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chapter3:Travel Emotions Bergamo
神託 その1
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数時間後、エルコラーロ要塞の地下へとディビッド達はザナージの案内で向かう。
中央部の頑丈そうな扉を開けて貰い、地下へ続く階段を降りていくと広い部屋に出る。
すると数人の術士達が封印式を囲むように経って結界を張っていた。
「ご苦労!一旦結界を解いてくれ!」
そう命じると全員が結界術を解いていく。
そこは封印式が展開した時の姿のまま、地面にめり込む様に丸みを帯びた白いガラスの様なものに赤く封印式が刻まれている。
その上には二重の人が組んだ封印式が展開されている。
「アンドラスの封印...ですね...」
ディビッドはアンドラス自体が組んだその封印式を見る...
「!」
何かが頭に流れ込む感覚を覚えるディビッド。
「これは...」
ー助けてくれ!
ー人が憎しみあって殺し合うのなんて見たくは無い!
ー辞めてくれ!辞めろ!妻のお腹には子供がいるのにっ!辞めてくれ!
ーああ...どうかあの子だけは...あの子が無事で有れば...
何か...そう...それは感情そのものが流れ込む感覚と言った方が良いのか...悲しみが一気に流れ込んでいく感覚だ。
その感覚に眩暈を起こす...こんな事今まで無かったのに。
「おい!ディビッド!」
「...やはり...因果なんでしょうか...うっ!」
マキシムが駆け寄り、ふらつくディビッドを支える。
ー誰か救ってくれ...あの子だけは...私は...
その言葉が流れ込んだと同時にディビッドはぐったりと倒れる...
「おい!どうした!ディビッド!」
マキシムは倒れたディビッドに声をかけるも、ディビッドは気を失ったのか全く動く事はなかった。
───
「?」
ここは何処だろう...ディビッドは周囲を見回すが真っ白で何も無い。
「...夢か幻覚?...いや...」
目の前に1人の男が立っていた...大体50代くらいか髪は真っ白で...瞳が深い紫色で顔立ちがディビッドによく似た男だった。
白いシャツに黒いスラックス姿はボロボロで胸元には剣で切り裂いた様な血の跡が残っている。
きっと自身が歳を取ったらこうなるかもな、と思う顔立ちの老齢に差し掛かった男を見る。
ああ...これはアンドラスの受肉の媒介とされた...ディビッドの祖先でもある人物なんだろうと判断する。
「ディビッド!」
その男は目を見開き...涙を流す。
「?」
男は泣きながら抱きつきディビッドの頭を撫でる。
「生きていてくれたんだねぇ...ごめんね...小さな君を残してしまって...無力なお父さんを許してくれ...」
うっ...うっと泣き続ける男。
「私は...」
貴方の息子では無い...とは言えなかった...
「お母さんもお腹にいた子もアンドラスのせいでみんな死んでしまった...でもディビッド...君が生きていてくれて本当に良かった...」
実際ディビッド自身は良くしてくれた親代わりは居たが、血の繋がった父親は自分を遠い地に捨てた男だ...だから父親という存在に愛着も何もなかった...だか男はディビッドを大切な息子と信じて疑わない。
こう言う時どう対応すれば良いのか分からず、ディビッドはただ戸惑う。
「あんなに小さい子供だったのにこんなに立派になって...本当に心残りだったんだ...本当に良かった...」
良かった...良かった...と男は言い続ける。
「...お父...さん?」
もし自分の父親がこんな人物だったなら...こんなにも愛情を持ってくれる人だったなら...そう思うと自然とそう口に出す...
そして同時にその男の姿がすうっと消えてしまう。
「...これは一体...」
中央部の頑丈そうな扉を開けて貰い、地下へ続く階段を降りていくと広い部屋に出る。
すると数人の術士達が封印式を囲むように経って結界を張っていた。
「ご苦労!一旦結界を解いてくれ!」
そう命じると全員が結界術を解いていく。
そこは封印式が展開した時の姿のまま、地面にめり込む様に丸みを帯びた白いガラスの様なものに赤く封印式が刻まれている。
その上には二重の人が組んだ封印式が展開されている。
「アンドラスの封印...ですね...」
ディビッドはアンドラス自体が組んだその封印式を見る...
「!」
何かが頭に流れ込む感覚を覚えるディビッド。
「これは...」
ー助けてくれ!
ー人が憎しみあって殺し合うのなんて見たくは無い!
ー辞めてくれ!辞めろ!妻のお腹には子供がいるのにっ!辞めてくれ!
ーああ...どうかあの子だけは...あの子が無事で有れば...
何か...そう...それは感情そのものが流れ込む感覚と言った方が良いのか...悲しみが一気に流れ込んでいく感覚だ。
その感覚に眩暈を起こす...こんな事今まで無かったのに。
「おい!ディビッド!」
「...やはり...因果なんでしょうか...うっ!」
マキシムが駆け寄り、ふらつくディビッドを支える。
ー誰か救ってくれ...あの子だけは...私は...
その言葉が流れ込んだと同時にディビッドはぐったりと倒れる...
「おい!どうした!ディビッド!」
マキシムは倒れたディビッドに声をかけるも、ディビッドは気を失ったのか全く動く事はなかった。
───
「?」
ここは何処だろう...ディビッドは周囲を見回すが真っ白で何も無い。
「...夢か幻覚?...いや...」
目の前に1人の男が立っていた...大体50代くらいか髪は真っ白で...瞳が深い紫色で顔立ちがディビッドによく似た男だった。
白いシャツに黒いスラックス姿はボロボロで胸元には剣で切り裂いた様な血の跡が残っている。
きっと自身が歳を取ったらこうなるかもな、と思う顔立ちの老齢に差し掛かった男を見る。
ああ...これはアンドラスの受肉の媒介とされた...ディビッドの祖先でもある人物なんだろうと判断する。
「ディビッド!」
その男は目を見開き...涙を流す。
「?」
男は泣きながら抱きつきディビッドの頭を撫でる。
「生きていてくれたんだねぇ...ごめんね...小さな君を残してしまって...無力なお父さんを許してくれ...」
うっ...うっと泣き続ける男。
「私は...」
貴方の息子では無い...とは言えなかった...
「お母さんもお腹にいた子もアンドラスのせいでみんな死んでしまった...でもディビッド...君が生きていてくれて本当に良かった...」
実際ディビッド自身は良くしてくれた親代わりは居たが、血の繋がった父親は自分を遠い地に捨てた男だ...だから父親という存在に愛着も何もなかった...だか男はディビッドを大切な息子と信じて疑わない。
こう言う時どう対応すれば良いのか分からず、ディビッドはただ戸惑う。
「あんなに小さい子供だったのにこんなに立派になって...本当に心残りだったんだ...本当に良かった...」
良かった...良かった...と男は言い続ける。
「...お父...さん?」
もし自分の父親がこんな人物だったなら...こんなにも愛情を持ってくれる人だったなら...そう思うと自然とそう口に出す...
そして同時にその男の姿がすうっと消えてしまう。
「...これは一体...」
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