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chapter5:Whereabouts of the curse
平穏な日
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王都の真っ只中の筈なのに何とも牧歌的でのんびりした雰囲気のスザンナの屋敷の庭で、バレンティナ達は動物達に戯れながら、都会の喧騒から離れた癒しを満喫していた。
しばらくしたら、動物達も何となくそこまで悪い連中では無いと判断したのかジョナサン以外の男達にも寄ってくる様になり、頭くらいなら撫でさせて貰えるまでになっていたのである。
空も綺麗な青空で気候も悪くない、何とも平和な一時だ。
追いかけっこしながらバレンティナが四人で遊んでいるのを遠目でシルヴィオとジャンマリオは眺めている。
「いいなぁ...平和で...」
シルヴィオがそう呟く、この先血生臭い事を命じられているからだろう。
今まで極悪人に対してはっきり言えば容赦無い事をずっとして来たシルヴィオだ。
大概はバールのようなものを振り回し、拷問を加えて最後に魚の餌にする、見せしめの為にと悪事を働いた裏社会の連中を再起不能にまで殴り倒して、それらのボスのアジト前に並べ立てたなどなど血生臭くて言えない様な事をして来たのだ。
しかし今回のリンダウの武力制圧は違う、確かにグラフィーナの行った事は許されざる事ではあるが、リンダウと言う国自体にはそこまでの悪事を起こした訳ではない。
陛下が悪魔に対して強い嫌悪感や憎しみを持っている事を知っている筈なのに、あろう事か原因となったダンダリオンを解放させたのだ、はっきり言えば愚かで命知らずもいい所なのだ。
そんな陛下が直々にシルヴィオに命じるのは、今までやって来た事と同じ程の残虐性を持って制圧せよ...と言う意味ととっていた。
確かにリンダウ周辺の海域の海賊達に悩まされているイオーゼ海に面するベルガモ領主としては海の安全を考えるなら美味しい話であるが、そこに住む人々の事を考えれば心苦しい所もあるのだ。
それにイオーゼ海を挟み、リンダウの向こう側の大陸の国にどう見られるか...と言う事も含めてだ。
しかし陛下の意向に真っ向反対して兵を出さねば、自身もだが家族やベルガモ民に何が起こるか分からない...だからその意向に出来るだけ沿うようにせねばならない。
「シルヴィオは最近悩んでるのかい?」
とジャンマリオがヘラヘラとしながら尋ねる。
実の父だがお気楽でいいな、と思うもそう生きていければ楽だったんだろうか?とも思う。
「叙爵なんてすごいもんね」
「喜んでばかりじゃねぇんだよ...ただでさえ領地の件で手一杯なのに陛下に無茶振りされんだぞ、偉くなったって楽なんざできねぇし」
そう、領地は潤ってはきていても気を抜けば敵に狙われかねないし、エルコラーロの件もあるしと実はシルヴィオは大忙しなのだ、その上でリンダウの制圧をしてウルムの領土とせよと陛下は簡単に言ってくる。
「俺は損な役割ばっかりだな...」
とシルヴィオはゴロリと芝生の上で寝転ぶ、空は綺麗な青空だ。
「ごめんねシルヴィオ」
謝るジャンマリオ、まぁ顔はヘラヘラとしているが。
「...親父は悪かぁねえよ...ただ人を信じすぎただけじゃねえか」
いろいろあった事の半分は父親ジャンマリオのポンコツのせいであるが、どうにも憎む事も出来ない。
そう父親としてそれでも愛情を持っていつもニコニコしながら二人の子供を男寡で育てた事を知っているし、領民にポンコツながらも慕われている、どこか不思議な父親だ。
しかも何故かずっと見た目が変わらず、最近はシルヴィオの方が年上に見えるくらいだ...なんだか最近更に若返って来ている気もするが。
「それにしてもシルヴィオがしっかり者で本当に良かった...ティナにもいい人が現れたし、本当はシルヴィオのお嫁さんも見れると良かったんだけどね」
とジャンマリオはニコニコしながらそう話をする。
「親父何言ってんだよ?まるで遺言みてぇな...」
と身を起こして父親を見る、いつものニコニコ顔だが何処か陰りを感じてシルヴィオは黙ってしまう。
