銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

黒い獣 その3

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ジョナサンは朝早くぼんやり明るくなったくらいに起き、あくびをしながらフィオーレ・ビアンコの店の前を掃除する。

秋口故にどうしても街路樹の落ち葉が溜まってしまうので毎日こまめに掃除しないとなのだ。

「それこそサミュエルがやれば良いのに...」

ジョナサンはそうぼやきながらちりとりで集めた落ち葉を入れてゴミ箱へ突っ込む。

「おや？ケーキ屋の所の坊主じゃないか！頑張ってるな！」

近所のパン屋の丸々としたおじさんが同じように掃除しようとほうきとちりとりを持ってやって来て声をかけられる。

「あ、はい」

なんだかんだで知り合い以外に声をかけられるとオドオドしがちのジョナサンだ。

「偉いなぁ、あの店主のイケメンの兄さんはいっつも朝帰りなのになぁ」

それもその筈、ディビッドはほぼ毎晩バレンティナの部屋に忍び込んで一夜を共にしてから早朝戻ってくるのだ、それを目撃されたのだろう。

「はは...まぁオーナーはいろいろあるので」

ジョナサンは苦笑いを浮かべながらそう話す。

「それにしても坊主は細いなぁ、ちょっと待ってろ」

ジョナサンはなんとも言えない顔をすると、おじさんは自分の店に戻り沢山のフォカッチャが入った紙袋を持って戻ってくる。

「ほら！沢山食べてあの兄さんより大きくなるんだぞ！」

「あ...はい、ありがとうございます」

ジョナサンは複雑な気持ちになりながらも、礼を述べてパン屋のおじさんの親切をありがたく受け取る。

どうも今の姿は子を持つ親御さんに響くものがあるらしく、みんな親切なのだ。

でも実際のジョナサンの姿は身長2メートルくらいで筋骨隆々の姿だ、どこか人を騙しているようでジョナサン的には申し訳ない気持ちである。

「頑張れよ坊主！」

そう言われながら店に戻るジョナサン。

ジョナサンは二階の居住スペースに戻るとリビングのソファーの上でぐーぐー眠っているサミュエルの姿が目に入る。

ちなみにサミュエルには使用人達の部屋のベットを使えば良いと言う話をしてはいるが、サミュエルはその場所を自分の居所のように張り付いて動かないのだ。

フォカッチャの香りに眠っていたサミュエルの目が覚める。

「お、朝食っすか？」

「目の前のパン屋のおじさんから貰ったんだよ」

テーブルの上にフォカッチャの紙袋を置くと、サミュエルはだらしなくそのまま手を伸ばしてガサゴソと紙袋からフォカッチャを一つ取って齧り付く。

「ちゃんと起きてから食えよ...」

「だって眠いんすよ、夜あちこち探ってたから～」