上 下
701 / 841
chapter7:become a teacher

ゲヘナの火 その6

しおりを挟む
「忌まわしき悪魔を封じた場所なんですよね」

「そう、ただ今回この場所からモレクの封印を解き悪魔の心臓たる禁呪の書き板を盗んだ可能性が...あれは!」

教官は谷底の一部を指差す、そこだけ青い炎が燃えていないのだ。

「解析班!以前の状況との差の確認は?」

「はい!確かにあの場所にも炎があったはずです!」

「あそこには青い炎があってもはっきり分かる封印式の図式があった筈なのにそれも消えてます!」

「やはりマキシマム様の仰る通りだったと...これで悪魔モレクの封印が破られたと...しかし」

人間にこのゲヘナの炎を避けてこんな事ができるのか?という疑問が頭をよぎる。

しかもモレクは大悪魔の類の可能性もあり、聖典の記述でも書き板へ変化した記載もなく、ただの禁呪の書き板で封じられてはいなかった可能性もある。

「谷を降りてあの場所まで確認をしますか?」

「いや、ゲヘナの炎は危険すぎるのだ、だから確認をするにしても最も近い場所でここになる...この状況を念写画で残してマキシマム様達へ報告を送らねば...」

そんな話をしている最中だった、暗くなってきた空に光を感じ、その場にいた全員が空を見上げるとあり得ない光景に目を見開く。

まばゆい光を放つ存在がその背に生える六つの翼を用いて空を飛んでいるのだ。

それこそ最近彼ら全員はその光景に近いものを目撃している、バベルの塔を崩壊させ奈落へ落とし、バーレで傷ついた人々全てを癒した天使...その天使とは違う姿だがその威光に全員がひれ伏す。

『全員顔を上げるが良い、畏れ敬う方はただ1人...我らの父たる偉大なる方、創造者にして忠節なるトラウゴッド神のみなのだから』

天使の声を聞き、全員が顔を上げると天使は彼らの前に立っていた。

その姿は燃える炎のような赤い全身鎧兜の騎士であり、六枚の耀く翼を持つ者だ。

その片手にはランタンを持っている。

「て...天使様、何故こちらに」

調査団の長である司祭が尋ねる。

『我はこの地より逃げ出した大罪人モレクを再度この地に幽閉する為に遣わされし者、それにはこのゲヘナの地で延々と燃える神の呪いでもある炎を取りに来たのだ』

「天使様が自らの手で...」

『しかし我が介入できるのはこの火を人の手に安全に委ねる事のみである、何故なら打ち倒す者がモレクが逃げ出した地にいるからである』

天使がそう言いながら谷へと手をかざすと谷底から青い炎がやって来る。

その炎の一部を取り、手に持つ黒鉄で作られたランタンに入れた後にその場にいる全員を見る。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した

Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...