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chapter7:become a teacher
赤宿し その6
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その日の夜。
フィオーレ・ビアンコの2階の居住スペースにはディビッドとジョナサン、そしてマキシムがその日の出来事を話す為に集まった。
ディビッドは夜食を作る為にキッチンにいる間、マキシムとジョナサンはリビングで話をする。
「お前は良いよなぁ、潜入なんてしなくて良いんだもん」
「俺だって遊んではいないぞ?ほれ!」
と潜入に参加していないマキシムに対して悪態を吐くジョナサンのマキシムは書類を渡す。
「異端審問官達と例の件で調べたりしてたんだ」
ジョナサンは書類の内容に目をやり、眉を顰める。
内容からその周囲で崇められていた神やその神殿や祭壇の図解や生贄の文献だ。
その中に『ベル・ハモン』という名前がある。
その記述の中には巨大な牛の頭に人の男の身体を持つ銅像で、上半身には生贄を入れる部分があり、下半身部分が炉となっている祭壇の記載がある。
そしてそこで焼き殺される声を打ち消すように周囲にはトランペットや太鼓といったもので撃ち鳴らす事などが書かれている。
「中が空洞になっている牛の銅像に赤ん坊を入れて焼き殺す儀式...うわっ...ひでぇな...あれ?そう言えば今回の現場にそんな銅像はあったか?」
数日前に確認した現場検証の内容には特にその記載はなかった事をジョナサンは思い出す。
「現場にはそんな銅像が無かったんだよ...だが子供の焼死体もあったからその像を持ち運ぶ連中がいるかもしれんが、人が住んでいる場所でそんな目立つ事をするだろうか?」
そう、現場は住宅街にも近くそれこそ今ジョナサンが通っている学校も近くにある場所なのだ。
「そうですよね、壊したとかそう言う情報は無かったんですけどねぇ?」
ディビッドが夜食用に簡単に作ったハムサンドとタマゴサンドに揚げたポテトにコーヒーを持ってやって来る。
「おっ!うまそうだな」
とマキシムはそのままハムサンドを手に取って食べ始める。
「独り占めしないでくださいよ、一応三人分として作ってるんですから」
ディビッドがダイニングのジョナサンの横に座るようにソファに腰掛ける。
「牛や牛頭の偶像の伝承はたくさんありますよね、創造者にして忠誠なる神が忌み嫌う金の子牛の偶像、迷宮の主たる古代ミーノース王の牛頭の息子や南の蛮族の地で伝わる地獄の獄卒の片割れゴーシールシャ、東の帝国に伝わる災いを語る件と呼ばれる牛頭の女...でも今回のは結構厄介な悪魔かもですね...もしかしたら大悪魔の類かもしれません」
「まさか」
ディビッドの話にジョナサンは疑問を呈す。
「...エアヴァルド王国の前...聖マーシャから始まったバーレでの司祭達による支配の時代...丁度聖ジョシュアが台頭した当たり、戦争の記録に牛頭の神を崇拝するハモンの民との戦いがあった時に現れた巨大な牛頭の悪魔を聖ジョシュアが誓約の祈りをもって神の力を授かって封じた記述がありましたよね...聖典に明確に記載された名前を持つ悪魔モレクが...」
「じゃあそのモレクだと言うのか?」
「可能性はあるでしょう?何せ子供を焼き殺す残虐性は通じるものがありますし、『ベル・ハモン』という名前もですし、滅んだハモン民もまたウルムの土地にいた筈ですから」
ジョナサンは息を呑む、確かにそうかもしれない。
フィオーレ・ビアンコの2階の居住スペースにはディビッドとジョナサン、そしてマキシムがその日の出来事を話す為に集まった。
ディビッドは夜食を作る為にキッチンにいる間、マキシムとジョナサンはリビングで話をする。
「お前は良いよなぁ、潜入なんてしなくて良いんだもん」
「俺だって遊んではいないぞ?ほれ!」
と潜入に参加していないマキシムに対して悪態を吐くジョナサンのマキシムは書類を渡す。
「異端審問官達と例の件で調べたりしてたんだ」
ジョナサンは書類の内容に目をやり、眉を顰める。
内容からその周囲で崇められていた神やその神殿や祭壇の図解や生贄の文献だ。
その中に『ベル・ハモン』という名前がある。
その記述の中には巨大な牛の頭に人の男の身体を持つ銅像で、上半身には生贄を入れる部分があり、下半身部分が炉となっている祭壇の記載がある。
そしてそこで焼き殺される声を打ち消すように周囲にはトランペットや太鼓といったもので撃ち鳴らす事などが書かれている。
「中が空洞になっている牛の銅像に赤ん坊を入れて焼き殺す儀式...うわっ...ひでぇな...あれ?そう言えば今回の現場にそんな銅像はあったか?」
数日前に確認した現場検証の内容には特にその記載はなかった事をジョナサンは思い出す。
「現場にはそんな銅像が無かったんだよ...だが子供の焼死体もあったからその像を持ち運ぶ連中がいるかもしれんが、人が住んでいる場所でそんな目立つ事をするだろうか?」
そう、現場は住宅街にも近くそれこそ今ジョナサンが通っている学校も近くにある場所なのだ。
「そうですよね、壊したとかそう言う情報は無かったんですけどねぇ?」
ディビッドが夜食用に簡単に作ったハムサンドとタマゴサンドに揚げたポテトにコーヒーを持ってやって来る。
「おっ!うまそうだな」
とマキシムはそのままハムサンドを手に取って食べ始める。
「独り占めしないでくださいよ、一応三人分として作ってるんですから」
ディビッドがダイニングのジョナサンの横に座るようにソファに腰掛ける。
「牛や牛頭の偶像の伝承はたくさんありますよね、創造者にして忠誠なる神が忌み嫌う金の子牛の偶像、迷宮の主たる古代ミーノース王の牛頭の息子や南の蛮族の地で伝わる地獄の獄卒の片割れゴーシールシャ、東の帝国に伝わる災いを語る件と呼ばれる牛頭の女...でも今回のは結構厄介な悪魔かもですね...もしかしたら大悪魔の類かもしれません」
「まさか」
ディビッドの話にジョナサンは疑問を呈す。
「...エアヴァルド王国の前...聖マーシャから始まったバーレでの司祭達による支配の時代...丁度聖ジョシュアが台頭した当たり、戦争の記録に牛頭の神を崇拝するハモンの民との戦いがあった時に現れた巨大な牛頭の悪魔を聖ジョシュアが誓約の祈りをもって神の力を授かって封じた記述がありましたよね...聖典に明確に記載された名前を持つ悪魔モレクが...」
「じゃあそのモレクだと言うのか?」
「可能性はあるでしょう?何せ子供を焼き殺す残虐性は通じるものがありますし、『ベル・ハモン』という名前もですし、滅んだハモン民もまたウルムの土地にいた筈ですから」
ジョナサンは息を呑む、確かにそうかもしれない。
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