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chapter6:Be baptized
アルトマイヤー寺院 その11
しおりを挟むなんだか肩に手を回してきたわ!きゃあ!
「流石にこんな神聖な場じゃ不敬だわ!」
「うーん...確かに教えの場として教会や礼拝堂を各地に置いてはいますが、祈りと神への感謝を捧げるのはいついかなる場所でもどんな時でも行う事ができ、そしてその祈りは神の意志と調和されるものであれば聞き届けられるのです...だからこの場所だからって不敬とか関係ないんですけどね」
「時と場所があるし、他の目に対してもう少し気にすべきです、ディビッド」
「うーん...仕方ないですねぇ」
ディビッドはヘルムート様の苦言に対して答えると肩を回す腕を離すわ。
「確かにディビッドの言う通りではあるんですがね、大きな奇跡を見たりして信徒になる方も居ますが、実のところ私たちが命を持つこと自体が奇跡であり、そんな私たち全ての人々に公平に雨を与えて下さる方なんですよ」
ヘルムート様はそう言って再度ステンドグラスの方へ目を向けるわ。
「パーヴェル君...聖マーシャは元は古代のウルム王家の姫の一人であったので、それこそパーヴェル君とも関わりがある方でもあるのですよ」
「そうなんですか?」
パーヴェル君は驚きの顔ね、確かにその記述はあったわね。
「そう...聖マーシャは古代ウルムの姫の一人でしたが髪の色が黒い故に不貞の子と訴えられ荒野に追い出されて旧バーレで彷徨う中で、神からの神託を受けて預言者となり各地で苦しむ人々に救いと悪魔とそれに従う悪しき者たちの滅びを語り続けました」
ヘルムート様は他のステンドグラスを指差す、荒野へ追い出される図と神からの神託を受けた図の2点ね。
「そしてこのバーレの地から邪悪なものを一掃します...雹の災厄をもって...」
そしてあの1番大きな雹の災厄を持ってバーレを一掃する図を指差す。
「あ!」
「バレンティナ様はお気づきのようですね」
つい声を上げてしまう!そうだわ!ウルムの王家がずっと続く理由を思い出す。
そう、地域一帯に大きな被害を及ぼす程の天候を左右させる程の寒波をもたらす氷属性の力...それは人間兵器って言われるまでの力を持っているから!
「神はウルム王家特有の力を...聖マーシャの能力をさらに引き出し七日間ずっと雹を降らせ続けたのです、その後ヨベルを七年間行いバーレの地を清めて人を住まわせた所からこのバーレの地はあるのです...そして聖マーシャの血は私にもエステルやディビッドにも繋がっているんです...だからパーヴェル君、君と私たちは遠い親戚なんですよ」
「そうなんだ...僕とエステル様は遠い親戚なんだ...」
パーヴェル君の顔が綻ぶわ、本当にエステル様の事が大好きなのね。
「さて、屋敷に戻りますかね」
「あ!ヘルムート様、お願いがあるんですが...」
ヘルムート様が屋敷へ戻ろうと声をかけた時にパーヴェル君が声をかけるわ。
「...なるほど、良いですよ、ではディビッド、バレンティナ様と先に戻っていてください、私達は用事を済ませたらもどりますので」
ヘルムート様がそう言う、パーヴェル君は何をお願いしたのかしらね?
────────────────────────
系図を簡単にまとめると、
聖マーシャは古代のウルム王家の血縁者。
ヘルムートは聖マーシャの直系の子孫。
ディビッドやエステルはマーシャとアビゲイルの両方の血を継ぐ12番目の預言者の子孫。
(しかもヘルムートのお姉さんが二人の母親)
パーヴェル君は古代から続くウルム王家の子なので、全員聖マーシャにかかわるのです。
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