604 / 841
chapter6:Be baptized
混乱の塔 その9
しおりを挟む
そしてマキシムはいつもの全身鎧に赤のサーコートに大楯、腰には片手剣...両方ともにダマスクス鋼で作られたものであり、大楯には防御壁の術式を付与させた特別製、防御に特化した姿である。
いつものフルフェイスの兜の下は硬い表情のままだ。
敬愛するエステルを失い、あまつさえたった一撃で気を失う事などと情けない事をしてしまった...そしてサミュエルに先を越されてしまった事もだ。
それこそ命を張って自分達を優先して逃し、エステルと共に殉教の道を選んだサミュエルの行動をだ。
「...あいつはいつも俺よりも先を行っていたものな...」
小さく呟くマキシム。
いつもエステルの側にいたのはサミュエルであって自身では無かった...結局今回もだ。
そしていつでもエステルの為なら自身を犠牲に出来ると思っていたのにそれも出来なかった。
エステルとの出会いだってサミュエルの方が先だったし、エステルの為に神殿騎士から上級異端審問官になったのにエステルの近くに常に寄り添っていたのはサミュエルだ。
エステルとの出会いは10歳くらいの時。
それこそ王位継承権の絡みで正妃との子でかつ黒髪でサファイアの瞳で産まれたマキシム...本来の名前をマキシマム アイザック エアヴァルドは『英雄王の再来』『正当な王位継承者』と騒がれて、もう立太子とされた側妃の息子であった兄よりも王に相応しい、と周囲がマキシムを持ち上げようとしていた。
元々正妃であるマキシムの母と当時の王であったマキシムの父との間から子供が誕生しなかった事で、周囲の圧力により側妃を迎える事になった事が原因とも言える。
側妃が兄王子であるアーヴァインを産んで5年した後に正妃がマキシムが産まれた事により、マキシムに王位の正統性を声高に上げたのだ。
しかし正妃であるマキシムの母はマキシムを王位に着くことを望まなかった...何故ならマキシムの母は創造者にして忠節なる神に誓約をした為だ。
『どうか私に我が子を与えて下さい、与えてくれるならば我が子を神の御許で仕える者として捧げます』
切実な祈りの中でそう誓約し、その祈りを聞き届けられたからこそ生まれたマキシムであり、誕生の時点でバーレへ預けられる事が決定していたのだ。
ただそれを誰よりも反対していたのがマキシムの父と兄アーヴァインだ。
マキシムの父が側妃を迎えた時点でトラウゴッド教の教えの一つでもある一夫一婦を守る事を破ってしまった事もあり教会との関係の悪化したため、そしてアーヴァインは英雄王に似た容姿で生まれたマキシムこそ王位につくのにふさわしいと本気で思っていたからだ。
いつものフルフェイスの兜の下は硬い表情のままだ。
敬愛するエステルを失い、あまつさえたった一撃で気を失う事などと情けない事をしてしまった...そしてサミュエルに先を越されてしまった事もだ。
それこそ命を張って自分達を優先して逃し、エステルと共に殉教の道を選んだサミュエルの行動をだ。
「...あいつはいつも俺よりも先を行っていたものな...」
小さく呟くマキシム。
いつもエステルの側にいたのはサミュエルであって自身では無かった...結局今回もだ。
そしていつでもエステルの為なら自身を犠牲に出来ると思っていたのにそれも出来なかった。
エステルとの出会いだってサミュエルの方が先だったし、エステルの為に神殿騎士から上級異端審問官になったのにエステルの近くに常に寄り添っていたのはサミュエルだ。
エステルとの出会いは10歳くらいの時。
それこそ王位継承権の絡みで正妃との子でかつ黒髪でサファイアの瞳で産まれたマキシム...本来の名前をマキシマム アイザック エアヴァルドは『英雄王の再来』『正当な王位継承者』と騒がれて、もう立太子とされた側妃の息子であった兄よりも王に相応しい、と周囲がマキシムを持ち上げようとしていた。
元々正妃であるマキシムの母と当時の王であったマキシムの父との間から子供が誕生しなかった事で、周囲の圧力により側妃を迎える事になった事が原因とも言える。
側妃が兄王子であるアーヴァインを産んで5年した後に正妃がマキシムが産まれた事により、マキシムに王位の正統性を声高に上げたのだ。
しかし正妃であるマキシムの母はマキシムを王位に着くことを望まなかった...何故ならマキシムの母は創造者にして忠節なる神に誓約をした為だ。
『どうか私に我が子を与えて下さい、与えてくれるならば我が子を神の御許で仕える者として捧げます』
切実な祈りの中でそう誓約し、その祈りを聞き届けられたからこそ生まれたマキシムであり、誕生の時点でバーレへ預けられる事が決定していたのだ。
ただそれを誰よりも反対していたのがマキシムの父と兄アーヴァインだ。
マキシムの父が側妃を迎えた時点でトラウゴッド教の教えの一つでもある一夫一婦を守る事を破ってしまった事もあり教会との関係の悪化したため、そしてアーヴァインは英雄王に似た容姿で生まれたマキシムこそ王位につくのにふさわしいと本気で思っていたからだ。
0
お気に入りに追加
346
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【R18】仲のいいバイト仲間だと思ってたら、いきなり襲われちゃいました!
奏音 美都
恋愛
ファミレスのバイト仲間の豪。
ノリがよくて、いい友達だと思ってたんだけど……いきなり、襲われちゃった。
ダメだって思うのに、なんで拒否れないのー!!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ヤンデレ義父に執着されている娘の話
アオ
恋愛
美少女に転生した主人公が義父に執着、溺愛されつつ執着させていることに気が付かない話。
色々拗らせてます。
前世の2人という話はメリバ。
バッドエンド苦手な方は閲覧注意です。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる