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chapter7:become a teacher

嘆きと叫びの王モレク その16

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しかし創造者にして忠節なるトラウゴッド神はそれを許さなかった。

神は信仰の人ルーエンとその一族、つがいの家畜や野獣を高い山の一箇所に集めて保護し、それ以外の地上を全て火と硫黄の海によって焼き尽くしたのだ。

堕天した天使とその子供である巨人と彼らを崇めた人々全てを創造者にして忠節なるトラウゴッド神の手によって滅ぼしたのである。

堕天した天使はその姿を翡翠の書き板へと変えて難を逃れはしたものの、同時に神により様々な呪いをかけられた。

その中でも最たるものが創造者にして忠節なるトラウゴッド神の名を呼び求める事が出来ない呪いである。

それは創造者にして忠節なるトラウゴッド神から『敵』と見なされたと同意義であり、天に戻ることも救いも祝福も得ることができない存在となったのだ。

そして時が来たらハイラント救世主の手により完全に滅ぼされる事も決定づけられたのである。

モレクは創造者にして忠節なるトラウゴッド神が完全なる滅びを引き起こす時にやり過ごせる様にと今の炎と金属で出来た身体を得た、本当に小賢しい存在なのである。

『のわぁっ!!!』

学校裏の道を走って逃げるモレクの前に大量の氷の壁が地面から勢い良く現れて足止めされる。

そこには学生服を着たグラートが片手にロッドを構えて立っていた。

「コレがジョナサン達が言っていた悪魔モレクか?」

グラートは見た事も無い動く炎が漏れ出る鋳物の牛の像をその臙脂色の瞳で睨む。

『赤宿しの子供だ!!!』

モレクは自らの贄にしようと嬉々としてグラート目掛けて走ってくるが、ぎりぎりの所でモレクはバチっ!と弾かれる。

『何!聖化されているだとぉ!!!』

「なんだろう、でも都合が良いみたいだね」

グラートは気がついていないのだが、実はディビッドが食堂のスタッフとして紛れ込んでいた理由がこれだったのだ。

聖水を作る手間がかなりかかるが、一定期間聖化された食物を取り入れると取り入れた肉体もまた聖化される為、生徒を守るためにディビッドはランチに使用する食材や水をすべて聖化させたのである。

それは悪魔が聖化された純銀に触れると痺れを引き起こすのと同様の効果があり、聖化が強力であればある程悪魔が触れる事すら出来なくなるのだ。

しかも神の加護が高まる、それはジョナサンが生徒達を守った事も関係する、それこそ神の介入ができる足がかりになるからだ。

グラートは弾かれたモレクに向かって術式を展開し始める。

「術式展開!『氷の壁よ!アイスヴァント』」
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