上 下
296 / 841
chapter4:Older sister, invasion

悪魔ダンダリオン その5

しおりを挟む
ただその姿事態にディビッド達は驚く。

その姿はまだ8歳くらいの小さな男の子...しかもその高貴な服装や黒髪黒目で浅黒い肌...そして顔立ちがサヴェリオ国王によく似ている。

「リヴェラート王子...」

側妃グラフィーナの子で、現時点で王位継承権第一位の王子、ただその目は虚ろで何かに操られているかのようだ。

「これは...下手に倒せないですね」

ディビッドは額に皺を寄せながら銃を構える。

リヴェラート王子の周囲に影が纏わりつくと、さっきのローブ姿に戻る。

「あのローブそのものが本体ってところか?」

「かもですね...一度引き剥がしてローブを燃やすかしないとですね」

「しかし実体じゃないみたいだし」

なら純銀製の弾丸が効くかもと思うが、弾をほぼ使い切ってしまっている。

ふとディビッドは自分の着ているシャツの袖にあるカフスボタンを思い出す。

「ジョナサン!」

ディビッドはカフスボタンをジョナサンに投げ渡す。

聖化された純銀製のカフスボタン、悪魔もだが実体のもたない悪霊系にも効く素材だ。

「これを持って殴れ!」

「分かった!」

とジョナサンはカフスボタンを人差し指と中指の間に挟んで加減しながら拳で殴ると、さっきの攻撃よりも効いているのか触れた場所が消えていく。

ジョナサンはローブのようなものをリヴェラート王子から引き剥がして、そのまま炎の術式を展開させゴゥ!と燃やしてしまう。

すると、リヴェラート王子ががくり、と倒れそれをジョナサンが抱え込む。

「なんて事だ、まだ小さい子供に!」

「しかし何故王子が...」

とディビッドがリヴェラート王子を見ると、襟足に紋様のものが見える。

「まさか」

とリヴェラート王子の服のボタンを外して襟足を確認すると、そこには禍々しい悪魔の呪いの紋様が現れていた。

きっとこの呪いの紋様はリヴェラート王子の術士の能力を媒介にし、先程の影を操らせていたのだろうが...ただ誰が王子を操っていたのか?

「なんて事だ...しかしこれは...」

よく見ると刻み方が雑で刃物で傷をつけて描いたかのようだ。

「人為的に刻まれたものですね...この紋様だとベルゼビュートですね...」

「なんでまた...まぁ回復もだけど呪いの解除もできそうか?」

痛々しい紋様を見てジョナサンは心を痛める。

「人がやったものなら直ぐに回復と解呪は可能ですよ」

そう言ってディビッドはリヴェラート王子の首に刻まれた紋に手を当てて回復と解呪を同時に行うとそれはすぐに消えてしまった。

「しかしなんでまた子供にこんなマネを」

「...まさか...」

ふとディビッドは思う、リヴェラート王子は囮なのではないか?と。

「まず一旦サミュエルと合流しましょう...」

「そうだな」

ジョナサンは放っておくわけには行かないと、リヴェラート王子をおんぶする。

二人は影を倒していたサミュエルに合流すべく、離宮入り口付近まで向かう事にしたのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...