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chapter6:Be baptized
嫌い!嫌い!大嫌い! その6
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ところ変わってウルム国境を超えてバーレへ向かう車が一台。
赤いピカピカであった高級車がずっと舗装されているとはいえないガタガタした坂道を泥と埃まみれの姿で登り続ける。
「それにしても遅いっすねぇ」
「ギャ!ギャ!!もっと早く走れ!」
後部座席でふんぞりかえりながらサミュエルは話す、その頭にはピッピちゃんも鎮座している。
「仕方ないだろ、延々と上り坂だし」
マキシムが運転を、弱体化したジョナサンは車の動力として術式を組んで流し込み続けている。
当初は列車でという話だったが、ヴィネの一件でレールの一部が破損しその修繕には時間がかかる事や、ベルガモを通過する海側のルートは客が迂回路として使用し集中してしまい、バーレへ戻るチケットが取れなかった為『車で行こうぜ!』と気楽にマキシムが言ったことが発端である。
ちなみにジョナサンは『4日くらいもぶっ続けで運転なんて無茶な事すんな!』と反対したのだが、サミュエルもマキシム所有の乗用車に興味があって『乗りたいっす!』と言い出したのだのもあってこうなったのだ。
因みに何故ジョナサンは反対したかというと、ぶっ続けの運転もだが綺麗に舗装された街の道を走らせる為に作られた乗用車は坂道を走らせるに向かないし悪路に対処しにくいせいだ。
ちなみにこの世界の車や列車の動力は術式を用いたものばかりであり、300年前に術式を物質の付与し長時間それを継続させる技を編み出す事によってそれを応用してさまざまな物が作り出され、世の中が大きく発展したのである。
ただ術式付与にも時間が過ぎれば消えてしまう為、組み直しなどの必要もあるし、車などの強度によってはある程度の出力しか出せない様な仕様のものもある。
まぁそんな感じで案の定車の動力として使っていた付与した術式では登り道を走らせるにはパワーが足りなかったりしたため、ジョナサンが直接動力としてずっと術式を組む羽目になる。
しかも暫くすると内部が壊れたりして、ジョナサンが結局錬金で直してはを繰り返すオマケ付きである。
「疲れてきたんだけど...」
ジョナサンがぼやき出す、かれこれ3日もこの状態なのだ。
「ほらこれでも飲んで頑張れ!」
「自分で作った奴だけど甘すぎなんだよなぁ」
マキシムから受け取ったジョナサン特製の回復ポーションを開けて飲み干すとジョナサンは眉を顰める。
体力は速攻回復する効能は良いのだが、ポーション用のりんごを精製し、ただただ濃縮させた為砂糖より甘くなった上に濃縮しすぎて結晶化したのか砂糖のようなジャリジャリした感じが舌に残るのだ。
「これ喉渇くからいつか改良しないとなぁ」
別で持ってきていた水筒から水を飲んで口の中に残った甘いジャリジャリを流す。
「頑張れじょにーさん!もうちょいしたらバーレっすよ!」
「ギャ!ジョニー!頑張れ!」
「ただただ乗ってるだけのお前らに言われたく無いわ!」
ジョナサンがサミュエルに言うと同時に坂を登る速度が上がる。
どうもジョナサンの感情と出力が連動してしまうところがある為にこう言う事が生じやすい。
「おおっ!速度が!!!もうちょい抑えろジョナサン!車の方が悲鳴を上げちまう!」
「マキシムもなんで見た目ばっかの車なんて買うんだよ!どう考えても長距離で舗装もされてない坂道に耐えられるような仕様じゃ無いだろ!」
この3日の間に5回修理する事もしているジョナサンが叫ぶ。
「実用メインとか軍用車じゃウルムの街で走らせるには見た目が悪いだろ~」
「実用第一だろうが!」
マキシムの悪気の無い答えにジョナサンが声を上げる。
「ロマンが分からないちびっ子にゃあわからないっすよ」
サミュエルもそんな事を言い出す。
「ちびっ子言うな!」
