翔莉と悠莉【上】

ハル

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その頃妹は

家族会議

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悠莉がスカウトされた翌日、ピアノの先生と悠莉がレッスンを終えて帰ってきた。

悠莉には、レッスンに行く前に、昨日の事を先生にも相談したいから、先生の都合が良ければ一緒に帰って来るように話してあった。

圭介には、メールで学校終わったら来て欲しいと送っている。

両親がいないので、普段からおもてなし用の菓子とかが無いので、翔莉は一人の時に、コンビニでスイーツを人数分買って準備した。

先生と三人で、圭介が来るまでソファーに腰掛けて雑談をした。

「悠莉ちゃんの記事を、お店のピアノ募集の横に貼ったら好評で、習いたい生徒が増えちゃって、最近焼き鳥屋の手伝いも行けてないから、兄からブウブウ言われてる。」と、
うれしい悲鳴の先生。

そんなこんなで圭介がやってきた。

コーヒーと買ってきた菓子を出し、翔莉が昨日の出来事を話し終わると、先生が眼を丸くして、凄くいい、凄くいい、と腰を浮かして言ってくる。

圭介はというと、どちらかと言うと反対な意見だ。

こういう時、女性と違って男性は慎重になり過ぎるのかもしれないと先生に言われ、人生にチャンスは何回も訪れないとも言い、悠莉の背中を押した。

翔莉も腕を組んで、こういう時、母さんなら何て言うだろうと考えて見たが、何も思い浮かばなかった。

当の本人、悠莉の気持ちをまだ聞いてなかったので、翔莉は悠莉に確認すると、

「出来る事ならやってみたい、だって好きな歌が歌えるんだもの…、でもお金高いかなぁ?、私まだ払えないから…。」と最後は涙声だった。

「お金なら大丈夫、父さん母さんから、悠莉の為と預かってるのがあるから。」

「そうなのぉ!」と、今度は笑顔で言う。

先生も、「決まりね!」と言って、皆にコップを持つように言うと、コーヒーで乾杯をした。

圭介も、悠莉の事は任せて、翔莉はプロで稼いでこいと言わんばかりある。

そして帰り際に、表まで来てとうるさいので出て行くと、家の前に車が止まっていた。

「どや?
これで悠莉ちゃんの送り迎えもバッチリやろ…。」

圭介は高校卒業と同時に、免許を取ってたのだった。
知らないうちに自分の周りが大人に成長していく事に、翔莉も右手を後頭部に当て、負けたと呟きながら笑った。
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