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chapter6:Be baptized
お酒はこりごりだわ! その3
しおりを挟む「あとカ・ディミラの封印式に記載されている文章の解読もある程度進んでたって報告も上がってるから持ってきた、まぁ一部だけど」
とジョナサンはディビッドに資料を渡す。
「『大いなるカ・ディミラ、赤き獣に跨りし女、それは全身に神の名を冒涜する数々の名で呼ばれし忌むべき者。紫と赤き衣を纏て、金と宝石と真珠で身を飾り、その手には神の民の血に満ちた金の杯を持ち、女はその杯の血に酔いしれる...』」
眉を顰めながら書いてある目に止まった文章を読み上げるディビッド。
「封印式の解除方法は普通結構明確な記載があるけど、かなり抽象的なんだよな...」
とジョナサンはぼやく。
封印式の解除の為などの記載は古代ウルム語とは言えはっきりと生贄の種類と数が記載されているからだ。
「血を用いれば封印式が解除される???...この『神の民の血』がどこまでの範囲の話なんでしょうねぇ...」
その記載をトントンと指差しながらディビッドは首を傾げる。
「通常なら何をどの数まで記載があるのになぁ...」
とジョナサンは顎に手を当ててそう話す。
「『神の民』と表記してるなら創造者にして忠節なる神の信者という括りで良いんでしょうけどねぇ、まぁ生贄を連れて地下70階まで降りるなんてそうそう簡単には辿り着けないのでそこまで心配しなくても良さそうですけどね」
「でもウルムの王宮での一件もあったからな...それこそリュシフェルが絡むとどうにでも出来るって事が...」
ジョナサンがそう言うとディビッドも難しい顔をしながら自身の口を隠す様に手をやる。
そう、ウルムの王城で起こった件、あれだけ厳重に管理されていてもリュシフェルの導き自体があればあっさりと悪魔は侵入するし、封印式まで解除もしてしまう事もできる。
「姉上の力も借りた方が良いかもですね...少し不安があるのですが」
「不安?」
ジョナサンは首を傾げる。
「...いえ...我々4人合わせても余るパワーは変わらないでしょうから」
ジョナサン達はまだエステルが不調になった件を知らない、そしてその理由も。
しかしディビッドはその件を口にしようと思えなかったのだ...それこそ預言者としての立場もあるエステルが誓約を破った事を...
ーーー
昼もすぎて時間も3時くらいも過ぎたあたり、ジョナサンが封印式の再チェックを終わらせてペンを置いて背伸びをする姿をディビッドは横目で見る。
「流石に遅いですがお昼にしましょうかねぇ」
「あーそうだなぁ、じゃあ食堂に...」
とジョナサンが立ち上がろうとするとその肩をポン、と叩かれる。
「昼休憩ついでに気晴らしに街に出ませんか?」
「ん???別に良いけど?」
何やらディビッドの笑顔のに不穏な気がするものの、たまには慣れ親しんだ屋台の食事も悪くないな...と思うジョナサンは後々後悔する事になるのだった。
ー
ジョナサンはそこそこ高い建物の屋根の上で眉をへの字にしながら奢って貰ったプレッツェルを齧りつつ周囲の気を読む。
正直プレッツェル一個ではわりに合わない...と思いながらも弱みを握られている為、ディビッドにお願いされては渋々飲まざる負えない。
「どうですか?」
「あの辺だな?先生だけじゃなくてエステル様の気も感じるし...」
とジョナサンは人集りのある場所を指差す。
まぁ前にもやった様にバレンティナを探して今回は観光に合流しようという魂胆なのだ。
「じゃあ向かいますか、ジョナサン」
「えー俺は戻る...」
ジョナサンはそう言うとディビッドに肩を掴まれる。
「私1人だと姉上に怪しまれるじゃないですか~」
「ええー」
ディビッドはニコニコ顔だが、一緒に来いという圧を感じるジョナサンは冷や汗をかくのだった。
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