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chapter6:Be baptized
それは秘密よ その11
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「なんて事をしてくれたのですか!」
礼拝堂に全員が呼び出されて、タビダ様の叱責の声が響く。
「ですが...洗礼を受けるって...」
「バレンティナ様は洗礼を受けるだけで、今回こちらに来ているのはその準備であって修道士見習いになる訳ではないのですよ!」
どうやらあの貴族の娘、いろいろタビダ様に言いつけたのかもね...まぁまち針を刺しただの掃除をさせるだの証拠の残るような嫌がらせをするからだけど。
「申し訳ございません、タビダ様」
「私にではなく、バレンティナ様に謝罪なさい!あの方は謙遜なお方だから特に何も言いはしないですが、普通のウルム貴族であれば国際問題にもなり得るんですよ!」
「ひっ!」
もっと上手くやれば良いのに、あの子達わかりやすいんだものね、だから頭が悪くてここに入って来たような下流貴族の娘とか嫌なのよね。
「バレンティナ様はディビッド様以上にエステル様の大切な客様なのです、そこを忘れないように!」
最後そう言ってタビダ様は去っていく。
「どうしよう...」
まち針を刺したりして嫌がらせをした子が青い顔をしているわね。
「わざとじゃあないんでしょ?ならそこまで落ち込む必要なんてないわよ」
「そう?」
そんな感じで優しく声をかけておく、まぁ相手によく見られる事自体損じゃないものね。
「そうよ...もっと別な方法があったはずよ」
「何?」
何人かの子達が近づいてくるわ。
「それこそね...」
そう...もっと頭を使わなきゃ...
それにしても今日はやけに礼拝堂が綺麗になっている気がするわね。
それにまた何処かから視線を感じる...私たち以外だれもいない筈なのに。
ーーー
着替えしないままお屋敷に戻って着たからさっさと持ってきた服に着替え直すわ。
だって修道士見習いの服って肌の露出なんて無いシンプルな紺色の服なのにエロいとか言われて解せないし、異端審問官の人がいる中で何度もお尻を触るというより撫で回されたし、身体を清めなきゃならないのにうっかりディビッドに襲われでもしたら大変だもの。
それにしても今日は何だか疲れちゃった...洗礼式まではこんな感じなのかしらねぇ。
「...何だか大変な事になってきたわねぇ」
教皇様やタビダ様みたいにあんな感じ敬われるのもなんか変な感じだし、私そんな偉い人間じゃないのに。
そう、昔から立場で見られる事が嫌だったのよね...小さい頃は侯爵家の人間の癖に貧乏で随分嫌な目にあったし、お兄様が家と領地をあっという間に盛り返したら手のひら返しどころか恐れられてしまうくらいになったりだしね。
だからいつの間にか、目立つ髪色を隠してスザンナと一緒に街に遊びに行ったりする様になったのよ...
ただ普通の女の子として、街に溶け込んでショッピングしたり美味しいお菓子を食べたり、人気の劇場や美術館に行って楽しんだりしてね。
ただきっとそれもそのうち出来なくなるんだろうな、と思いながら...パパは好きにすれば良いなんて言うけどウルム貴族の娘ならば、貴族の元に嫁いで家同士の関係を強め、子供をもうける事を望まれる筈だったしそう言う事で婚約もしてたしね。
まぁあの阿呆は悪魔に唆されて婚約は破棄する事になったけど。
その後も貴族かお金持ちな商家のおじいちゃんの後妻にでもなって悠々自適生活でも送る予定だったけど、ディビッドと出会ってからそんな訳にいかなくなったのよね...
まさか出会って一ヶ月くらいであっという間にこんな爛れた関係になっちゃったけど。
窓から空を見る、もう真っ暗ね。
礼拝堂に全員が呼び出されて、タビダ様の叱責の声が響く。
「ですが...洗礼を受けるって...」
「バレンティナ様は洗礼を受けるだけで、今回こちらに来ているのはその準備であって修道士見習いになる訳ではないのですよ!」
どうやらあの貴族の娘、いろいろタビダ様に言いつけたのかもね...まぁまち針を刺しただの掃除をさせるだの証拠の残るような嫌がらせをするからだけど。
「申し訳ございません、タビダ様」
「私にではなく、バレンティナ様に謝罪なさい!あの方は謙遜なお方だから特に何も言いはしないですが、普通のウルム貴族であれば国際問題にもなり得るんですよ!」
「ひっ!」
もっと上手くやれば良いのに、あの子達わかりやすいんだものね、だから頭が悪くてここに入って来たような下流貴族の娘とか嫌なのよね。
「バレンティナ様はディビッド様以上にエステル様の大切な客様なのです、そこを忘れないように!」
最後そう言ってタビダ様は去っていく。
「どうしよう...」
まち針を刺したりして嫌がらせをした子が青い顔をしているわね。
「わざとじゃあないんでしょ?ならそこまで落ち込む必要なんてないわよ」
「そう?」
そんな感じで優しく声をかけておく、まぁ相手によく見られる事自体損じゃないものね。
「そうよ...もっと別な方法があったはずよ」
「何?」
何人かの子達が近づいてくるわ。
「それこそね...」
そう...もっと頭を使わなきゃ...
それにしても今日はやけに礼拝堂が綺麗になっている気がするわね。
それにまた何処かから視線を感じる...私たち以外だれもいない筈なのに。
ーーー
着替えしないままお屋敷に戻って着たからさっさと持ってきた服に着替え直すわ。
だって修道士見習いの服って肌の露出なんて無いシンプルな紺色の服なのにエロいとか言われて解せないし、異端審問官の人がいる中で何度もお尻を触るというより撫で回されたし、身体を清めなきゃならないのにうっかりディビッドに襲われでもしたら大変だもの。
それにしても今日は何だか疲れちゃった...洗礼式まではこんな感じなのかしらねぇ。
「...何だか大変な事になってきたわねぇ」
教皇様やタビダ様みたいにあんな感じ敬われるのもなんか変な感じだし、私そんな偉い人間じゃないのに。
そう、昔から立場で見られる事が嫌だったのよね...小さい頃は侯爵家の人間の癖に貧乏で随分嫌な目にあったし、お兄様が家と領地をあっという間に盛り返したら手のひら返しどころか恐れられてしまうくらいになったりだしね。
だからいつの間にか、目立つ髪色を隠してスザンナと一緒に街に遊びに行ったりする様になったのよ...
ただ普通の女の子として、街に溶け込んでショッピングしたり美味しいお菓子を食べたり、人気の劇場や美術館に行って楽しんだりしてね。
ただきっとそれもそのうち出来なくなるんだろうな、と思いながら...パパは好きにすれば良いなんて言うけどウルム貴族の娘ならば、貴族の元に嫁いで家同士の関係を強め、子供をもうける事を望まれる筈だったしそう言う事で婚約もしてたしね。
まぁあの阿呆は悪魔に唆されて婚約は破棄する事になったけど。
その後も貴族かお金持ちな商家のおじいちゃんの後妻にでもなって悠々自適生活でも送る予定だったけど、ディビッドと出会ってからそんな訳にいかなくなったのよね...
まさか出会って一ヶ月くらいであっという間にこんな爛れた関係になっちゃったけど。
窓から空を見る、もう真っ暗ね。
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