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chapter5:Whereabouts of the curse
パーヴェル ユリエフ その6
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「ううっ...ゲホっ...」
ウルム王族特有の氷属性の高さ故か、サヴェリオの氷の纏った腕はパリパリと砕けあっという間に元に戻る。
「本来ならばあの女と共に晒し首となる所だったが、エステルのたっての願いで生かしてやるのだ...お前の人生人質として全うするがいい」
そう言って去っていくサヴェリオの背中を見ると悲しくて胸の奥底が苦しくなる。
「...うっ...ううっ...」
ただただ悲しくてリヴェラートはその場で疼くまりながら泣き続けるのだった。
ーーー
自室に戻り大人気ない嫉妬をした...とサヴェリオは自分の手を見ながら思う。
罪の無い子供である事は分かっているが、自身によく似たリヴェラートに嫌悪感をずっと持っていたのだ。
ただ憎いからと今まで冷遇して来たわけではないし、リヴェラートだけで無く今王妃フォルトナータのお腹の子供を含め自分の子供全員...そして妻に対してそう思っているのだ。
何故ならサヴェリオの子供達は本人の意志に関係無く無理矢理媚薬を盛られて獣の様に盛り、愛してもいない女達に弄ばれ、その結果を酷く苦しんだからだ。
ただでさえ悪魔により家族を全員殺され、軍人として生きるつもりだったのに流れるままに王座に着いただけでも負担だったのに、その様な目にあった為に何度も嫌悪感に苛まれ、子供が産まれてもまるで穢れたモノとしか見えなかったのだ。
当初は側妃や正妃に対しそこまでの感情を持ってはいなかったが、女性側よりは負担が無いと言ってもサヴェリオ自身心にかなり深く傷を負ったのだ。
ただし自分から彼女達を追いやる事は立場的に出来ない、国王でもある為以上に周囲の貴族達の目があったからだ。
そう、昔から居る貴族達自体がサヴェリオにとって『敵』と認識し、その為に徐々に側近や周囲の人間を元々軍で近しかった人物やサヴェリオに忠義を示す存在で固め、自身の立場を確固とたるものにしてきたのだ。
そしてとうとう最も欲しかったエステルを妻として手に入れた。
ウルム貴族の令嬢の一人であるバレンティナを渡す代わりに提示した条件として、エステルをサヴェリオの妻とする事を願い、そしてリヴェラートを渡す条件としてエステルの身体を明け渡せと願ったらエステルはそれに承諾したのだ。
エステル本人はバーレに留まり続ける現地妻のつもりでいるが、サヴェリオ自身は最終的に王宮に止まらせる様に仕向けていくつもりでもいる。
そこまでして手に入れたエステル...なのにリヴェラートは簡単にエステルの保護下に入れるのだ。
「誰よりも大きな権威を手に入れたとしても、本当に望むものを何故簡単に手に出来ぬのか...」
サヴェリオはそう呟く、手に入れたと言っても完全に心まで手に入れたとは思えなくてそう呟くのだった。
ウルム王族特有の氷属性の高さ故か、サヴェリオの氷の纏った腕はパリパリと砕けあっという間に元に戻る。
「本来ならばあの女と共に晒し首となる所だったが、エステルのたっての願いで生かしてやるのだ...お前の人生人質として全うするがいい」
そう言って去っていくサヴェリオの背中を見ると悲しくて胸の奥底が苦しくなる。
「...うっ...ううっ...」
ただただ悲しくてリヴェラートはその場で疼くまりながら泣き続けるのだった。
ーーー
自室に戻り大人気ない嫉妬をした...とサヴェリオは自分の手を見ながら思う。
罪の無い子供である事は分かっているが、自身によく似たリヴェラートに嫌悪感をずっと持っていたのだ。
ただ憎いからと今まで冷遇して来たわけではないし、リヴェラートだけで無く今王妃フォルトナータのお腹の子供を含め自分の子供全員...そして妻に対してそう思っているのだ。
何故ならサヴェリオの子供達は本人の意志に関係無く無理矢理媚薬を盛られて獣の様に盛り、愛してもいない女達に弄ばれ、その結果を酷く苦しんだからだ。
ただでさえ悪魔により家族を全員殺され、軍人として生きるつもりだったのに流れるままに王座に着いただけでも負担だったのに、その様な目にあった為に何度も嫌悪感に苛まれ、子供が産まれてもまるで穢れたモノとしか見えなかったのだ。
当初は側妃や正妃に対しそこまでの感情を持ってはいなかったが、女性側よりは負担が無いと言ってもサヴェリオ自身心にかなり深く傷を負ったのだ。
ただし自分から彼女達を追いやる事は立場的に出来ない、国王でもある為以上に周囲の貴族達の目があったからだ。
そう、昔から居る貴族達自体がサヴェリオにとって『敵』と認識し、その為に徐々に側近や周囲の人間を元々軍で近しかった人物やサヴェリオに忠義を示す存在で固め、自身の立場を確固とたるものにしてきたのだ。
そしてとうとう最も欲しかったエステルを妻として手に入れた。
ウルム貴族の令嬢の一人であるバレンティナを渡す代わりに提示した条件として、エステルをサヴェリオの妻とする事を願い、そしてリヴェラートを渡す条件としてエステルの身体を明け渡せと願ったらエステルはそれに承諾したのだ。
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そこまでして手に入れたエステル...なのにリヴェラートは簡単にエステルの保護下に入れるのだ。
「誰よりも大きな権威を手に入れたとしても、本当に望むものを何故簡単に手に出来ぬのか...」
サヴェリオはそう呟く、手に入れたと言っても完全に心まで手に入れたとは思えなくてそう呟くのだった。
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