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chapter7:become a teacher
古い夢4 その14
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「ん???お!それは!」
手土産に気がついたのかディビッドからヒョイ、と籠を取り上げるとナッツ入りクッキーやドライフルーツがたっぷり入ったパウンドケーキなど美味しそうなお菓子がたくさん入っている。
「マキシムを巻き込んでしまったんで、せめてお詫びにって思いましてね」
「おお!列車に乗った時に食べたクッキーと同じのが入ってるな!これ旨いんだよな!」
とマキシムはそのまま手作りのクッキーを手に取り口に放り込む。
「俺が屋敷の方にいた時には食べた事無いけど、シェフが変わったのか?」
クッキーを咀嚼しながら尋ねるマキシム。
「いえ私が作ったんですよ、それもですがあの時のクッキーも」
「へ???お前が???」
マキシムは目を丸くする、なにせプロより味が良いのだ。
「孤児院にいた時にバザー用のお菓子としてクッキーやパウンドケーキにヌガーと作ってたんですよ、結構人気があったんで、もし司祭以外の職を選ぶならパティシエになるのも良いかなって思ってましたんでね」
ちょっと得意げな顔をするディビッド。
「へぇ、意外な特技があるんだなぁ~」
とマキシムはカットもしてないパウンドケーキをそのまま齧り付く。
「ああっ!なんて食べ方するんですか!!!」
「いいじゃないか...うん!旨い!」
「うわぁ...とても本物の王子様とは思えない」
ディビッドはパウンドケーキがまるまる一本マキシムの腹に収まっていく姿は気品のかけらもない。
いつもはマキシムに礼儀作法を叩き込まれているが、食事のマナーに関しては教わっていなかった為食べ方のガサツさに呆れ気味のディビッド。
「呆れた顔で見てるが、俺は場所を弁えて行動するから食事のマナーとか心配ないぞー」
あっという間にペロリと籠の中いっぱいのお菓子を全て食べ尽くすマキシムにディビッドはただただ目を丸くする。
「あー旨かった!」
「あんなにたくさん作ったのに一瞬で...」
それなりに時間をかけて作ったお菓子が短時間で食べ切ったマキシムに驚きを隠せないディビッド。
「どうしても身体を鍛えると腹が空くからなぁ!」
あははとマキシムは笑う。
「...だからマキシムは大きいのか...」
ディビッドはマキシムを見上げてながら妙に納得する。
「ん???まぁお前もたくさん食べてりゃあ大きくなるさ、まだ成長期なんだし」
「そうですかねぇ...」
「そうそう、きっとサミュエルよりはデカくなれる!」
と言いながらディビッドの頭をガシガシと撫でる。
「うわぁ洗ってない手じゃないですか!やめて下さいよぉ!」
「あはは!」
随分と親しくなれたな、とマキシムは思いながらディビッドの頭を散々ガシガシ撫でるのだった。
ちなみに余談ではあるがこの数年後に大きく成長したジョナサンと再会した時に、マキシムより大きいのにそこまで食べないジョナサンを見て、たくさん食べるのはただの体質でしかない事にその時のディビッドは騙された気持ちになったのだった。
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手土産に気がついたのかディビッドからヒョイ、と籠を取り上げるとナッツ入りクッキーやドライフルーツがたっぷり入ったパウンドケーキなど美味しそうなお菓子がたくさん入っている。
「マキシムを巻き込んでしまったんで、せめてお詫びにって思いましてね」
「おお!列車に乗った時に食べたクッキーと同じのが入ってるな!これ旨いんだよな!」
とマキシムはそのまま手作りのクッキーを手に取り口に放り込む。
「俺が屋敷の方にいた時には食べた事無いけど、シェフが変わったのか?」
クッキーを咀嚼しながら尋ねるマキシム。
「いえ私が作ったんですよ、それもですがあの時のクッキーも」
「へ???お前が???」
マキシムは目を丸くする、なにせプロより味が良いのだ。
「孤児院にいた時にバザー用のお菓子としてクッキーやパウンドケーキにヌガーと作ってたんですよ、結構人気があったんで、もし司祭以外の職を選ぶならパティシエになるのも良いかなって思ってましたんでね」
ちょっと得意げな顔をするディビッド。
「へぇ、意外な特技があるんだなぁ~」
とマキシムはカットもしてないパウンドケーキをそのまま齧り付く。
「ああっ!なんて食べ方するんですか!!!」
「いいじゃないか...うん!旨い!」
「うわぁ...とても本物の王子様とは思えない」
ディビッドはパウンドケーキがまるまる一本マキシムの腹に収まっていく姿は気品のかけらもない。
いつもはマキシムに礼儀作法を叩き込まれているが、食事のマナーに関しては教わっていなかった為食べ方のガサツさに呆れ気味のディビッド。
「呆れた顔で見てるが、俺は場所を弁えて行動するから食事のマナーとか心配ないぞー」
あっという間にペロリと籠の中いっぱいのお菓子を全て食べ尽くすマキシムにディビッドはただただ目を丸くする。
「あー旨かった!」
「あんなにたくさん作ったのに一瞬で...」
それなりに時間をかけて作ったお菓子が短時間で食べ切ったマキシムに驚きを隠せないディビッド。
「どうしても身体を鍛えると腹が空くからなぁ!」
あははとマキシムは笑う。
「...だからマキシムは大きいのか...」
ディビッドはマキシムを見上げてながら妙に納得する。
「ん???まぁお前もたくさん食べてりゃあ大きくなるさ、まだ成長期なんだし」
「そうですかねぇ...」
「そうそう、きっとサミュエルよりはデカくなれる!」
と言いながらディビッドの頭をガシガシと撫でる。
「うわぁ洗ってない手じゃないですか!やめて下さいよぉ!」
「あはは!」
随分と親しくなれたな、とマキシムは思いながらディビッドの頭を散々ガシガシ撫でるのだった。
ちなみに余談ではあるがこの数年後に大きく成長したジョナサンと再会した時に、マキシムより大きいのにそこまで食べないジョナサンを見て、たくさん食べるのはただの体質でしかない事にその時のディビッドは騙された気持ちになったのだった。
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