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chapter4:Older sister, invasion
上級異端審問官 その2
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ユステ教会内の会議室に入るとその教会の司祭長テオドロと大勢の司祭達が待っていた。
司祭長テオドロ...40代半ばの細身の黒髪灰目のエアヴァルド人で、5年ほど前にアルトマイヤー寺院より使わされた男であり、元上級異端審問官の『黒の天秤』でもあった男、時期教皇はきっと彼になるであろう人物でもある。
「預言者エステル様...お久しゅうございます...」
テオドロは跪き、深く頭を下げる。
「司祭長テオドロ、この大国ウルムにおいての活動を聞いております...感謝します」
「神の寵愛を受けし預言者であるエステル様にそう言って頂けるなどと...ありがたき幸せ」
テオドロの活動は表向きはトラウゴット教の教えを広め、人々を癒しの奇跡により救う事であるが、その裏では人類の敵たる『悪魔』をウルム国内から探し出し、上級異端審問官達の手により滅ぼす為の活動をしているのである。
ちなみにその事を知っている者は僅かであり、上層部と『異端審問官』の立場を持つ者だけである。
一般的には異端審問官はエアヴァルド国のトラウゴット教直轄領主ヘルムート マハナイム バーレ枢機卿の私兵、エリート中のエリートでもあるが活動内容故に全員が司祭や神殿騎士では無い。
活動内容は基本的に秘匿とされているが、専ら『悪魔崇拝者』を炙り出し断罪する存在という認識がなされている。
しかし実際には『悪魔』を倒す為の異能集団...それそこ12番目の預言者がハイラントの祖となった時点で役割が実際に変わっているのだ。
周囲の司祭達もエステルに頭を下げる。
「頭を上げなさい、崇拝すべきは忠節にして創造主たる方のみです...信徒の数が増えていると聞きました、貴方達の活動に本当に感謝します」
エステルは微笑みを浮かべると、歓喜の声が上がる。
まぁ信徒の数が増えた理由は数ヶ月前の闇オークションの一件で、そこに参加していた貴族達がシルヴィオの手で半殺しの目に会うも、エステルの奇跡により回復した際に改心し貴族とその使用人等の人々がトラウゴット教に帰依したからである。
その関係か寄付金がわんさか集まったのは副産物である...まぁそのお金に関してはウルム国内の救済院や孤児院に当てる予定ではあるが。
「それにしてもいくら大国ウルムの国王の招待とは言え、エステル様がわざわざ聖なるバーレから此方へ来られるなど...」
「いえ、信仰を許し、この様に教会を維持する事を許されるのはウルム国王陛下の許しもあるからです...神の如く崇拝すべきではありませんが、敬意を払い従う事は良しとされていますからね、祝福を述べる事は出来ますから」
そうエステルが述べると、その慈悲深さに周囲は感激する...そんな姿を仮面越しに呆れ顔でディビッドが見る。
ーこんな事くらいで上級異端審問官4人揃える必要もないだろうに...
そんなことを思いながら。
司祭長テオドロ...40代半ばの細身の黒髪灰目のエアヴァルド人で、5年ほど前にアルトマイヤー寺院より使わされた男であり、元上級異端審問官の『黒の天秤』でもあった男、時期教皇はきっと彼になるであろう人物でもある。
「預言者エステル様...お久しゅうございます...」
テオドロは跪き、深く頭を下げる。
「司祭長テオドロ、この大国ウルムにおいての活動を聞いております...感謝します」
「神の寵愛を受けし預言者であるエステル様にそう言って頂けるなどと...ありがたき幸せ」
テオドロの活動は表向きはトラウゴット教の教えを広め、人々を癒しの奇跡により救う事であるが、その裏では人類の敵たる『悪魔』をウルム国内から探し出し、上級異端審問官達の手により滅ぼす為の活動をしているのである。
ちなみにその事を知っている者は僅かであり、上層部と『異端審問官』の立場を持つ者だけである。
一般的には異端審問官はエアヴァルド国のトラウゴット教直轄領主ヘルムート マハナイム バーレ枢機卿の私兵、エリート中のエリートでもあるが活動内容故に全員が司祭や神殿騎士では無い。
活動内容は基本的に秘匿とされているが、専ら『悪魔崇拝者』を炙り出し断罪する存在という認識がなされている。
しかし実際には『悪魔』を倒す為の異能集団...それそこ12番目の預言者がハイラントの祖となった時点で役割が実際に変わっているのだ。
周囲の司祭達もエステルに頭を下げる。
「頭を上げなさい、崇拝すべきは忠節にして創造主たる方のみです...信徒の数が増えていると聞きました、貴方達の活動に本当に感謝します」
エステルは微笑みを浮かべると、歓喜の声が上がる。
まぁ信徒の数が増えた理由は数ヶ月前の闇オークションの一件で、そこに参加していた貴族達がシルヴィオの手で半殺しの目に会うも、エステルの奇跡により回復した際に改心し貴族とその使用人等の人々がトラウゴット教に帰依したからである。
その関係か寄付金がわんさか集まったのは副産物である...まぁそのお金に関してはウルム国内の救済院や孤児院に当てる予定ではあるが。
「それにしてもいくら大国ウルムの国王の招待とは言え、エステル様がわざわざ聖なるバーレから此方へ来られるなど...」
「いえ、信仰を許し、この様に教会を維持する事を許されるのはウルム国王陛下の許しもあるからです...神の如く崇拝すべきではありませんが、敬意を払い従う事は良しとされていますからね、祝福を述べる事は出来ますから」
そうエステルが述べると、その慈悲深さに周囲は感激する...そんな姿を仮面越しに呆れ顔でディビッドが見る。
ーこんな事くらいで上級異端審問官4人揃える必要もないだろうに...
そんなことを思いながら。
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