銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

黒い獣 その5

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その日の昼下がり、まだ店が開いている時間帯にマキシムがやって来た。

ジョナサンとディビッドに化けたサミュエルは雇っていスタッフに店の片付けを任せて2階のリビングへ向かう。

「すまんな、急ぎだ」

マキシムはいたく真剣な顔をしてやって来たのだ。

「...出たんすか...」

「ああ、今現場から戻って来たばかりだ」

そう言って現場の念写画を見せる。

「...酷いな」

ジョナサンは眉間に皺を寄せる。

その念写画には悪魔崇拝の儀式後の状態が写されており、石畳の床に円陣が描かれており、その場で何かの猛獣のような存在に肉を食い散らかされ、無惨に投げ捨てられている死体が写されていた。

「人の肉を好むって点なら例のヴィネっすかね」

ディビッド姿のサミュエルは念写画を見てそう言うも、ジョナサンはやや引っかかるものを感じる。

「確かにその可能性もあるが...他に痕跡とかはねぇか？普通悪魔崇拝するなら名前や紋章とか残ってる筈だろ？」

「それが祭壇が焼け焦げててなぁ」

「祭壇が？...じゃあ証拠を消した？ただそうならそのまま遺体ごと燃やせば良かっただろうに、でこの場所って？」

「貴族のタウンハウスだった場所の地下室だとさ...今は廃墟同然らしかった」

「らしいって？」

「近所の悪ガキ達の悪戯でボヤがあって屋敷は丸焼け、地下が残っていたからと消火活動をしていた周辺の住民が生存者がいるかどうか確認の為に入ってみたら...って感じだ、気の毒になぁ」

無残に殺された人の遺体を見た住民たちを同情するマキシム。

「地下に火は回って来たものの、消火活動のお陰でそこまで燃え移らなかったって所か？でもそれ都合が良すぎるんじゃねぇの？？？」

「ちゃんと調べたさ...ボヤを出した悪ガキ共は白だ...そもそもそんな度胸は無い子供らだったよ」

マキシムはそう答えながらテーブルに朝食べきれず余って置いておいたフォカッチャを一つとって食べ始める。

「これ美味いな」

マキシムはあっという間に食べてしまうと更にもう一つ手を伸ばす。

「勝手に食うなよ！全く！」

ジョナサンは皿ごとフォカッチャの山をマキシムの前から退ける。

「こんなにあるのに良いじゃないか」

「これは俺達の夕食であり明日の朝食だ！」

作ってくれる人が居ないから大切な食糧...大事に食べようと思っていたのに、マキシムに食べられてはあっという間に無くなってしまうと思ってだ。

「そうっすよ、王子様～そっちはレストランで食べまくれんでしょ？」

サミュエルはマキシムに対して悪態を吐く。