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chapter4:Older sister, invasion

愛おしい君 その2

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バレンティナは学生時代、術式の授業である事を学んでいた。

ウルムの術士であれば必ず修得しなくてはならないもの、それは術士が使用出来る術式を使い果たして枯渇した際、それを他の術士が与え補給させる術だ。

戦争があった時など、弱い術士は術力の補給タンクとしての役割を持つことを念頭に置かれてだ。

それは通常の術式と違って血や体液などを介して組み上げ渡すものだ。

やり方は分かる、そして最も簡単な方法も。

「ディビッド...泣かないで...」

そう言って優しくディビッドの唇にバレンティナの唇を重ね、バレンティナから舌を絡ませるキスをする。

その瞬間ディビッドは口から熱いモノを感じる...そして自身に流れ込んで来ると術力が回復するのが分かる。

ディビッドはバレンティナを抱きしめる。

バレンティナは術士としての能力があり、それなりに強い術士でもある為か受け渡された分でディビッド自身の術力がほぼ回復した。

唇を離し、微笑むバレンティナ。

「さぁ...みんなを助けてあげて?大丈夫、貴方なら出来るから」

そう言ったと同時にバレンティナはくたり、と力尽きてディビッドの腕の中で気をうしなってしまう、相性の良さ故かバレンティナの術力を全てディビッドに流れたためだろう。

ディビッドは優しくおでこにキスをし、床に横にさせた後、立ち上がって銃を拾い天井に向けてる。

一呼吸おき、祈りを捧げる。

『神は慈悲深く、全ての者に深い愛を抱く方...創造者にして忠節なるトラウゴット神よ...救いを!恵みの雨を!』

ディビッドは神への祈りの言葉を放つと空から光の雨が降り注ぐ。

それは深夜にも関わらず離宮を中心に全体を照らす光。

雨は建物すら通して降り注ぎ、それぞれに染み渡る。

それはマキシムやジョナサンの息を吹き返し傷は癒やされていく。

それだけでは無い、生贄にされたメイドや受肉の媒介となった側妃レメディオスも、その雨によって息を吹き返し癒される。

輝く光の雨は広範囲に及ぶのか、離宮の外側...王城の一帯に降り注ぐ。

その光の雨は他の建物も擦り抜け、多くの人の目に目撃され、離宮で繰り広げられた一件も知らない人々は一体何が起こったのか不思議に思う。

離宮の外で兵士達と待機をしていたサヴェリオやシルヴィオも天に目を向ける。

「エルコラーロの奇跡が...」

シルヴィオはそう呟く、自身もこの目で見た奇跡、死んだ者を蘇らせ、傷を癒し、呪われた土地に呪いをとき回復させる奇跡。

「これが報告されていたものか...何と神々しい...」

サヴェリオは神の奇跡に感嘆する。
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