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chapter7:become a teacher
鋳物の牛 その8
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『我にこのような攻撃が効くと思うたか!彼の神の僕よ!火と硫黄の海でも燃え尽きぬこの身体を!』
モレクはそう言いながらジョシュアに向かって嘲笑いながらジョシュアの元へと進んで行く。
しかしジョシュアはモレクを見ず天を仰いだままだ。
『...創造者にして忠節なる神よ...』
ジョシュアはそう呟くと、暗い空がだんだんと明るくなり見た事の無い様な巨大なものが現れる。
それは輝く橄欖石で出来た様な四つの大きな車輪だ。
しかも特殊な形をしたもので輪の中に更に輪のある作りでそれには人の目のようなものがびっしりと付いており、それぞれの輪の中には輝く六枚の翼を持った者が身体を覆っているのが見える。
『まさか...ガルガリンが!天の兵車がこの地にだと!!!』
モレクが慄く、それは創造者にして忠節なる神の玉座でもあり天の兵車、その車輪でもあるガルガリンが現れたのだ。
神の玉座そのものは姿が見えないが間違いなく創造者にして忠節なるがこの地に臨在したことを意味する事をモレクは気がつく。
モレクは自らをこの地周辺の『神』として大いに崇められる様に肉体を持たない時点で配下の悪霊や自身の幻影を操り、豊穣神として振る舞い、その生贄として人の子供を要求していたのだ。
そうやって多くの犠牲を用いて、呪いを行い自らを燃える炎を実態とした身体を作り上げたのだ。
そこまでして炎の身体を手に入れた理由...それは創世の時代にモレク自身が火と硫黄の海で焼かれた事自体がトラウマだったからだ。
だからこそ、炎そのものの身体を求め燃える神の裁きを逃れようとしたのだ。
しかし創造者にして忠節なるはそれを見抜いており、そんな浅はかなモレクに対して神自らが裁きを行う事を決めたのだ。
『邪悪なる鋳物の牛よ!お前のその身体は笏によってバラバラに砕け散れ』
まるで雷が落ちたかの様な音のような声、神そのものがそう言われると、天の玉座より沢山の翼を背に生やした天使の1人が降り立つ。
姿は光輝いており姿がはっきり見る事が出来ないが、その天使はジョシュアの元へやってきて、一つの杖を渡される。
それは王笏であり、赤と青の石がはめられたもの...セプター オブ バーレそのものだ。
ジョシュアはそれを持ってモレクのいる場所へ飛び降り、その勢いのままにモレク目掛けてその王笏で叩きつける。
『モレクよ!ゲヘナの燃える火の糧となれ!』
モレクは大きな一撃を受け、その身体を維持できなくなり破れた陶器みたいな状態となり、青い炎によって焼かれていく。
炎の身体をもってしても、それ以上の炎に焼かれてながら。
『お前は焼かれる責め苦から決して逃れる事は出来ない、完全な滅びの時を!ハイラントの手により滅ぶまでお前に安寧の時は無い!』
そう予告され、モレクのバラバラになった身体は燃えるゲヘナの地に封じられていく。
『この王笏は時が来た時に世に現れるレガリア、それはハイラントの誕生の兆し』
そしてジョシュアの手にあったセプター オブ バーレは光の粒となって消えてゆく。
『神の王笏が...』
ジョシュアは何も持っていない手を見つめた後に天を仰ぐ。
もうそこにはガルガリンの姿も無く、火が傾いて空は赤くなっていた。
そしてその場所はゲヘナと呼ばれる罪人の遺体やゴミを捨て燃やす忌み嫌われる場所と化すのであった。
────────────────────────────
※ヒンノムの谷=ゲヘナ(ゲーヒンノム、罪人の遺体などを焼却するゴミ捨て場とされていた場所の意)
前もってこの話ではゲヘナ=地獄とは訳しません。
モレクはそう言いながらジョシュアに向かって嘲笑いながらジョシュアの元へと進んで行く。
しかしジョシュアはモレクを見ず天を仰いだままだ。
『...創造者にして忠節なる神よ...』
ジョシュアはそう呟くと、暗い空がだんだんと明るくなり見た事の無い様な巨大なものが現れる。
それは輝く橄欖石で出来た様な四つの大きな車輪だ。
しかも特殊な形をしたもので輪の中に更に輪のある作りでそれには人の目のようなものがびっしりと付いており、それぞれの輪の中には輝く六枚の翼を持った者が身体を覆っているのが見える。
『まさか...ガルガリンが!天の兵車がこの地にだと!!!』
モレクが慄く、それは創造者にして忠節なる神の玉座でもあり天の兵車、その車輪でもあるガルガリンが現れたのだ。
神の玉座そのものは姿が見えないが間違いなく創造者にして忠節なるがこの地に臨在したことを意味する事をモレクは気がつく。
モレクは自らをこの地周辺の『神』として大いに崇められる様に肉体を持たない時点で配下の悪霊や自身の幻影を操り、豊穣神として振る舞い、その生贄として人の子供を要求していたのだ。
そうやって多くの犠牲を用いて、呪いを行い自らを燃える炎を実態とした身体を作り上げたのだ。
そこまでして炎の身体を手に入れた理由...それは創世の時代にモレク自身が火と硫黄の海で焼かれた事自体がトラウマだったからだ。
だからこそ、炎そのものの身体を求め燃える神の裁きを逃れようとしたのだ。
しかし創造者にして忠節なるはそれを見抜いており、そんな浅はかなモレクに対して神自らが裁きを行う事を決めたのだ。
『邪悪なる鋳物の牛よ!お前のその身体は笏によってバラバラに砕け散れ』
まるで雷が落ちたかの様な音のような声、神そのものがそう言われると、天の玉座より沢山の翼を背に生やした天使の1人が降り立つ。
姿は光輝いており姿がはっきり見る事が出来ないが、その天使はジョシュアの元へやってきて、一つの杖を渡される。
それは王笏であり、赤と青の石がはめられたもの...セプター オブ バーレそのものだ。
ジョシュアはそれを持ってモレクのいる場所へ飛び降り、その勢いのままにモレク目掛けてその王笏で叩きつける。
『モレクよ!ゲヘナの燃える火の糧となれ!』
モレクは大きな一撃を受け、その身体を維持できなくなり破れた陶器みたいな状態となり、青い炎によって焼かれていく。
炎の身体をもってしても、それ以上の炎に焼かれてながら。
『お前は焼かれる責め苦から決して逃れる事は出来ない、完全な滅びの時を!ハイラントの手により滅ぶまでお前に安寧の時は無い!』
そう予告され、モレクのバラバラになった身体は燃えるゲヘナの地に封じられていく。
『この王笏は時が来た時に世に現れるレガリア、それはハイラントの誕生の兆し』
そしてジョシュアの手にあったセプター オブ バーレは光の粒となって消えてゆく。
『神の王笏が...』
ジョシュアは何も持っていない手を見つめた後に天を仰ぐ。
もうそこにはガルガリンの姿も無く、火が傾いて空は赤くなっていた。
そしてその場所はゲヘナと呼ばれる罪人の遺体やゴミを捨て燃やす忌み嫌われる場所と化すのであった。
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※ヒンノムの谷=ゲヘナ(ゲーヒンノム、罪人の遺体などを焼却するゴミ捨て場とされていた場所の意)
前もってこの話ではゲヘナ=地獄とは訳しません。
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