
数日後、圭介から電話があった。
「翔莉、俺、父親になった…」
「?…」
「悠莉ちゃん、妊娠3ヶ月だって…」
「えっ、え~…」それ以外の言葉が出て来なかった。
深呼吸をして、「おめでとう、それで悠莉は大丈夫なん?」
「ショウリ、大丈夫だよ」悠莉に代わっていた。
「そうか、じゃあ今は仕事もしていないんだな?」
「そう、してないよ。だからもう少し安定期になったら、そっち帰ろうかと圭介と相談してだんだ。産後圭介のお母さんが赤ちゃん見てくれるって言うから」
「そ、そうか、兄ちゃんその辺わからんから?」
「知ってたらおかしいよ、未婚なのに」
「…」
「ところで、安定期っていつ頃なんだ?」
「12月になれば大丈夫だろうけど…人が混み合う時は避けて、年開けてからゆっくり帰るよ、圭介と一緒に」
1月と聞いてホッと胸を撫で下ろす。
「そうか、わかった…ところで先輩も元気にしてるのか?…」
「へー、ショウリから先輩の話し出るの初めてだよねぇ…」
「いや、台湾でお世話になってそれっきりだから」と苦しい言い訳。
「そうだったっけ?…うん元気だよ、そうだ!、今度大阪でデイナーショウするはずだから、行ってあげなよ。きっと喜ぶよ」
「そ、そうだな」あまり余計な事を喋ると墓穴を掘るので、これ以上喋らず電話を切った。
そのあと悠莉から、コンサートのチラシの写メと先輩の連絡先が携帯のSNSに送られてきた。
しまった、相手は芸能人だ、24時間いつがオフなのかわからない。卑怯だと思いながらワン切りのつもりで、夜遅く電話してみた。
"ツルゥー"
「はい、」と声が聞こえた。
「あ、あのう、翔莉です、藤森翔莉です。」
「うふふ、翔莉さんお久しぶり」
「お、お久しぶりです。」汗を手で拭う翔莉
「悠莉ちゃんから、昼にメールもらったんだけど、兄に連絡先教えましたって、そう言われても…」
「すいません…」
「違うのよ、私の方も翔莉さんの連絡先知らないと、間違い電話なのか?イタズラ電話なのか解らないから…だから翔莉さんの連絡先も教えてって返信したの」
「だからちゃんと、翔莉♡って出てたわ」
「そうですか、良かったです。…それで、頂いたチケットですが…一人暇してますので喜んで観に行かせて貰います。」
「ほんと、嬉しい!…じゃあ最高の歌声でお迎えしますね!」
その後も近況などを互いにしゃべり、電話を切ったのは日が替わる頃だった。
翔莉は家でのんびり寛いでいた。ソファーに座り、溜まった未開封の郵便物を確認していると、悠莉の事務所からの封書が目に留まり開封してみた。
かわいく丁寧に書かれた手紙というかメッセージには、"一人でお暇でしたら是非来て下さい"の一文と、ディナーショウのチケットが一枚同封されていた。
クリスマスイブに大阪のホテルで行うらしい。翔莉はチケットを左手に、手紙を右手に持ちながら、お暇でしたらって、この頃は野球もオフシーズンで、暇なのを知って送ってきてると思うと、一人でクスクス笑ってしまった。
よくよく考えたら、今まで悠莉を介してしか会った事が無かったから、連絡先も知らない。悠莉に聞くのも何か誤解されそうだし、まだ日があるのでそのままにしておいた。
数日後、圭介から電話があった。
「翔莉、俺、父親になった…」
「?…」
「悠莉ちゃん、妊娠3ヶ月だって…」
「えっ、え~…」それ以外の言葉が出て来なかった。
深呼吸をして、「おめでとう、それで悠莉は大丈夫なん?」
「ショウリ、大丈夫だよ」悠莉に代わっていた。
「そうか、じゃあ今は仕事もしていないんだな?」
「そう、してないよ。だからもう少し安定期になったら、そっち帰ろうかと圭介と相談してだんだ。産後圭介のお母さんが赤ちゃん見てくれるって言うから」
「そ、そうか、兄ちゃんその辺わからんから?」
「知ってたらおかしいよ、未婚なのに」
「…」
「ところで、安定期っていつ頃なんだ?」
「12月になれば大丈夫だろうけど…人が混み合う時は避けて、年開けてからゆっくり帰るよ、圭介と一緒に」
1月と聞いてホッと胸を撫で下ろす。
「そうか、わかった…ところで先輩も元気にしてるのか?…」
「へー、ショウリから先輩の話し出るの初めてだよねぇ…」
「いや、台湾でお世話になってそれっきりだから」と苦しい言い訳。
「そうだったっけ?…うん元気だよ、そうだ!、今度大阪でデイナーショウするはずだから、行ってあげなよ。きっと喜ぶよ」
「そ、そうだな」あまり余計な事を喋ると墓穴を掘るので、これ以上喋らず電話を切った。
そのあと悠莉から、コンサートのチラシの写メと先輩の連絡先が携帯のSNSに送られてきた。
しまった、相手は芸能人だ、24時間いつがオフなのかわからない。卑怯だと思いながらワン切りのつもりで、夜遅く電話してみた。
"ツルゥー"
「はい、」と声が聞こえた。
「あ、あのう、翔莉です、藤森翔莉です。」
「うふふ、翔莉さんお久しぶり」
「お、お久しぶりです。」汗を手で拭う翔莉
「悠莉ちゃんから、昼にメールもらったんだけど、兄に連絡先教えましたって、そう言われても…」
「すいません…」
「違うのよ、私の方も翔莉さんの連絡先知らないと、間違い電話なのか?イタズラ電話なのか解らないから…だから翔莉さんの連絡先も教えてって返信したの」
「だからちゃんと、翔莉♡って出てたわ」
「そうですか、良かったです。…それで、頂いたチケットですが…一人暇してますので喜んで観に行かせて貰います。」
「ほんと、嬉しい!…じゃあ最高の歌声でお迎えしますね!」
その後も近況などを互いにしゃべり、電話を切ったのは日が替わる頃だった。
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