銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

またいつか会えるっすから！ その5

「まさかお前が？？？」

『まぁそう言う事らしいっすよ～正確にはこ・れ・か・ら・やらなきゃならないっすけどねー』

テーブルに置いてる聖典を手にして、私に渡す。

『ボクはずっとココにいるんで会いたくなったら聖典を開いて下さい、そして時が来た時にはまた会うことが出来るんすからエステル様泣かないで下さい...そして創造者にして忠節なるトラウゴッド神が与えて下さった新たな生をどうか幸せに生きてください、会えた時にそれを聞くのをボクは楽しみにしてるんで！じゃあまた！』

サムはそう言って私の頭を撫でて笑顔を見せて、そのままふわっと光り消えていき、ティナちゃんの姿に戻る。

「最後まであいつらしいというか...」

悪態をつくような言い方だけど涙声のマキシム。

「サミュエルは遠い場所で旅に出たと思えば良いんですよ...そして旅先の手紙はここにある、まぁせっかち過ぎて結末までもう書かれてますけどね」

ディブはサムから手渡された聖典を見ながらそう話し、ティナちゃんの肩に手を回す。

「ティナ...ありがとうございます...」

「ううん、サミュエルさんみんなとお別れをしたがってたから...」

「ティナちゃんに感謝だわ、ありがとう...」

「サミュエルさんの気持ちが流れてきたんです、エステルお姉様の事本当に大切に思ってて...」

ティナちゃんが泣きそうな顔をしているけど、ぐっと我慢して笑顔を作ってる。

「サミュエル...」

ぼろぼろと涙がこぼれ落ちるけれど、それを拭う...だってサムと約束したんだもの！

誰よりも幸せな人生を送ってまた会える時にその話をするんだからね！

ーーー

その日の夕方、おじ様が塔の出現が原因で生じた地震で被災した件でバタバタ忙しかったためかクタクタになって戻ってきたわ。

そんな状況でもわざわざ部屋まで来て顔を見せに来てくれる。

「エステル、大丈夫か？」

「おじ様こそ目の下にクマが出来てるわよ...大丈夫？」

「なにこのくらいはね...ただ被災者が全員無事とはいえ冬も近いから何とか住民達には衣食住を確保しないと」

「お金の件なら私の貯蓄を使って良いわよ、それを使って」

まぁ地下墓地で大量に手に入れた貴重品やら何やらを資金にしてそれを当て込めば復興も早まるでしょ。

「...すまない...できるだけ早く住民達を安心させたかったんでな...で、エステルお前の事なんだか、見た目が変わっただけだし...」

「あーその件だけど、ディブとも話をしたけど私の事を死んだ事にしてくれないかしら？」

「は？？？」

「そして葬式は混乱の塔の一件で復興が必要だから、それが片付いたらって事に...」

「何を言ってるんだ！」

「だって仕方ないもの...まぁ私が復活したって出てきてもこの姿じゃあ誰も信用しないでしょうね...それといい事を思いついたのよ～まぁあの人がOK出してくれるかどうかが関わってくるけど」

「？？？」

思いついた詳細をヘルムートのおじ様に話すとなんとも言えない困惑げな顔をするわ。

「確かにそうかもだが...エステルお前自身の評判が...」

「やぁね、もう『預言者エステル』は死んだのよ、死んだら評判なんてどうって事はないわよぉ」

そう言って近くにいたピッピちゃんを呼ぶ。

「ギャ！ギャ！エステル！エステル！」

ピッピちゃんは喜んでこっちに飛んでやってくるわ。

「ピッピちゃん、また長旅お願いできるかしら？」

「ギャ！どこにでも行くギャ！」

そうお願いすると快く応じてくれたので窓を開けてピッピちゃんを送り出す。

「そんなに上手くいくのか？」

「まぁあの人の事だし、私の言う事は聞いてくれるとは思うわ...それにバーレの復興の手伝いもしてくれる筈だしね」

おじ様は心配症だけど大丈夫、絶対この件は呑んでくれる筈だから。