「あはは、そうだねごめんごめん」
そう言うジャンマリオはいつも通りニコニコ顔に戻っていたが、どこかシルヴィオの心に引っかかるものがあったのだった。
しばらくしたら、動物達も何となくそこまで悪い連中では無いと判断したのかジョナサン以外の男達にも寄ってくる様になり、頭くらいなら撫でさせて貰えるまでになっていたのである。
空も綺麗な青空で気候も悪くない、何とも平和な一時だ。
追いかけっこしながらバレンティナが四人で遊んでいるのを遠目でシルヴィオとジャンマリオは眺めている。
「いいなぁ...平和で...」
シルヴィオがそう呟く、この先血生臭い事を命じられているからだろう。
今まで極悪人に対してはっきり言えば容赦無い事をずっとして来たシルヴィオだ。
大概はバールのようなものを振り回し、拷問を加えて最後に魚の餌にする、見せしめの為にと悪事を働いた裏社会の連中を再起不能にまで殴り倒して、それらのボスのアジト前に並べ立てたなどなど血生臭くて言えない様な事をして来たのだ。
しかし今回のリンダウの武力制圧は違う、確かにグラフィーナの行った事は許されざる事ではあるが、リンダウと言う国自体にはそこまでの悪事を起こした訳ではない。
陛下が悪魔に対して強い嫌悪感や憎しみを持っている事を知っている筈なのに、あろう事か原因となったダンダリオンを解放させたのだ、はっきり言えば愚かで命知らずもいい所なのだ。
そんな陛下が直々にシルヴィオに命じるのは、今までやって来た事と同じ程の残虐性を持って制圧せよ...と言う意味ととっていた。
確かにリンダウ周辺の海域の海賊達に悩まされているイオーゼ海に面するベルガモ領主としては海の安全を考えるなら美味しい話であるが、そこに住む人々の事を考えれば心苦しい所もあるのだ。
それにイオーゼ海を挟み、リンダウの向こう側の大陸の国にどう見られるか...と言う事も含めてだ。
しかし陛下の意向に真っ向反対して兵を出さねば、自身もだが家族やベルガモ民に何が起こるか分からない...だからその意向に出来るだけ沿うようにせねばならない。
「シルヴィオは最近悩んでるのかい?」
とジャンマリオがヘラヘラとしながら尋ねる。
実の父だがお気楽でいいな、と思うもそう生きていければ楽だったんだろうか?とも思う。
「叙爵なんてすごいもんね」
「喜んでばかりじゃねぇんだよ...ただでさえ領地の件で手一杯なのに陛下に無茶振りされんだぞ、偉くなったって楽なんざできねぇし」
そう、領地は潤ってはきていても気を抜けば敵に狙われかねないし、エルコラーロの件もあるしと実はシルヴィオは大忙しなのだ、その上でリンダウの制圧をしてウルムの領土とせよと陛下は簡単に言ってくる。
「俺は損な役割ばっかりだな...」
とシルヴィオはゴロリと芝生の上で寝転ぶ、空は綺麗な青空だ。
「ごめんねシルヴィオ」
謝るジャンマリオ、まぁ顔はヘラヘラとしているが。
「...親父は悪かぁねえよ...ただ人を信じすぎただけじゃねえか」
いろいろあった事の半分は父親ジャンマリオのポンコツのせいであるが、どうにも憎む事も出来ない。
そう父親としてそれでも愛情を持っていつもニコニコしながら二人の子供を男寡で育てた事を知っているし、領民にポンコツながらも慕われている、どこか不思議な父親だ。
しかも何故かずっと見た目が変わらず、最近はシルヴィオの方が年上に見えるくらいだ...なんだか最近更に若返って来ている気もするが。
「それにしてもシルヴィオがしっかり者で本当に良かった...ティナにもいい人が現れたし、本当はシルヴィオのお嫁さんも見れると良かったんだけどね」
とジャンマリオはニコニコしながらそう話をする。
「親父何言ってんだよ?まるで遺言みてぇな...」
と身を起こして父親を見る、いつものニコニコ顔だが何処か陰りを感じてシルヴィオは黙ってしまう。
「あはは、そうだねごめんごめん」
そう言うジャンマリオはいつも通りニコニコ顔に戻っていたが、どこかシルヴィオの心に引っかかるものがあったのだった。
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