翔莉と悠莉【上】

ハル

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プロになる?

契約

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圭介が家にやってきた。

「翔莉、おるやろ?」

相変わらず変な訪問の仕方だ。
ドアを開けて、ズカズカとリビングに一直線でやってきた。
テーブルで何か書いてた手を止め、顔を上げて

「だからいつも言ってるやろ!
勝手にここまで上がって来るなって」

「アホか、飼い犬を叱るように言うな」

「それより、なんで学校替わるんや?
親友の俺に相談も無く…」

「決めてたけど、言う暇無かったんや」

「昨日も会ってたやないか?」と圭介は半泣きになりながら翔莉の肩を揺すった。

まぁ座れとばかりに、ソファーを叩いた。

学校については、通信制の学校に編入するつもりの事を話してくれた。

そして、プロサッカーの契約条件を書いた紙を見せてくれた。これはあくまで翔莉側の出す条件であり、チーム側の条件では無い。
まるでドク〇ーXのような?

一、チームの練習には参加致しません。

二、ホームの試合しか出場致しません。

三、契約金は要りません。その代わり成果報酬を頂きます。
ゴール一本、100万円の報酬。
アシストが点に繋がれば一本、50万円。

四、依頼があった日に、出場機会が無い時は、罰金50万円。

五、その他日当、一万円、ブラス交通費
など、具体的に条件が書かれている。

野球用のも同じように、
三、ホームラン一本、100万円の報酬。
ヒットは25万など、長打になれば25万毎加算する。など、ピッチャーは対戦一人に付き10万とめちゃくちゃな条件だ。

圭介も呆れた顔で

「折角、素晴らしい才能持ってるのに、
こんな条件出したら何処とも契約でけへんで?」

「前にも話したけど、僕は、悠莉が大人になるまでそばに居てるって決めてるんや。」

「…だから、プロを目指してる人には悪いけどプロ契約は、僕にとってはそれまでのアルバイトみたいなもんやねん
生活していくにはお金もいるし、小学生の悠莉を一人残して遠くには行けないんや」

翔莉が冗談で書いたものでない事がわかった圭介は、俺も手伝うからと、側にあったティシュで鼻を噛んでゴミ箱に投げ入れた。

捨てるあれば、拾うあり。

圭介が帰った翌日
早速、先日行ったチームのスカウトから連絡があり、契約条件を書いた紙を送ると数日後に、封書で契約書が送ってきた。

内容は翔莉が送った条件をパソコンで入力した形で記載があり、契約期間は三ヶ月となっていた。

「よっしゃ…。」とグーを作り、今日は翔莉から圭介に電話したが不在のメッセージが流れて切れた。

三時過ぎに折り返しの圭介からの電話があった。

「どうしたんや、なんかあったんか?」

「授業中やったから今になった」

「……、ごめん、嬉しくてつい掛けてしまった。そういえば普通、皆学校行ってるわなぁ。」

「そうや、皆学校行ってるで、嬉しいって何があったん?」

「契約書送ってきた。」

それだけ伝えると、お互い無言になり、喜びを噛み締めると、どちらかが切ったのかわからないが電話は切れた。






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