589 / 841
chapter6:Be baptized
地下墓地 その8
しおりを挟む
並べば栄養失調故に6歳の子供と大して変わらない大きさの手や背丈だ。
エステルには特別な力がある...今ならそれが神の愛し子『預言者』である事だからだろうと分かるが、とにかくその時サミュエルの心にはエステルを通して神への『信仰』が生じたのだ。
そうしてサミュエルはエステルの望む相棒を演じる事をえらぶ...最初はエステルの家、ザイオンの家の使用人からだった。
元々ザイオンの家の使用人は隠密行動を取れるハイラント至上主義の狂信者から構成される特殊な人材であり、サミュエルもエステルが見えてない所で相当の訓練を受けると、元々術士の才能もあってかメキメキと頭角を現し、最終的には使用人の中でもトップレベルの能力を発揮するまでになる。
そしてエステルの望む相棒を具現化する為に情報屋をやってみたり変装や身を隠す術を身につけ、最終的にはエステルの影武者になる事によって特殊な経歴ではあるが、ザイオンの使用人の立場からエステルの腹心の立場として今の上級異端審問官としての地位を得たのだ。
今も口が悪く不真面目そうなふりをしているのはあくまでもエステルの為、エステルがそう望むからそうしているだけでサミュエルの本質はザイオンの家の使用人達と同じであり、誰よりもエステルという預言者と創造主にして忠節なる神に傾倒しその為には命も惜しくは無いと思っているのだ。
「サム、どうしたの?」
エステルに声をかけられてサミュエルは我にかえる。
「あー眺めてるだけ暇なんでぼけっとしてただけっすよ」
といつも通りのヘラヘラとした笑顔を見せるサミュエル。
「まぁまだまだ時間がかかるだろうからなぁ」
とマキシムは兜を脱いで近くで座って愛用のダマスクス鋼製の大剣の手入れをしながらそう話す。
今もディビッドとジョナサンは封印式を構築する為に集中している姿を見るサミュエル、まだ構築完了まで三分の一くらいだろう、この階層の真ん中で宙に浮く禁呪の書き板が封じられた白っぽいガラスの球体に、赤く古代ウルム語で描かれた封印式が中心と外縁から徐々に刻まれていく。
流石に2人とも真面目にやっている姿をサミュエルは見る。
特にディビッドに対しては自分と似て親に捨てられた子供であるに関わらず恵まれた存在...だからこそサミュエルはディビッドに対して厳しい部分があり、心のどこかで嫉妬がある事を認めている。
エステルの血の繋がった弟、ハイラントに続く者の1人であり、エステルが望んだ相棒像に最も近い存在...そして崇敬するエステルが命を賭けても守るであろう唯一の存在だ。
どんなにエステルと長く共にいても、ディビッドには敵わない事に対するモヤモヤとした気持ち自体をディビッドも察しているのか、どうにもサミュエルとは仲良く出来かねる所がある、それは使用人時代の頃から変わらない。
...全くボクは大人げ無いっすよねぇ。
とサミュエルは心の中でそう思うのだった。
ーーー
エステルには特別な力がある...今ならそれが神の愛し子『預言者』である事だからだろうと分かるが、とにかくその時サミュエルの心にはエステルを通して神への『信仰』が生じたのだ。
そうしてサミュエルはエステルの望む相棒を演じる事をえらぶ...最初はエステルの家、ザイオンの家の使用人からだった。
元々ザイオンの家の使用人は隠密行動を取れるハイラント至上主義の狂信者から構成される特殊な人材であり、サミュエルもエステルが見えてない所で相当の訓練を受けると、元々術士の才能もあってかメキメキと頭角を現し、最終的には使用人の中でもトップレベルの能力を発揮するまでになる。
そしてエステルの望む相棒を具現化する為に情報屋をやってみたり変装や身を隠す術を身につけ、最終的にはエステルの影武者になる事によって特殊な経歴ではあるが、ザイオンの使用人の立場からエステルの腹心の立場として今の上級異端審問官としての地位を得たのだ。
今も口が悪く不真面目そうなふりをしているのはあくまでもエステルの為、エステルがそう望むからそうしているだけでサミュエルの本質はザイオンの家の使用人達と同じであり、誰よりもエステルという預言者と創造主にして忠節なる神に傾倒しその為には命も惜しくは無いと思っているのだ。
「サム、どうしたの?」
エステルに声をかけられてサミュエルは我にかえる。
「あー眺めてるだけ暇なんでぼけっとしてただけっすよ」
といつも通りのヘラヘラとした笑顔を見せるサミュエル。
「まぁまだまだ時間がかかるだろうからなぁ」
とマキシムは兜を脱いで近くで座って愛用のダマスクス鋼製の大剣の手入れをしながらそう話す。
今もディビッドとジョナサンは封印式を構築する為に集中している姿を見るサミュエル、まだ構築完了まで三分の一くらいだろう、この階層の真ん中で宙に浮く禁呪の書き板が封じられた白っぽいガラスの球体に、赤く古代ウルム語で描かれた封印式が中心と外縁から徐々に刻まれていく。
流石に2人とも真面目にやっている姿をサミュエルは見る。
特にディビッドに対しては自分と似て親に捨てられた子供であるに関わらず恵まれた存在...だからこそサミュエルはディビッドに対して厳しい部分があり、心のどこかで嫉妬がある事を認めている。
エステルの血の繋がった弟、ハイラントに続く者の1人であり、エステルが望んだ相棒像に最も近い存在...そして崇敬するエステルが命を賭けても守るであろう唯一の存在だ。
どんなにエステルと長く共にいても、ディビッドには敵わない事に対するモヤモヤとした気持ち自体をディビッドも察しているのか、どうにもサミュエルとは仲良く出来かねる所がある、それは使用人時代の頃から変わらない。
...全くボクは大人げ無いっすよねぇ。
とサミュエルは心の中でそう思うのだった。
ーーー
0
お気に入りに追加
346
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【R18】仲のいいバイト仲間だと思ってたら、いきなり襲われちゃいました!
奏音 美都
恋愛
ファミレスのバイト仲間の豪。
ノリがよくて、いい友達だと思ってたんだけど……いきなり、襲われちゃった。
ダメだって思うのに、なんで拒否れないのー!!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる