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9章 エルマさん攫われる!

マックスの告白

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とにかく辛い...聞くべきじゃなかった話だ...辛い

目から涙が溢れでる...エルマ様がディビドのものになり、父と慕っていたアルバンは本当の父親ではなくて...親族に恨まれる貴族の子供だったなんて...

もしかして父と母が殺された事件もその貴族が原因なんじゃないのか...そんな...それって僕のせいで...そんな!

「ううっ...そんな...そんな...」

走って村の木陰に隠れひたすら泣いた...涙が止まらない...嗚咽を漏らしながらぼろぼろと涙が溢れる。

何で産まれてきたんだ...僕が産まれてこなければ父も母も死なずに済んだんじゃ無いか...なんで!

「何で僕なんて産まれてこなきゃよかったんじゃ無いか...ううっ...うう...」

「マックス氏?泣いてるの?」

後ろから声が...ああ...その声...いつもの優しい声。

「エルマ様...」

「どうしたの...何かあったの?」

「何でも...無いです...」

「何も無い訳ないじゃ無い!私はマックス氏のお姉さんなんだから!ほら!何があったの??」

あの時のように最初に出会った時の様に...泣いている僕に手を伸ばしてくれる...ああ...やっぱり優しい方だ...

「エルマ様...僕...僕は...」

エルマ様に抱きつき...ぐずぐずと泣く...みっともないかもしれないけど頼れるのはエルマ様だけだ...

「どうしたの...」

「僕は...産まれてくるべき子供じゃなかったんです...ううっ...」

「誰がそんな事言ったの!!!信じられない!!!」

「っ違うんです...僕はお父さんの...アルバンの子供じゃ無かったんです...何処かの貴族がお母さんと間違って出来た子供だったんです...僕がいたからきっとお父さんもお母さんも殺されたんです...ううっ...」

「マックス氏...」

「僕は何で産まれてきたんでしょうか...僕のせいで...」

「そんなのマックス氏のせいじゃ無いよ...マックス氏...私はマックス氏が産まれて来てくれた事を...マックス氏に会って一緒に生活出来たことで幸せだったよ!私の一番の友達はマックス氏だけなんだから!家族みたいなものなんだから!そんな産まれてこなかったなんて言わないで!!!」

ぎゅっとエルマ様は僕を抱きしめてくれる...やっぱり僕は...諦められない!

一つの決意をする...

「エルマ様...なら...僕と逃げましょう...もういいじゃないですか...」

「マックス氏?」

「エルマ様は戦争回避の為に必死にいろいろ頑張って来たじゃないですか...なのにスケベ王子には執着されるし勝手に預言のせいで悪魔を倒したりとか嫌でもディビドと結婚して子供産まなきゃとか大変じゃないですか...もう多くの人の為に頑張らないで僕と一緒に逃げましょ?ディビドにもスケベ王子にも見つからない場所へ...2人で一緒に逃げましょ...」

僕はエルマ様の事を強く抱きしめる...もう離さない...

「マックス氏...ダメだよ...それは...」

「もうディビドにもスケベ王子にもヘルムート様にもエルマ様を渡さない...例えトラウゴットの神であっても...」

もういいや...エルマ様が僕のものになってくれるならどんなものでも裏切っていいや...僕にはエルマ様が...エルマ様だけが必要なんだもの...

エルマ様は強いかもだけどあくまで神罰を使えるからだ...それ以外は純粋な力や体力は僕の方が上だ...力づくでも攫っていける...どこに行こう...隣国のテルニへ行ってそこの兵士にでもなってお金を稼いでエルマ様を隠そう...僕は強いからどこででもやっていける...僕がエルマ様を隠して養うんだ...エルマ様の見た目は目立つからどこかに閉じ込めて僕だけを見てくれるようにすればいいや...

「何言ってるの???マックス氏???」

目を丸くしてこっちを見るエルマ様はかわいい...でもわからせなきゃ...貴女は僕のものなんだって...

「エルマ様...僕のものになって...」

そう言ってトン...と首に手刀を当ててエルマ様を気絶させる。

「うっ」

がくっと動かなくなったエルマ様を抱きかかえる。

乗ってきた馬は馬車の近くだ...うまく連れてくれば一緒に乗って遠くまで走れる...あとエルマ様の髪の毛を隠さなきゃ...綺麗な緑の髪は目立つから...術士のローブでも着せて頭をすっぽり隠せばいい...あとはディビドだ...あいつが気がつく前に行動しないと!


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マックス氏初恋拗らせすぎて思い詰めた結果とうとうヤンデレ化しました...あーあ
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