542 / 841
chapter6:Be baptized
惑わす者の甘言 その12
しおりを挟む自由になったバレンティナだが、後ろから二の腕を掴まれ抱きつかれる。
『...君か』
「何勝手にティナの身体でリュシフェルと全面的にやり合おうなんてしてるんですか...」
バレンティナが後ろを振り向くと、そこにはディビッドがリュシフェルに銃口を向けながら眉をひそめていた。
きっとバレンティナの身体のまま無謀な戦いをしようとしていた事が不快なのだろう。
「私が良いって言ったのよ?」
「ティナ???」
急にバレンティナの表情と口調に変わって驚くディビッド。
『前にも言ったでしょ?身体を借りてると言ってもこの子の意識はそのまま起きているんだよ、さぁ離してくれるかな』
とまた12番目の預言者に代わると、ディビッドから離れる。
「ここから先は私がやりますから下がって貰って良いですか...」
ディビッドはそう言うと、その身体は光り出す...髪も白く輝き瞳も燃える炎の様に赤く染まっていく。
『仕方ないなぁ、サポートするから君に任せたよ』
バレンティナに宿っている12番目の預言者はそう言ってディビッドの後ろへと下がる。
目の前のリュシフェルは頭を貫通した筈だが、その痕跡が全くなく先程と姿自体は変わらない。
しかし白く光り輝く姿のディビッドを見て、その表情は怒りを宿している。
『人如きが彼の神ノ御使いの姿にだト!』
「まぁ私は『天使』に近い存在らしいですしー」
といつもの様にふざけた風に言いながらも、その表情は至って真面目な顔である。
『ハイラントの誕生ガ近イ証拠とでモ言うツもりカ!』
「それは創造者にして忠節なる神ご自身が決める事ですよ!」
リュシフェルは大量の悪霊を更に呼び出し、それらに命じてディビッドに仕向ける。
黒く一つ一つがオオオオと苦しみ呻き声を上げながら襲い掛かる悪霊達だが、ディビッドから放たれる光に気がつき恐れ慄く。
『オオオオ...彼の神の権威が...』
その光に身じろぐが、リュシフェルの言う事に従わねばならないのか、捨て身の如く襲い掛かるも、その光の故にまるで焼けごげていく様にジュウジュウと音をさせながら消えていく。
『彼の神ノ威光!そこまでの力ヲ与えられルとハ...』
リュシフェルはそう言いながら左手を動かすと黒い霧の様なモノが生じて形を何本もの大きな槍の姿へと変化していく。
その大きさは聖典初期に描かれた堕天した悪魔と人の合いの子である巨人ゴライアスが持ったとされる槍の大きさ程だ。
槍は宙を浮きながらリュシフェルの周囲を回ると上空へと向かう。
0
お気に入りに追加
346
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】仲のいいバイト仲間だと思ってたら、いきなり襲われちゃいました!
奏音 美都
恋愛
ファミレスのバイト仲間の豪。
ノリがよくて、いい友達だと思ってたんだけど……いきなり、襲われちゃった。
ダメだって思うのに、なんで拒否れないのー!!


淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

ヤンデレ義父に執着されている娘の話
アオ
恋愛
美少女に転生した主人公が義父に執着、溺愛されつつ執着させていることに気が付かない話。
色々拗らせてます。
前世の2人という話はメリバ。
バッドエンド苦手な方は閲覧注意です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる