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chapter6:Be baptized
洗礼式 その10
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夜も更けて来る。
マキシムさんとサミュエルさんはそれぞれの住まいへ帰っていき、ジョナサンは部屋が無いから...とヘルムート様のお屋敷の一室を貸してもらってその部屋へ。
パーヴェル君も流石に眠くなったから、と部屋に戻って今頃就寝中じゃないかしら?
エステルお姉様もまだ体調が優れないのかそれこそパーヴェル君と一緒に部屋に戻ってしまったわ。
だから今ヘルムート様とディビッドと私の三人だけで談話室にいるわ...まぁお察しの通り膝に乗せられて動けない状態ではあるけど。
そんな感じのせいできっとヘルムート様がまだ寝ずにここにいるのはエステルお姉様の代わりに二人きりにさせない様にってつもりよねぇ。
「さて、ディビッド...そろそろお前も部屋に戻ったらどうだ?」
「いえいえ、まだティナと話をしたい事が山ほどありますし~」
「流石にバレンティナ様だって疲れているだろう、解放してあげなさい」
「そんな事ないですよね、ティナ?」
笑顔で私の顔を覗き込んでそう聞いてくるディビッド。
「うーん...」
確かにもう部屋に戻って休みたいけど、素直にそう言ったら言ったで駄々をこねそうなのよね...しかも後々反動でねちっこいエッチをしてくるし...
それにここ数日二人きりな時間が取れてない事も絶対関係してそうなのよ...
「ほら、バレンティナ様だって困っている顔をしているだろう」
「ええっ...ティナ一緒は嫌ですか???」
「そうじゃないけど...そろそろ眠いかも...」
何だか疲れが出てきて瞼が重いのよ。
「じゃあ一緒のベッドに...」
「だからそれがダメだと言っているだろうが!」
ヘルムート様の特大の雷が落ちるわ!
「そんなに怒らなくてもいいじゃないですか~何度も言ってるけど夫婦なんですよ」
「だが表向き結婚式も上げてない状態ではそうではないのだ...それにしてもお前のその執着は姉上に執着していたお前の父親...シャウルにそっくりで心配なのだ...お前の父親と正確が真逆だからそう言う点では大丈夫だと思っていたのに...はぁ...」
ヘルムート様の姉...ディビッドのお母様の事よね。
「...知らない親の話を出されても...」
とディビッドは不満気な声で言うわ。
「お前にはあまり言いたくは無かったが、お前がフラウエン教会に捨てられたのも、姉上が産んだばかりのお前を捨てられた事や不貞を疑われたショックから病んで亡くなった事もそれもこれもシャウルの執着と嫉妬の強さが度を越していた為だ...」
「私は自分の子供を捨てる様な事はしないですよ」
「そうかもしれない...だがディビッド...お前のその執着や嫉妬心故にバレンティナ様を傷つける可能性がある事が心配なのだ...そしてその結果二人ともボロボロになって死んでいった姿は見ていられなかった程だった」
ヘルムート様が真面目な顔でそう語る。
「何で今そんな話をするんですか...ティナが洗礼も受けた日なのに」
「だからこそだ...この半年の報告の件にこの数日のお前の行いを見てだ...そしてバレンティナ様にもお前の両親の話さねばとも思ってだ、いつかは知られる事だろう」
「...」
「バレンティナ様...昔話になりますが聞いてもらえますか?」
「...はい」
「ありがとうございます...親世代より前からザイオンとマハナイムは親戚関係みたいなもので私と姉上...そしてシャウルとは歳も近い事もあって小さい頃から良く知った間柄でした」
「幼馴染という事ですか?」
「うーん...幼馴染と言うよりはシャウルにはとても嫌われてたんですよ、見た目も才能も私よりも上なのに姉上の実の弟と言うだけで」
「?」
「面と向かって『ヘルムートはドロレスの弟だと言うだけで狡い』と小さな頃から言われつづけてましたので...」
「えぇ???」
何だか無茶な事言う人だったって事???
「ただ幼い時はシャウルに兄弟がいないから、そんな事を言っているんだと姉上含め私の家族は思っていたんですよ、でもシャウル本人はそうじゃなかった...シャウルは姉上を自分の妻とする為に執念深く交渉し、『白の射手』になるなら...と言う約束を取り付けたんですよ」
と大きくため息を吐きながらヘルムート様は昔の話を始めたわ...
マキシムさんとサミュエルさんはそれぞれの住まいへ帰っていき、ジョナサンは部屋が無いから...とヘルムート様のお屋敷の一室を貸してもらってその部屋へ。
パーヴェル君も流石に眠くなったから、と部屋に戻って今頃就寝中じゃないかしら?
エステルお姉様もまだ体調が優れないのかそれこそパーヴェル君と一緒に部屋に戻ってしまったわ。
だから今ヘルムート様とディビッドと私の三人だけで談話室にいるわ...まぁお察しの通り膝に乗せられて動けない状態ではあるけど。
そんな感じのせいできっとヘルムート様がまだ寝ずにここにいるのはエステルお姉様の代わりに二人きりにさせない様にってつもりよねぇ。
「さて、ディビッド...そろそろお前も部屋に戻ったらどうだ?」
「いえいえ、まだティナと話をしたい事が山ほどありますし~」
「流石にバレンティナ様だって疲れているだろう、解放してあげなさい」
「そんな事ないですよね、ティナ?」
笑顔で私の顔を覗き込んでそう聞いてくるディビッド。
「うーん...」
確かにもう部屋に戻って休みたいけど、素直にそう言ったら言ったで駄々をこねそうなのよね...しかも後々反動でねちっこいエッチをしてくるし...
それにここ数日二人きりな時間が取れてない事も絶対関係してそうなのよ...
「ほら、バレンティナ様だって困っている顔をしているだろう」
「ええっ...ティナ一緒は嫌ですか???」
「そうじゃないけど...そろそろ眠いかも...」
何だか疲れが出てきて瞼が重いのよ。
「じゃあ一緒のベッドに...」
「だからそれがダメだと言っているだろうが!」
ヘルムート様の特大の雷が落ちるわ!
「そんなに怒らなくてもいいじゃないですか~何度も言ってるけど夫婦なんですよ」
「だが表向き結婚式も上げてない状態ではそうではないのだ...それにしてもお前のその執着は姉上に執着していたお前の父親...シャウルにそっくりで心配なのだ...お前の父親と正確が真逆だからそう言う点では大丈夫だと思っていたのに...はぁ...」
ヘルムート様の姉...ディビッドのお母様の事よね。
「...知らない親の話を出されても...」
とディビッドは不満気な声で言うわ。
「お前にはあまり言いたくは無かったが、お前がフラウエン教会に捨てられたのも、姉上が産んだばかりのお前を捨てられた事や不貞を疑われたショックから病んで亡くなった事もそれもこれもシャウルの執着と嫉妬の強さが度を越していた為だ...」
「私は自分の子供を捨てる様な事はしないですよ」
「そうかもしれない...だがディビッド...お前のその執着や嫉妬心故にバレンティナ様を傷つける可能性がある事が心配なのだ...そしてその結果二人ともボロボロになって死んでいった姿は見ていられなかった程だった」
ヘルムート様が真面目な顔でそう語る。
「何で今そんな話をするんですか...ティナが洗礼も受けた日なのに」
「だからこそだ...この半年の報告の件にこの数日のお前の行いを見てだ...そしてバレンティナ様にもお前の両親の話さねばとも思ってだ、いつかは知られる事だろう」
「...」
「バレンティナ様...昔話になりますが聞いてもらえますか?」
「...はい」
「ありがとうございます...親世代より前からザイオンとマハナイムは親戚関係みたいなもので私と姉上...そしてシャウルとは歳も近い事もあって小さい頃から良く知った間柄でした」
「幼馴染という事ですか?」
「うーん...幼馴染と言うよりはシャウルにはとても嫌われてたんですよ、見た目も才能も私よりも上なのに姉上の実の弟と言うだけで」
「?」
「面と向かって『ヘルムートはドロレスの弟だと言うだけで狡い』と小さな頃から言われつづけてましたので...」
「えぇ???」
何だか無茶な事言う人だったって事???
「ただ幼い時はシャウルに兄弟がいないから、そんな事を言っているんだと姉上含め私の家族は思っていたんですよ、でもシャウル本人はそうじゃなかった...シャウルは姉上を自分の妻とする為に執念深く交渉し、『白の射手』になるなら...と言う約束を取り付けたんですよ」
と大きくため息を吐きながらヘルムート様は昔の話を始めたわ...
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