銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

神託 その1

「ウルムの食事と違って質素なものばかりですが...」

ヘルムート様がそう言いながらも準備された食事は牛肉の煮込み料理にジャガイモのスープにジャガイモのグラタンに...美味しくない訳じゃないけど...うん、話では聞いていたけど本当にジャガイモが多いわね。

「もっと贅沢できる収入があるでしょうに...もう少し良いものを出せば良いのに..」

ディビッドがグラタンを食べながらそうぼやくわ。

「ディビッド、清貧たれの精神を忘れてはいけませんよ、それに今年はあまり小麦が収穫出来ないという話ですからね」

ヘルムート様はそう言いながら食事をする。

「ジャガイモ美味しいですよ」

パーヴェル君はお腹が空いてるのか沢山食べるわ、王宮生活で豪勢な食事も多かったでしょうに、偉いわねぇ。

「なら良かったです」

ヘルムート様はパーヴェル君に優しくそう答えるわ。

「ところで姉上は？確か先に戻って居るって言ってたんですが」

確かに気にはなっていたけど、エステルお姉様が夕食の席に居ないのが気になるわ。

「ああ、旅の疲れが出たのか食事はいいからと休むと言ってな...あまりそんな事は無い子なのに」

「...ですか」

ディビッドは少し眉を顰める、やっぱり何か気になる事があるのかしら？誓約の件とかで徐々に弱まって居るって聞いてるし...

そんな感じで食事を終わらせると、ヘルムート様にパーヴェル君と一緒に呼ばれて客室へと案内されるわ。

ちなみにディビッドは部屋で休むようにって釘を刺されちゃった...何だか恨めしそうな目でこっちを見てたけどヘルムート様の言うことは聞くのか渋々戻って行っちゃった。

ヘルムート様は自らお茶を出して私たちに用意してくれる、良い香りのお茶...これディビッドのお店で出しているお茶と同じものみたい。

それにしてもヘルムート様ってお茶の淹れ方も上手だわ。

「バレンティナ様すみませんねぇ...ついあの子を可哀想と思って甘やかしたせいかああなってしまいまして、未だに子供みたいな振る舞いばかりでしょう？」

「あーでももう慣れたというか...」

「...慣れた...ですか...はぁ...」

なんだかがっくりと肩を落とすヘルムート様。

確かに否定できない...というか結構苦労してそうよね、ヘルムート様。

でもきっと可哀想って言うのは捨てられて孤児院に居た件とかいろいろあるのかもしれないわ。

「ディビッドさんの事？」

「...まぁその話はそのうちに話しましょうかね...さて今回は2人に洗礼式を行なってもらう為の話をしようと思ってね、本当なら早い段階でウルム内の教会で行う話にしていたんだが、エステルやディビッドの件で今立て込んでいるからね」