銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter7:become a teacher

ジョナサン試験を受ける その2

炎と土の複合術式ラーヴァシュトロームを構築しようとしているが、高位術士アークメイジでも扱いの難しいものであり、構築図を間違えると暴走する可能性もある。

しかも術力も削られ、場合によってはバレンティナに生じたように術力枯渇が生じてしまうし、正直このまま暴発すればその少年や周囲の人々の焼死は免れない。

「みんな離れなさい！」

試験官の教師も不味いと感じて生徒を守る為に防御結界を張り避難する様に指示する、周囲の生徒達もそれを察して距離を取る。

しかし試験官の教師はそこまで強い結界を張れないようでこのままだと結界を突破して大きな被害が出るとジョナサンは察知する。

ラーヴァシュトロームを構築していた生徒も途中でおかしい事に気がつき止めようとするも、不完全とは言え構築図が出来上がっており暴発しかねない程になっている。

「あ！うわぁ！！！」

「危ねぇっ！！！」

炎が構築図から漏れ出て地面も揺れだしてかなり不味い状況になっている中、ジョナサンが有無を言わせぬ速さで飛び出す。

ジョナサンの手に術式を即座に構築させその少年の腕を掴む。

『対術っ消失！』

ジョナサンはそう叫びながら少年が作った暴走直前の構築図を自身で作った消失術式を展開させて漏れ出る強い光で覆うようにすると炎がそのまま消えてゆく。

少年はあわあわしながらその場で尻餅をつく、早い段階で消し去ったとは言えそれなりに術力を消耗してしまった為立てなくなったのだろう。

ジョナサンははぁ、とため息を吐く...まぁ無事で済んで良かったな、と。

そうしたら急に試験官の教師が大興奮でジョナサンの前にやってきてジョナサンの正面から両肩を掴む。

「君！杖も使わないし詠唱短縮で対術消失を展開するなんて初めて見たよ！！！」

「え...」

そうだ、今自分は13歳の学生役を演じている事をジョナサンは思い出し青ざめる。

本来の術士は術式を構築する際には補助として杖を用いるのが普通であり、正しく構築図を作成する為の詠唱と共に行うものだ。

ジョナサンは聖サンソンの家系故に通常の術士と違ってかなり身体が頑丈で反応速度が早く、四大術式が使えるだけではなく、杖も無く詠唱をしないでも構築図を展開させる稀有な能力も持っている、いわゆる普・通・の・術・士・ではないのだ。