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chapter7:become a teacher

再誕 その8

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「これなんか大怪我してるのに平気そうに笑ってるけど結局後で大泣きしながら治療受けてたもんな!」

とディビッドの写真を上の3人の兄弟達は末っ子の写真に興味深々だ。

「えーそんなの撮ってたの???」

色々なたわいもない思い出の写真に目をまんまるく開いて驚くディビッドにそうだよ、大切な成長の思い出なんだから、と彼らの父は優しく話す。

「あ!」

その中で一枚の写真が出て来る、それこそ小さいディビッドがもっと小さいバレンティナと一緒にフラウエン教会内のベンチに座ってお菓子を一緒に食べている写真だ。

ディビッドはそれを手にして大事に抱え込む。

それはディビッドの大事な思い出だもの、と彼らの父はそう話ながらディビッドの頭を撫でる。

「うん!この子ぼくのおよめさんなんだもん!」

えへへ、と笑うディビッドは彼らの父の顔を見る、そうだね、その子の事を本当に大切にするんだよ、と彼らの父はディビッドに話すとディビッドは元気よくうん!と返事をする。

「...そろそろかな、ディビッド戻る時間っスよ」

ジョセフはディビッドにそう話す。

「え~まだおとうさんと一緒に居たい」

ディビッドはぎゅう、と彼らの父に抱きつきぐずりだすが、彼らの父はディビッドに優しく語りかける。

ディビッド、お前をたくさんの人が待っているよ...それこそお嫁さんが一番お前に会いたがっているよ?ほら、聴こえないかい?と。

「あ...」

空の何処からか声が聞こえる。

『お願い、目覚めてディビッド』

切実なバレンティナの祈りの声だとディビッドは気がつく。

「ティナが呼んでる...」

ディビッドは父の膝から降り、少し歩いてから振り向く...もう遠くに彼らの父と3人の兄がおり笑顔で手を振る。

いつも見守っているから心配しないで行きなさい、と父の言葉に泣きそうな顔をするディビッド。

「...本当にずっと私を見守ってくれていたんですね...『お父さん』...」 

ディビッドの姿はもう幼い子供ではなく成長した22歳の青年の姿となる。

そして今まで見てきた夢は彼らの父がずっと見守っていたものだと気がつくと、ディビッドはぼろぼろと涙を流す。

血を分けた肉親はディビッドを捨てたが彼らの父である創造者にして忠節なるトラウゴッド神はずっとディビッドを見守っていた、そうディビッドをその母鳥の双翼で包み込む様に守り続けていたのだから...

そうしてディビッドは長い夢から覚める、待っている人々に...誰よりもディビッドが目覚めることを願っているバレンティナの為にも。

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