銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter7:become a teacher

古い夢4 その8

ーー

ディビッドが目を開けた時にはもうヘルムートの屋敷の自分の部屋のベッドの上にいた。

「...帰れなかった...」

ロストックでの事を思い出し泣きそうになるディビッド。

イタズラして怒られるも結局許してくれる司祭ナサニエルや実の子供の様に優しくしてくれたマヌエラ、兄や姉として接してくれた孤児院の子供達、ジョナサンやベルを含む友人達に会いたかった。

「坊ちゃん目ぇ覚ましたっスね」

一番見たく無い顔の男がそこにいて涙が引っ込んで嫌な顔をするディビッド。

「何で私の部屋にいるんですか」

「そりゃあ知らない内に目を覚ましてまた家出されたら面倒っスからねぇ～」

「結局姉上にはお見通しなんでしょ...もうそんな無駄な事しませんよ...」

拗ねているのか不貞腐れながらそう話すディビッド。

「結構簡単に諦めるんスね」

「...預言者に敵わないのはよく知ってますから」

「はぁ？？？だから坊ちゃんは甘ったれなんスよ、ガッツ見せたと思ったのに？？？」

「そっちこそ何なんですか？？？逃げたのを連れ戻しておきながら！」

サミュエルの挑発的な言葉にディビッドは言い返す。

「そりゃボクはあくまでもエステル様の命令に従ったまでで、坊ちゃんが家出した事自体に他の使用人達と違って心配とかそー言う感情なんて一切ねぇっスからね！まぁ家出なんて大それた事をやらかすガッツにはめちゃくちゃ感心したっスけど！ははは！」

「は？？？...意味が分からない...」

「正直な事言うとボクとしては坊ちゃんはさっさと田舎ロストックに帰って細々とつまんねぇ生活でもしてりゃあ良いのにって思ってるっスけどね、エステル様の弟だから連れ帰っただけっス」

「じゃあほっとけば良かったのに！」

「本当はそうするつもりで山々だったんスよ、この甘ったれ！」

「痛！！」

サミュエルにパン！と右頬を叩かれるディビッド。

「自分の立場をまだ理解もしねぇでエステル様やザイオンの使用人達困らせて！坊ちゃんの家出の件で屋敷に残ってた使用人達はそれなりな罰を受けるし！王子サマは2週間の謹慎！それとエステル様から相当絞られるんスよ！こんな勝手な事されてすげぇ迷惑なんスよ！」

「はぁ？？？別に自分で望んだ訳じゃ無いですから！勝手に捨てて勝手に連れ戻されて！！！それで立場立場って何なんですか！！！」

ディビッドとサミュエルが睨み合う。