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chapter6:Be baptized
VS 大淫婦カ・デミィラ その6
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塔の最も下の階...カ・デミィラが封じられた階層。
そこでサミュエルは瀕死の状態ではあるが、まだ息をしていた。
顔は腫れ上がり、目を潰されて血まみれの顔、あちこち身体中の骨は折れ、足はあらぬ方向に曲がっており、床に打ち付けられたままの状態だ。
「はぁ...はぁ...」
血を吐きながら、サミュエルはなんとか手を組み祈りを捧げる。
「偉大なる父よ...創造者にして忠節なる神よ...どうか...どうかお願いです...」
息も絶え絶えな状態で、その両目には涙を溢れさせながら祈るサミュエル。
「こんなちっぽけで薄汚いボクの命はいいっすから...どうかエステル様を...エステル様をお救い下さい...貴方が使わした白の射手は多くの命を救う奇跡を行う事を貴方ならさせるでしょう...その時にボクは復活しなくても良いから...どうか...カ・デミィラから解放されエステル様を...どうか...どうか復活させて下さい...」
ゲホゲホと血を吐きながらも祈りは続く。
もしサミュエル自身が今死んだとしても、白の射手であるディビッドがエルコラーロやウルムの王城内で起こった大奇跡である『慈愛の雨』を降らせて復活することはできるだろう、しかしエステルは違う...何故なら悪魔の生贄となってカ・デミィラの血肉と化してしまったからだ。
大悪魔であるカ・デミィラは預言ではハイラントしか滅ぼす事は出来ない、ならば倒して通常の悪魔が封じられるようにするしかない事はサミュエルも知っていたし、おそらくディビッドやマキシム、ジョナサンもそう覚悟しているだろう。
例え悪魔を滅ぼす力を持つディビッドが倒したとしてもその預言が覆る事がないなら、エステルは助かることは無くそのままカ・デミィラと共に封じられるのだ。
「その血の一滴もカ・デミィラと共に封じられる事のないように...どうか...お願いです...エステル様はずっと...ずっと貴方の為に仕えてきた方です...そして貴方が使わした白の射手を命を賭けてっ...守ったのですっ...」
呻くような声を出して神に語り続けるサミュエル...だんだん声がか細くなっている。
今ある命を削るかのような切なる願いをずっと口にする。
「貴方がエステル様を...あんなにも純粋で優しい人を世に使わして下さったからこそボクは生きて来られました...ゲホッ!」
サミュエルは血を吐きながらも祈り続ける。
エステルと最初に出会ったあの日の事も、ずっとそばでエステルと共に一緒に生きてきた事を思い出す。
塔の最も下の階...カ・デミィラが封じられた階層。
そこでサミュエルは瀕死の状態ではあるが、まだ息をしていた。
顔は腫れ上がり、目を潰されて血まみれの顔、あちこち身体中の骨は折れ、足はあらぬ方向に曲がっており、床に打ち付けられたままの状態だ。
「はぁ...はぁ...」
血を吐きながら、サミュエルはなんとか手を組み祈りを捧げる。
「偉大なる父よ...創造者にして忠節なる神よ...どうか...どうかお願いです...」
息も絶え絶えな状態で、その両目には涙を溢れさせながら祈るサミュエル。
「こんなちっぽけで薄汚いボクの命はいいっすから...どうかエステル様を...エステル様をお救い下さい...貴方が使わした白の射手は多くの命を救う奇跡を行う事を貴方ならさせるでしょう...その時にボクは復活しなくても良いから...どうか...カ・デミィラから解放されエステル様を...どうか...どうか復活させて下さい...」
ゲホゲホと血を吐きながらも祈りは続く。
もしサミュエル自身が今死んだとしても、白の射手であるディビッドがエルコラーロやウルムの王城内で起こった大奇跡である『慈愛の雨』を降らせて復活することはできるだろう、しかしエステルは違う...何故なら悪魔の生贄となってカ・デミィラの血肉と化してしまったからだ。
大悪魔であるカ・デミィラは預言ではハイラントしか滅ぼす事は出来ない、ならば倒して通常の悪魔が封じられるようにするしかない事はサミュエルも知っていたし、おそらくディビッドやマキシム、ジョナサンもそう覚悟しているだろう。
例え悪魔を滅ぼす力を持つディビッドが倒したとしてもその預言が覆る事がないなら、エステルは助かることは無くそのままカ・デミィラと共に封じられるのだ。
「その血の一滴もカ・デミィラと共に封じられる事のないように...どうか...お願いです...エステル様はずっと...ずっと貴方の為に仕えてきた方です...そして貴方が使わした白の射手を命を賭けてっ...守ったのですっ...」
呻くような声を出して神に語り続けるサミュエル...だんだん声がか細くなっている。
今ある命を削るかのような切なる願いをずっと口にする。
「貴方がエステル様を...あんなにも純粋で優しい人を世に使わして下さったからこそボクは生きて来られました...ゲホッ!」
サミュエルは血を吐きながらも祈り続ける。
エステルと最初に出会ったあの日の事も、ずっとそばでエステルと共に一緒に生きてきた事を思い出す。
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