翔莉と悠莉【上】

ハル

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新生活

引越し

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「翔莉、悠莉、起きなさい。」
母が階段の下から二階に向かって叫んでる。
「あと五分!」
翔莉は片目で携帯の時計に眼をやる。
まだ七時まわったばかりじゃん。
「今日から新しい学校でしょ、母さんは悠莉と一緒に行くから、早く起きて準備してよ。」

そうだった、父の転勤で春休みに東京から大阪?尼崎市へ引越して、市内の公立学校に通う事になって、今日から新学期だ。

翔莉はこの四月で高校三年、
小学校の時は松坂に憧れ少年野球に夢中になり、中学生になるとサッカーに夢中、
クラブ引退後には、テレビのクイズ番組に夢中になり、あらゆる本を読み漁り、その結果高校受験も難無く勝ち取った。

都立高校でも成績優秀で、そのまま一人残って東京の大学に行きたいと言ったが、
子離れしない両親が
「あなたは一人になると勉強しないで好きな事する性格だから、絶対ダメ!」
大学受かったら一人暮らししてもいいからと、半強制的に説得され転校する事になった。

妹の悠莉は小学校五年になる。
歌が好きな女の子で、いつも歌を口ずさんでいる。
明るい性格で、しっかり物だ。

二人ともモデルをやっていた母親似で、整った顔をしている。

「ゆうり、ご飯食べてる時くらい歌うの止めなさい!」

食事も終え、慌しくそれぞれの行先に出掛けて行った。
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