銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

只野ぱんだ

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chapter6:Be baptized

混乱の塔 その3

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※説明会、創世神話の一部


その昔、創造者にして忠節なるトラウゴッド神の下にいた天使のいくばくかは人に対して邪な目を持ち、それを叶える為に堕天した。

堕天した者達は人と同じ肉を身につける為、先に受肉し地に降りたカ・ディミラが人の男を交わり、カ・ディミラの胎を使って肉を得る。

堕天した者達は現人神として人々に崇め讃えられ栄華を極めた。

現人神達は美しい人の娘や少年達を次々と娶って子を成すが、子供らは恐ろしい力を持つ巨人ゴライアスとなり、地に満ちて人と数が変わらない程となり暴力と淫行が支配する様になる。

その事に創造者にして忠節なるトラウゴッド神は憤りを抱き、地を一度拭い去ろうと決意する。

『邪悪な者よ!その身を焼き尽くす火と硫黄の海に投げ込まれよ!』

神に忠節を誓ったルーエンとその家族とつがいの動物達を創造者にして忠節なるトラウゴッド神は高い山へ逃して、全ての大地を火と硫黄の海をもって焼き払うと、現人神を崇拝していた人やその子供である巨人ゴライアスは滅ぶ。

現人神であった堕天は肉体を捨て天に戻ろうとするが、神は彼らに呪いの言葉を投げかける。

『私に反逆する者には呪いを!私の名を呼び求める事...いや発音する事も出来ず、天へ帰る事も許しはしない!滅びの時が来るまで地で慄くが良い!』

そうやって堕天した者達は姿を変え、翡翠の書き板に心臓を宿して地に眠る事を選ぶ。

その時、神はルーエンに宣言する。

『ルーエンのその家族よ、私は宣言する。全地を燃やし尽くす滅びを後世には行う事はない』

天からの声で空から雨が降り注がれて、炎が徐々に消えてゆく。

『燃え尽きた地に雨を降らせ、大地に息吹を吹き込み回復し、草が生え木々は生い茂る豊かな大地となるであろう、そして人々もまた増え広がる』

雨が止むと、焼けこげた大地から草木が生じ始め、天には虹がかかる。

『しかし堕落した邪悪なる者が目覚める時は必ず訪れる、その邪悪なる者に従う者もまた現れるがその時私に信仰を働かせる者は守られよう』

そしてルーエンとその家族には祝福が渡される、子孫の繁栄を。

そうやってルーエンとその家族はその数を増やし、人々が地に増え広がり世代が変わり、大地が火と硫黄の海で焼き尽くされた記憶が薄れつつある時だった。

時が来たと言わんばかりに現人神と呼ばれる者達が復活し、再度力を持って現れたのだ。

『さぁここに塔と街を建てよう、民よ妾と妾の子らの名を知らしめる為に、天に届く程の高き塔を建てよ!』

その中でも力を持ったカ・ディミラは復活したと同時にそう宣言し、自らとその子らを神として崇拝される為に天高く届きそうな程の塔を建てる事にする。

カ・ディミラの為に人々は煉瓦を焼き、アスファルトを用いて巨大な塔と大きな街を建てさせると、人々はカ・ディミラとその子供達を崇拝し始める。

塔が完成しようとしていた時、創造者にして忠節なるトラウゴッド神は挑戦する悪魔に対して怒りを沸き起こす。

『私に挑戦する愚かな淫婦よ!お前に私自ら裁きを与える!奈落の底で縛られるが良い』

創造者にして忠節なるトラウゴッド神は塔に裁きの雷を落とし、壮大な塔に直撃するとあっという間に粉々に砕き地面を割ってカ・ディミラごと埋め立てる。

『私は人が地に増え広がる事を望むが、一つの言語故にこの様に私以外を崇拝する為に集まるのであれば言葉を乱そう、人が互いに言葉が理解出来なくなるように』

そうして神の裁きによって人々の言葉は乱され、人々は全地に散らされる事になる。

そうして崩壊した塔を『混乱バベルの塔』と呼ぶようになった、人々の言葉を乱した原因である為に。

そしてカ・デミィラは長きに渡り地下でずっと力を取り戻す為に息を潜め、再度栄光をこの手につかむ為に聖なるものの血と肉がやって来る事を狙い続けた。

...そう、カ・デミィラ自身は封印されていた訳ではなく、力の削ぎ落とされ深い場所へ投げ入れられそこで留め置かれたただけなのだ。

そして今回は最高の贄を得た、カ・デミィラのいる場所まで難なく来れる程の神聖力を持った神の愛し子とも言える預言者エステルの血と肉を得て復活を果たせたのだ。

そして今、そのエステルの姿を模したカ・デミィラは笑う、再び地上での栄華を夢見て。
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