「おいおい!ジョナサン出力下げろって!また壊れるぞ!」
ただただそんな感じの会話が続きながら、車は不安定な速度のまま延々と登り道を走るのだった。
赤いピカピカであった高級車がずっと舗装されているとはいえないガタガタした坂道を泥と埃まみれの姿で登り続ける。
「それにしても遅いっすねぇ」
「ギャ!ギャ!!もっと早く走れ!」
後部座席でふんぞりかえりながらサミュエルは話す、その頭にはピッピちゃんも鎮座している。
「仕方ないだろ、延々と上り坂だし」
マキシムが運転を、弱体化したジョナサンは車の動力として術式を組んで流し込み続けている。
当初は列車でという話だったが、ヴィネの一件でレールの一部が破損しその修繕には時間がかかる事や、ベルガモを通過する海側のルートは客が迂回路として使用し集中してしまい、バーレへ戻るチケットが取れなかった為『車で行こうぜ!』と気楽にマキシムが言ったことが発端である。
ちなみにジョナサンは『4日くらいもぶっ続けで運転なんて無茶な事すんな!』と反対したのだが、サミュエルもマキシム所有の乗用車に興味があって『乗りたいっす!』と言い出したのだのもあってこうなったのだ。
因みに何故ジョナサンは反対したかというと、ぶっ続けの運転もだが綺麗に舗装された街の道を走らせる為に作られた乗用車は坂道を走らせるに向かないし悪路に対処しにくいせいだ。
ちなみにこの世界の車や列車の動力は術式を用いたものばかりであり、300年前に術式を物質の付与し長時間それを継続させる技を編み出す事によってそれを応用してさまざまな物が作り出され、世の中が大きく発展したのである。
ただ術式付与にも時間が過ぎれば消えてしまう為、組み直しなどの必要もあるし、車などの強度によってはある程度の出力しか出せない様な仕様のものもある。
まぁそんな感じで案の定車の動力として使っていた付与した術式では登り道を走らせるにはパワーが足りなかったりしたため、ジョナサンが直接動力としてずっと術式を組む羽目になる。
しかも暫くすると内部が壊れたりして、ジョナサンが結局錬金で直してはを繰り返すオマケ付きである。
「疲れてきたんだけど...」
ジョナサンがぼやき出す、かれこれ3日もこの状態なのだ。
「ほらこれでも飲んで頑張れ!」
「自分で作った奴だけど甘すぎなんだよなぁ」
マキシムから受け取ったジョナサン特製の回復ポーションを開けて飲み干すとジョナサンは眉を顰める。
体力は速攻回復する効能は良いのだが、ポーション用のりんごを精製し、ただただ濃縮させた為砂糖より甘くなった上に濃縮しすぎて結晶化したのか砂糖のようなジャリジャリした感じが舌に残るのだ。
「これ喉渇くからいつか改良しないとなぁ」
別で持ってきていた水筒から水を飲んで口の中に残った甘いジャリジャリを流す。
「頑張れじょにーさん!もうちょいしたらバーレっすよ!」
「ギャ!ジョニー!頑張れ!」
「ただただ乗ってるだけのお前らに言われたく無いわ!」
ジョナサンがサミュエルに言うと同時に坂を登る速度が上がる。
どうもジョナサンの感情と出力が連動してしまうところがある為にこう言う事が生じやすい。
「おおっ!速度が!!!もうちょい抑えろジョナサン!車の方が悲鳴を上げちまう!」
「マキシムもなんで見た目ばっかの車なんて買うんだよ!どう考えても長距離で舗装もされてない坂道に耐えられるような仕様じゃ無いだろ!」
この3日の間に5回修理する事もしているジョナサンが叫ぶ。
「実用メインとか軍用車じゃウルムの街で走らせるには見た目が悪いだろ~」
「実用第一だろうが!」
マキシムの悪気の無い答えにジョナサンが声を上げる。
「ロマンが分からないちびっ子にゃあわからないっすよ」
サミュエルもそんな事を言い出す。
「ちびっ子言うな!」
「おいおい!ジョナサン出力下げろって!また壊れるぞ!」
ただただそんな感じの会話が続きながら、車は不安定な速度のまま延々と登り道を走るのだった。
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