銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter5:Whereabouts of the curse

目覚め その2

部屋には認識阻害の札を使いあたかも部屋に三人いる様にし、ディビッド達三人もジョナサンが認識阻害術を使って姿を消して街を歩く。

誰も三人を三人と認識できない状態なので、何かあってもまず心配はない。

「まちをおさんぽできるのうれしいなぁ」

バレンティナはとてもご機嫌だ、そしてどこか行かない様にディビッドはずっと手を繋いだままだ。

「迷子になったり転んだりしたらいけないから急に走ったりしたらいけないよ？ティナ」

「うん！」

晴れやかな空、街路樹のポプラは黄金色に色づいていかにも秋らしい時期だ、しばらくすれば寒くなってこんな風に外に気軽に出歩く事も無くなるだろう。

楽しそうに周囲を見回しながら街中を歩く、こんな穏やかに散歩をするのも良い、とディビッドは思う。

以前家族が欲しいと話して子供ならどんな子でもとも話をしたが、バレンティナのような可愛い女の子ならこんな感じなのかもな、それなら子供はバレンティンそっくりな女の子が産まれて来て欲しいなと思いながらバレンティナを見つめる。

そう言えばもっと色々な所を見たり体験したりと楽しい事を共有していきたい、とバレンティナは言っていたけど、こうやって一緒になってゆっくり歩いて景色を見たりする事もそうなのだろうな、と思うディビッド。

それこそ元のバレンティナに戻った時、もっと色々な場所に遊びに行って様々な景色を見たりしに行こう、それに最初に出会ったフラウエン教会のステンドグラスを見に行くのも良いかもな、ともだ。

そんな事を思いながら歩いているとあっという間にフィオーレ・ビアンコへ辿り着く。

『白い花』をイメージした店で、女の子が憧れる様な雰囲気にしたのは情報収集にも良いかもと軽い思いつきで始めたものではある、その後バレンティナと出会ってからバレンティナを誘い出す為に利用をしてはいたが。

ちなみに想定以上に人気になったのはディビッドの見た目もあるが、それなりに菓子作りの腕が良いからだ。

ただ本業は上級異端審問官であり悪魔を倒す事なので、店で雇っているパティシエ達にも丁寧に教えてディビッドが居なくても店自体を維持出来る様にしている。

「わぁかわいいおみせ！」

バレンティナは目を輝かせる。

三人は店に入る、先に連絡を入れて午後からは休業にしておいた為に店の中は誰もいない。

店内を明るくすると特等席へと招く、最近はそのまま2階のディビッド達の居住スペースに向かう事も多くなった為店の中で腰掛けて貰うのはエステルが来た時を除けば久々だ。