銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter7:become a teacher

古い夢5 その3

しかしディビッドはそんな周囲の目は全く気にしてはいなかった。

そんな事より身体中が痛みで辛いし、ずっと熱が下がらず痛みを和らげる為に処方されている薬のせいで頭は重く、何より唯一神に祈りを聞き届けられた証でもある回復の奇跡が自身に効かないどころか自身が使えなくなってしまった事に頭がいっぱいになっていたのだ。

ディビッドは信仰心が生まれついてか、預言者であるエステルよりも高く、自身の祈りが聞き届けられない状況が辛い。

処置が終わって彼らが去って行くと急に静かになる。

「辛い...」

しん...と静まり返った部屋の天井を見つめながらそう呟くディビッド。

そんな時にバン！と部屋のドアが開く。

「よっす！坊ちゃん！」

なんとも腹立たしい人物がやって来たな、とディビッドは声の主を睨む、そこにはサミュエルが紙袋を抱え笑いながら立っていた。

「勝手にやって来ないで下さいよ...いたた...」

「まぁそんな怒らない怒らない～傷口開くっすよ～」

と鼻につく言い方をしながら近くにあった椅子に座って紙袋を開けると、露天で売ってる揚げたてのポテトチップスが入っていたのか部屋中がその匂いで充満する。

「ううっ！怪我人の前でそんな油の匂いをさせないで下さいよ！」

具合の悪い状況下の油の匂いは正直厳しい。

「ははっ！思ったより元気っすねぇ！エステル様の話だと半泣きで死にかけ状態になってるって聞いてたっすからね～」

ディビッドの近くでパリパリと美味しそうに食べる姿がなんとも憎らしいサミュエルが鬱陶しいが、痛みと熱もあるし何より動けないせいで追い出す事どころか言い返す事もできない。

「まぁ回復の奇跡ヒールが効かなくなっても回復薬ポーションが効くからまだ良かったっスよねーエステル様が賢者レベルの錬金術師を大枚を叩いて連れて来る算段がついたし暫くすりゃあいつも通り元気に動き回れるようになるっスから！」

「そんな簡単に...いたた...」