銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter7:become a teacher

嘆きと叫びの王モレク その19

「うああああっ！！！」

モレクの身体から溢れて出た炎はそうそう簡単に消えることがなく、何とかして上着を脱いで腕から上半身にかけて氷の術式を展開させ消すものの酷い火傷が生じる。

「うううっ！」

「大変だわ！」

バレンティナはひどい火傷に苦しむグラートに駆け寄るも回復の奇跡も使えない為に身体を冷やす為に氷の術式を手に展開させ兎に角冷やす。

そんな状況でだんだんとモレクの姿が形作られていく、ギラギラとした鋳物の銅像、身長も倍程の大きさになり身体から漏れ出る炎は勢いが良くそこから先程の塊から嘆き叫ぶ声が響き渡るが、だんだんと雄牛が吼えるような声に変わっていく。

『ブモォォォォ！！！！』

もう人の言葉が話せなくなってしまったのか、ただただ吼えるモレク、どうやら本来の生贄と違ったおかしげな異物を取り込んだが故なのか気が狂ってしまったかのようである。

リュシフェルは小心なモレクを狂わせる事も前提でその合成人間を渡したのだ、あのままでは恐れてばかりで逃げ回るだろうと踏んでだ。

『アハハハ！さァ！『嘆きと叫びの王モレク』の復活の時が来ましタ！若い天使ノ花嫁がココにいマス！その娘を使っテ天使を呼び出し焼き殺しナサイ！』

「リュシフェル！お前の思惑は決して果たされはしないわ！」

『強がっテも無駄デすヨ！アハハハハ！！！！』

そう言ってリュシフェルは姿を消してゆく。

「俺がガードするからバレンティナ嬢はまず負傷したグラートを連れて逃げろ！！！」

「すみません！マキシムさん頼みます！」

バレンティナは火傷を負ったグラートを起こして肩に腕をかけさせて逃げる。

『ブモォッォォッ！！！！』

「させるかぁぁ！！！」

バレンティナを追いかけようとする巨体のモレクにマキシムは立ち向かう。

マキシムの全身鎧は攻撃系も精神系も含めて術式から守られる様に作られたものだ、火の粉を被ってもある程度なら無事でいられる。

振り下ろされる大きな拳を手にした大剣で跳ね返すマキシム。

ジョナサンや術士達が大勢やってくるまで耐えねば、とマキシムはモレクに立ち向かっていくのだった。

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