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chapter6:Be baptized

大淫婦カ・デミィラ その4

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本当にまずいと思いサミュエルは自身に強化の術式を付与した札を取り出して展開した後に、マキシムを掴んで出入り口へと投げ飛ばしてジョナサンへ目を向ける。

「ジョニーさん!早く2人を!頼むっ!」

サミュエルがそう叫ぶも、ジョナサンは目の前で起こっている事に目が離れず動けない。

そう、穴の中から大きな禁呪の書き板と共に黒い霧が噴き出てそれが一つに固まり、だんだんと1人の女の姿へと変貌する。

その姿は確かに美しい生前のエステルと姿が同じ為だ。

だが肌の色が病人のように青白く緑色の髪は黒ずんで、瞳は血のように真っ赤であり、まるで古代の娼婦のような胸元の開いた紫色の衣服を纏いゴテゴテと金や真珠や宝石で彩られた女。

先程の大きな杯は女の手に収まるサイズに変わっており、左手に収められている。

「あれがカ・ディミラ???エステル様じゃ...」

「バカ!姿形が似ていても全くの別モノっすよ!」

ジョナサンは戸惑うがサミュエルは目の前のエステルに似た邪悪な存在の本質を嗅ぎ分けてそう叫ぶ。

『あははは...妾はカ・ディミラ!この世の神々の母なる者ぞ!』

女はそう笑う、足元から更に黒い霧の塊が湧き出るとそこには真っ赤な七つの獅子や豹といった野獣の頭を持つ大きな獣が現れると傍らに寄り添う。

『さァ、大いなるカ・ディミラ、貴女が再び世に知らしめる時が来ました!再び貴女の栄光が轟く時でス!』

リュシフェルはそう言いながら姿を消していく。

「姉上!」

鎖に巻かれて動けなかったディビッドがエステルの姿に似たカ・ディミラを見て青ざめる。

自らの命を奪われた上、屈辱的にも悪魔であるカ・ディミラの贄とされたのだ。

『お前は妾の贄の血を分けた弟か、なかなか美しい男よな...ならばお前を妾の今世での最初のとし神々に血肉を与える父となるが良い』

姉エステルに似せた姿でありながらあろうことか淫靡に見つめるカ・ディミラに悍ましい言葉を投げかけられ、ディビッドは怒りが湧き起こる。

「ふざけるな!」

なんとか鎖を解いてディビッドは銃口をカ・ディミラに向けるもエステルと同じその顔立ちを見ると躊躇う。

「ジョニーさん!とっとと坊ちゃんと王子サマを連れて逃げろ!!!このままじゃレギオンの時以上に最悪な結果になるから!早く!」

『煩わしいのぅ...』

とカ・ディミラはサミュエルを睨み、獣の頭を撫でると獣は獰猛な唸り声を上げながらそのままサミュエルに襲いかかる。

大きな前足から伸びる鋭い爪がサミュエル目掛け振り下ろされる。

獣の爪をなんとかかわすが、左腕がかすって上着が破れ腕から血が流れる。

更に攻撃を仕掛けようとする獣の背にディビッドは純銀製の弾丸の入ったシルバービートを取り出して引き金を引いて何発か撃つ。

『ギャァ!』

効いているのか赤い獣は痺れが走るようでうめき声を上げながらその場でのたうち回る。

その隙にサミュエルは隠し持っているチェーンウィップを右腕の袖からじゃらり、と垂れ下げカ・ディミラへ向けると鎖がカ・ディミラの腕へ絡みつく。

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