銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

VS 大淫婦カ・デミィラ その7

エステルは実の父親の子殺しにも近い罪に罪悪感を抱きつづけ、誰よりも無私の愛で多くの人を救ってきた、それは実の親に捨てられた弟であるディビッドを見つけ出し、子を持つ事ができなかったヘルムートは子を育てる喜びを手に入れ、孤独な王であったサヴェリオの光となり、知らぬ間に神に捧げられた王子マキシムが前を向いて生きていくきっかけを与えたのだ。

そしてサミュエルはそんなエステルをずっと愛していた...それこそ性愛や友愛ではなく無私の愛をもって。

それはエステルの実の弟であるディビッド、父親にも等しい立場のヘルムート、政略として夫となったサヴェリオ国王、片思いのまま恋し続けたマキシム以上にサミュエルはエステルを深く愛していたのだ。

だからこそ、悪魔、しかも忌むべき悪魔達の母とも言える淫婦カ・デミィラと共に封じられるなんて不名誉...それも愛する実の弟ディビッドの手によって封じられる悲劇を受けるなんてサミュエルには耐え難い事なのだ。

そんな切なる祈りを続けるサミュエルに一筋の光が当たる。

『愛する友の為に命を捨てる事を厭わぬ貴方の願いは聞き届けられた』

どこからとも無く聞こえる声、それは男のものとも女のものとも分からない声だが、それが誰の声なのかサミュエルはすぐに理解する。

「...ああ...ああ、創造者にして忠誠なるトラウゴッド神が...ボクの祈りを聞き入れてくれるなんて...」

サミュエルはぼろぼろと涙が溢れて、祈りを聞いてくださった方へ感謝でいっぱいになる。

『エステルも私の愛し子だが、貴方も選ばれし私の愛し子の1人なのだ預・言・者・サ・ミ・ュ・エ・ル・、さぁ行こう...貴方には貴方の本・来・の・使・命・があるのだから、それまでの間、私の双翼の中で眠るが良い...』

サミュエルは祈りを聞き届けられ、喜びに満たされた表情をしながら安らかに眠りについている...

そしてそのままゆっくりとサミュエルを構成していた肉体は光の粒となりぱぁっと消えていく、そう...創造者にして忠節なるトラウゴッド神がサミュエルを取られたのだ。

そしてその場にはサミュエルが愛用していた純銀製のチェーンウィップが残される...それはカタカタと音を立てて動き始める、だんだんと質量も増えジャラジャラと音を立てて階段の方へと勢いよく登る。

銀の鎖は意思をもって塔を登って行く、それはカ・デミィラを奈落の底へ縛り上げる為に創造者にして忠節なるトラウゴッド神とサミュエルの望みであり、預言者エステルに対する復讐の為に。

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