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chapter6:Be baptized
神託 その3
しおりを挟む「そうですね、違う機会にその話や資料をお見せしますよ...さて本題に入りますが、2人には洗礼式を受ける事によって強い加護を得る事ができるんです、そうそう悪魔が手を出すことが出来ない程にです...ですが2人が信仰を持ってトラウゴット教の教徒となる事を選ぶと言う事でもあります」
「何か問題でもあるんですか?」
パーヴェル君がそう尋ねるわ。
「そうですねぇ...ウルムでの生活では普通に行う事が出来ない事とか...例えば複数の配偶者を所有する事を禁止している事や一部の食品を取り入れない事...そして絶対に他の宗教に...悪魔崇拝だけはやってはならない事です」
「?」
「...はっきり言いますと、創造者にして忠節なる神以外の神と呼ばれる存在は元々人類の敵たる悪魔リュシフェルと他の悪魔が関わっているからです、それこそリンダウや海の向こうの大陸側で信仰されているベール神は我々にとっては悪魔ベルゼビュート、ウルム内各地で信仰されていた女神アシュタルは悪魔アスタルトといった具合にです」
「アスタルトはディビッド達が倒したあの悪魔...」
前に倒した何だか白くて気持ち悪い悪魔の姿を思い出す。
「そうです、しかし目撃したとしてもそれを認める事をしない人々がほとんどなのです、それだけ信仰とは根深いものなので...だからこそ聞きます...貴方達2人は洗礼式を受けますか?」
「はい、僕は受けます」
パーヴェル君ははっきりと述べるわ。
「パーヴェル君」
「僕の母はずっとベール神を信じてましたし、ずっと気味の悪い偶像を崇めていましたが、実際は悪魔そのものを崇拝し、僕や姉を犠牲にした上に父が最も憎んだあのダンダリオンを解放させてしまった母の罪を償い、その悪魔を倒せる唯一の神を信じたいのです」
「まさか...君」
ヘルムート様は驚く顔でパーヴェル君を見るわ。
「僕はディビッドさんのような異端審問官になりたいのです」
「その名前を...はぁ...君はまだ幼いし、もっと穏やかに生活できる将来もあるでしょう...それに異端審問官になるには多くの患難も待っているし何よりも常に死の危険に晒されて続けるんですよ...例え加護を受けたとしてもです」
「...僕はもしかしたら父に殺されてもおかしくない立場でしたが、エステル様を通して神により助けられたのです」
パーヴェル君は真面目な顔でそう言うわ。
「...私としてはまだ幼い君がその道を早々に歩むことを選ぶのは勧められないけれど、もしかするとそう因果が決まってしまったのかもしれない」
パーヴェル君の答えにヘルムート様が考えながらそう答えるわ。
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