銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter7:become a teacher

赤宿し その3

ジョナサンの学年より上の少年らしく、ややくすみがかった金髪に赤宿し特有とも言える臙脂色の瞳の背の高い少年...大体15歳くらいだろう。

通常のブレザーの制服を身につけているが、胸につけている五芒星のバッチが輝いている...生徒会役員だ。

「君たち、ここで何をやっている」

ジョナサンを囲っている学生達に、臙脂色の瞳の少年は強い口調で尋ねる。

「やばい、生徒会長だ！！」

そう言って全員が蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

「やぁ、君最近入ってきた留学生だね、初めまして僕はグラート ザナージ、中等部3年でね、今は生徒会長をやっているんだ、君は？」

グラートと名乗った少年は握手をしようとジョナサンに手を差し伸べる。

「ジョナサン アンダーソン ワイズ、エアヴァルドのロストック出身で留学の為に中等部の1年に編入してきました」

ジョナサンは名乗って握手をする、そういえば苗字といい瞳の色といい、何処かで見かけたような記憶があるな、と思う。

「とても綺麗なウルム語を話すね、語学も堪能なんて優秀なんだね」

「いえ、教えていただいた方のお陰なんです」

そう、ジョナサンはバレンティナからの週3回みっちりウルム語をしっかり話せるように教わったおかげで随分と話ができるようになったのだ。

まぁ理由の大半が片思い中のスザンナと話ができるようになりたい、という気持ちがあるのだが...

「そうなんだ、良い教育者に出会えてよかったね、それにしてもさっきのは良くはないね...僕の学年は徹底させているから貴・重・な・赤・宿・し・にあんなバカな事をさせはしないのに...」

グラートは腕を組んで険しい顔をする。

「僕が生意気だと思ってるみたいです、平民なのにたまたま赤宿しで生まれたからって」

「愚かだな...生まれとか関係ないし、寧ろ彼らがマトモな術士になれないなら親世代で貰えた爵位なんて取り上げられるのに」

グラートはため息を吐く。

「グラート先輩は良い方なんですね」

「当たり前の事をしてるだけさ、何か困った事があれば生徒会が何とかするから是非声をかけて、じゃあ僕はこれで」

とグラートは去っていく、その後ろ姿にふと思い出す。

「あ！エルコラーロのザナージ大佐の息子か！」

エリデ ザナージの事を思い出す、それこそウルム国王であるサヴェリオと共に悪魔ダンダリオンを倒した英雄であり、エルコラーロ要塞の司令官という女傑の息子か...と。

確かザナージ大佐も平民だったが『赤宿し』でその能力を認められて伯爵位を得ていた筈だが、子供の代でそれなりな業績を持たないと爵位は子供に受け継げない。

ただグラートは運良く母親の血を継いで『赤宿し』として生まれたのできっとこのまま伯爵位を継げるだろう。

それにしても『赤宿し』に対する特別視にジョナサンは嫌な感じを受ける。