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chapter7:become a teacher

ジョナサン試験を受ける その10

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「まぁ難しいよなぁ、でもさ...お前本当に軍人になりたいのか?それにお前の親父さん本気でお前に軍人になって欲しいと思ってんのか?」

「よく分からない...」

ジョナサンの問いにそばかすの少年は俯きながらそう答える。

「ならさ、どんな道にも進める様に勉強してしっかりした知識を身につけて、実技は基礎を怠らないで力をつけろよ、お前運良く術士の才能はあるんだからさぁ、で本当に軍人になりたいならそう進めば良いし、自分に合わない様なら身につけた知識で別な道に進めばいいと思う、親に勘当されたって術士として身につけた知識で食いっぱぐれる事は無いしな」

ジョナサンの中での思いつく精一杯なアドバイスをそばかすの少年に伝える。

その言葉にハッとするそばかすの少年、一本しかない道と思っていたが、そこには無限の道が存在している事に気付く。

「ありがとう、ワイズ君...ありがとう」

何度も感謝の言葉を述べながらぼろぼろと涙を流す少年。

「泣くなヨォ...」

きっとこいつには軍人なんて無理だ、とジョナサンは内心思いながらハンカチを出して渡してあげる。

「じゃあな」

涙を拭う姿を見ながら、何をやっているんだろうな...とジョナサンは思いながら去ろうと思い踵を返そうとすると、大事な事を思い出す。

「あ!大事な事を聞き忘れてた!」

「?」

「お前!複合術誰から教わった????お前以外に誰か同じ様に教わった生徒は???」

「あ...それは...」

そばかすの少年は教わった人物の名前を言うと、ジョナサンは息を呑む。

話を終わらせて少年と別れた後に、近くに潜んでいた異端審問官を呼ぶと再び現れる。

「あの少年もだけど少年とつるんでいた連中の保護も頼む、あと...」

少年から聞き出した人物の名前を告げて調べる様に、とジョナサンは指示すると何人かはサッとそれぞれの持ち場へと消えてゆく。

「ただの懸念だけにしては怪しすぎるもんな...」

ジョナサンは心に怒りを宿す、未熟な術士見習いに難易度の高い術式を使わせようなんて危険な行為をさせようとした人物に対して。

しかもどうやら生徒数人にそう仕向けようとしていた事、丁度タイミング良く試験場所が同じだった為に止める事が出来たが、そのまま暴発したら何人もの生徒が焼き殺される所だった。

それこそ神の介入があったのかもしれない、とジョナサンは思う。

「あと試験場所を再度確認した方がいいかもな...それこそ生贄とするなら何か残っているかもだから...」

ジョナサンは残りの異端審問官と共に深夜にでも試験場所を調べる事にしようと思う。

「これじゃ戻れないな...」

とジョナサンはつぶやくのだった。
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