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chapter6:Be baptized

VS大淫婦カ・デミィラ その2

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すると黒い炎が生じ、パーヴェルを守る氷の壁をジュワジュワという氷を溶かす音と共に砕かれる。

そこには瞳を真っ赤にしたパーヴェルが泣いている姿があった。

『いくら力があったとしても童ではどうにもできぬからな、さぁもう終わりにしようか...』

と獣に指示をし再度パーヴェルを襲わせる。

そんな時、パァン!と横から発砲音と共に銀色の弾丸が真っ赤な獣めがけて飛翔し七つある頭の一つを撃ち抜く。

『ギャア!!』

撃ち抜かれた衝撃、更に二発目三発目と弾丸が命中するとそのまま吹き飛んでしまう。

「間に合いましたね...」

カ・デミィラは銃声の聞こえる方を向くと、そこにはディビッドがシルバービートを構えたまま立っていた。

そしてその両脇にはマキシムとジョナサンも。

「ディビッドさん」

「無事で良かったです、もし何かあったら姉上に顔向けできませんから」

「ピ!パーヴェル君!」

ピッピちゃんがパーヴェルの元へ飛んでいく。

「ピッピちゃん...エステル様が...」

「ピィ...泣かないで」

「...パーヴェル君...泣くのはここを出てからにして下さい...今はここから無事に出る事を優先しましょう」

ディビッドはパーヴェルの前に自ら盾になるようにしながらそう話す。

「...はい...」

パーヴェルは涙を服の袖でぬぐいながら立ち上がる。

『させぬ』

カ・デミィラは獣を仕掛け、ディビッド達に襲い掛かろうとするが、その前にマキシムが大楯を構えて突撃する獣をガードするとガツンと大きな音を立てて獣を弾く。

「勝手にお前が盾になるな!ディビッド!」

「こんな時は仕方ないでしょう、まぁそのままパーヴェル君1人を帰す訳にはいかないから捕まってる全員を解放させないと...」

「ピィ!任せて」

ピッピちゃんがそう言うと床からからパァッと周囲一体が強く光る...強力な浄化がかかって捕まっていた人達を捕まえていた悪霊達が消えていく。

バタバタ、と司祭や神殿騎士にディビッドの家の使用人が解放されて床に倒れ込む。

それをディビッドがエリアヒールをかけて回復させると全員が目覚める。

「一体ここは...ディビッド様!」

「捕まっていた全員はパーヴェル君を連れて全員で逃げて下さい、これからこの場所は戦場になります!」

「ディビッド様、我々も!」

「エステル様の無念を晴らさせて下さい!」

異端審問官やディビッドの家の使用人達は頷くが、捕まっていた塔に結界を貼っていた司祭や神殿騎士がディビッドに嘆願する。

「はぁ?悪霊に捕まるくらいのレベルなら足手纏いだって言ってるんです!むしろパーヴェル君を命がけで連れ帰って下さい!姉上がもし生きていれば一番にそう言うでしょうから」

ディビッドの言葉は辛辣だが事実である、それこそ中途半端に力があっても悪魔の生贄として吸収されてしまうなら、戦いが不利になる。

それは異端審問官やディビッドの家の使用人はよく知っている事で共通認識でもあり、殺されるならまだしも生贄になるくらいなら逃げる方を優先するようにするのがセオリーなのだ。
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