翔莉と悠莉【上】

ハル

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その頃妹は

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あまり鳴る事の無い家の電話が鳴った。
電話の受話器を取ると声が聞こえてきた。

「もしもし、藤森さんのお宅でしょうか?」

聞いた事の無い声である。

「はい…。」

外務省の事故調査を担当している部署からの定期的な連絡のようなものだった。

「その後、お父様、お母様から何か連絡などありましたでしょうか?」

父達が出発してもうすぐ一年である。
連絡は無いと答えると。

飛行機は台湾近海を飛んでいるので、台湾にある外務省の出先機関にあたる協会に確認していたところ、新たな情報が入ったので詳細の確認を追加で依頼しているという報告だった。

受話器を耳に充てながらも、心臓の音がばくばくと早く音を立てているのが聞こえる。

「よろしくお願いします。」と言って翔莉は受話器を置いた。

何分経ったのだろうか?

翔莉はリビングから庭に出ると、梅雨の明けた夏空に祈るように両親の無事を祈った。

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